コムスタカ―外国人と共に生きる会

中国残留孤児の再婚した妻の娘2家族7人の退去強制問題


南野法務大臣は、2005年4月25日の衆議院決算行政決監視委員会で、中国残留孤児の家族に関して、定住者告示の見直しを表明しました。
中島真一郎
2005年5月15日

1、はじめに

南野法務大臣は、2005年4月25日の衆議院決算行政決監視委員会で、民主党の稲見哲男衆議院議員の中国残留孤日本人の「継子」「養子」家族についての質問に対して、定住者告示の見直しを含む以下のような見解を表明しました。法相見解の関連部分は、ゴチック体として強調しました)

2、南野法務大臣の答弁

(2005年4月25日 衆議院決算行政監視委員会 第四分科会 議事録 第1号 衆議院ホームページより法相の答弁のみの抜粋です。  最後に資料2として、関連部分の全文を掲載しています。)

(中国残留邦人の継子、養子に関する事案について、)

南野国務大臣 中国残留邦人の継子、養子に関する事案について、これは一般論として申し上げるわけでございますが、中国残留邦人の方々が中国に残留されることとなった歴史的経緯や事情など、これは福岡高裁判決の指摘する趣旨を踏まえまして、実子同然に育ったか否かなどの家族としての実態等、個別の事情も十分考慮しながら、今後とも適切に取り扱ってまいりたいと思います。

(中国残留邦人の継子、養子に関する事案の在留特別許可について)

南野国務大臣 この事案に関しましては、私も中国からの引揚者でございます。その当時を思い起こすと、本当に中国の方々にお世話になったことがある人たちもたくさんおられるかな、そのようにも思うわけでありますけれども、中国残留邦人の養子や継子の方につきましては、在留特別許可の判断に当たりまして、家族としての実態、ここに重きを置くわけでございますが、その他事案ごとの個別事情を十分に踏まえた上で、さらに人道的配慮をして、適切に措置していきたいというふうに思っております。

(中国残留邦人の継子、養子に関する事案で、退去強制命令が発付された家族がその取り消しを求めた訴訟について)

○南野国務大臣 中国残留邦人の実子であるとして我が国に入国後、継子であることが判明したことにより退去強制命令が発付された家族がその取り消しを求めた訴訟は、現在、二件、二家族六名が係属しております。 違反の審査中など退去強制手続を受けている者の中で、中国残留邦人の実子でないいわゆる継子や養子に係る人数については、現在、入管当局が調査中でございます。同様の事案につきましては、家族としての実態その他個別の事情を踏まえて、適切に措置してまいりたいと考えております。

(中国残留邦人の継子、養子に関する上陸特別許可について)

南野国務大臣 お尋ねのような方が再び我が国に入国を希望する場合には、個々の事案ごとに、退去強制時の経緯のほか、入国を希望する理由、家族状況、生活状況、素行、内外の諸情勢その他諸般の事情等を総合的に考慮させていただきまして、上陸特別許可の可否について検討することとなります。

なお、実子同然に本国で生活をしていた養子、継子の方につきましては、このような家族としての実態は、上陸特別許可の判断に当たって考慮すべき事情の一つであろうと思っております。

(中国残留邦人の養子に関する事案で、定住者告示の改正について)

南野国務大臣 中国残留邦人につきましては、一般の方の対応とは異なった温かい配慮が必要であるということは認識いたしておりますが、このような特別な御事情については、基本的には個々の事情に応じて適切に対応していくのが最もよいと認識いたしております。 しかしながら、判決があったことを踏まえまして、取り扱いを明確にすべく、幼少時、具体的には六歳未満から実子と同様に育てられ、家族として生活をしてきた方については、その入国を一律に認めるための告示の改正も検討してまいりたいと考えております。

 なお、告示によりまして一律に認めることとならない方につきましても、個々に、実子と同様に育ったか否か、また育ったとすれば、その経緯や現在の家族状況、生活状況等を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

3、南野法務大臣見解へのコメント

2005年3月7日の福岡高裁判決を踏まえた南野法務大臣の答弁から 井上さん家族と同様に、元中国残留日本人の「継子」「養子」とその家族で、血縁関係がなくとも「実子」と同様な家族の実態があると認められる場合には、訴訟中、在留特別許可申請中、退去強制され上陸特別許可を申請するもの、新たな来日申請する家族など、基本的にすべて救済されていくことになります。

 2005年4月25日の法務大臣の元中国残留孤児の「定住者告示」改正の表明は、「養子」に関するものですが、2005年3月7日の高裁判決を踏まえての「定住者告示」の「養子」の改正表明ですから、中国残留日本人の「継子」とその家族の呼び寄せの場合も、これまでの定住者告示「未婚・未成年」の要件を同様に緩和していくことなると思います。

大阪地裁や大阪高裁で裁判係争中の元中国残留日本人の「継子」とその家族のケースでは、再審情願を被告(国)は勧めてきていると聞いていますので、在留特別許可を交付する意向と思います。訴訟に至っていない在留特別許可申請中のケースも交付されることになると思います。また、既に退去強制された家族の呼び寄せを行う場合にも上陸特別許可の審査で、「特別な配慮」がなされていきます。

中国残留日本人の「養子」に関する「定住者告示」の改正は、「六歳未満から実子と同様に育てられ、家族として生活をしてきた方」という新たな基準を設ける点で、問題が残りますが、これに該当しない場合にも個々の事情を踏まえて配慮するという答弁ですので、この新たな基準に該当しない場合も救済されることもありえます。

 4、 南野法務大臣への3つの要請がすべて実現しました。

 2005年3月7日の福岡高裁判決後の報告集会で、以下の法務大臣へ3つの要求を確認して採択し、2005年3月14日に法務省へ提出しました。
1.被控訴人である法務大臣は、本件訴訟での上告を断念し、控訴審控訴人7名に「定住者」の在留資格を速やかに付与すること。
2.中国残留日本人の「養子」「継子」とその家族のうち、中国残留日本人と実態がある家族については、上陸許可取り消し処分や退去強制令書発付処分を受けて、本件訴訟の家族と同様に苦しんでいるすべての家族に、「定住者」の在留資格を与えて救済すること。
3.元中国残留日本人の「養子」や「継子」とその家族の呼び寄せについても、「定住者告示」(法務省告示第132号)を改め、 インドシナ難民の家族の呼び寄せに関する「子に養子を含む」規定や 、「日本人や日本に適法に在留する外国人の配偶者、親、子(養子を含む)に随伴する親族で、その家族構成等からみて、人道上特に入国を認めるべきもの」の規定と同様に呼びよせができるようにすること。

今後とも、中国残留日本人「継子」「養子」の家族に関する定住者告示の改正内容やその運用の問題は残ると思いますが、事実上すべて実現していくことになりました。あらためて、確定した福岡高裁判決の影響力の大きさを実感しています。井上鶴嗣さん家族の勝利は、他のこれまでの様々な闘いの成果の上に実現することができました。井上さん家族の闘いによって実現できた成果を、今後の他の方々の闘いに活用していただくことで、そのお礼にかえたいともいます。


資料1

要請書

南野 千恵子 法務大臣殿

2005年3月7日、福岡高等裁判所における「退去強制令書発付処分等取消請求控訴事件」(平成15年(行コ)第13号)判決において、石塚章夫裁判長は、主文「1、原判決を取り消す。2、被控訴人法務大臣が平成13年12月14日付で、各控訴人対して平成13年法律第136号による改正前出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく控訴人らの異議の申し出は理由のない旨の採決をいずれも取り消す。3、被控訴人福岡入国管理局主任審査官が平成13年12月17日付けで控訴人に対してした退去強制令書発付処分をいずれも取り消す。 4、被控訴人法務大臣と控訴人らのそれぞれの間に生じた訴訟費用は、第1審。2審とも、同披控訴人の、披控訴人福岡入国管理局主任審査官と控訴人らのそれぞれに生じた訴訟費用は第1審、第2審ともに,同披控訴人のそれぞれの負担とする。」という判決を言い渡しました。

判決理由として、「本件特有の事情、控訴人らの日本での生活状況にあらわれた家族の実態及び控訴人子らがわが国に定着していった経過、控訴人子らの福祉及びその教育ならびに控訴人子らの中国での生活困難性等を、日本国が尊重を義務付けられているB規約や子どもの権利条約の規定に照らしてみるならば、入国申請の際に違法な行為があったことを考慮しても、本件裁決は、社会通念上著しく妥当性を欠くことは明らかであり、控訴人法務大臣の裁量権を逸脱または濫用した違法があるというべきであるから、その余の点を判断するまでもなく、取り消しを免れない。」と判示しました。

この判決で問われたのは、日本国が尊重を義務付けられている国際人権自由権規約(B規約)や子どもの権利条約などの国際人権条約の趣旨や、中国残留日本人を生み出した過去の日本政府の政策やそれについての救済措置の遅延をもたらした政府の責任という特有の事情を何ら考慮することなく、また家族の実態ではなく、血のつながりの有無だけで形式的に判断している非人道的かつ冷酷な入管行政そのものです。2005年3月7日の福岡高等裁判所での本件控訴審判決をふまえ、以下の3つを要請します。

1.被控訴人である法務大臣は、本件訴訟での上告を断念し、控訴審控訴人7名に「定住者」の在留資格を速やかに付与すること。
2.中国残留日本人の「養子」「継子」とその家族のうち、中国残留日本人と実態がある家族については、上陸許可取り消し処分や退去強制令書発付処分を受けて、本件訴訟の家族と同様に苦しんでいるすべての家族に、「定住者」の在留資格を与えて救済すること。
3.元中国残留日本人の「養子」や「継子」とその家族の呼び寄せについても、「定住者告示」(法務省告示第132号)を改め、 インドシナ難民の家族の呼び寄せに関する「子に養子を含む」規定や 、「日本人や日本に適法に在留する外国人の配偶者、親、子(養子を含む)に随伴する親族で、その家族構成等からみて、人道上特に入国を認めるべきもの」の規定と同様に呼びよせができるようにすること。

2005年3月14日 

元中国残留孤児とその妻
   井上鶴嗣 (元中国残留孤児)
   井上琴絵 (元中国残留孤児 井上鶴嗣の妻)
退去強制令書発付等処分取り消し訴訟控訴人 7名 

支援団体
 「強制収容」問題を考え、子どもの学びと発達を守る熊本の会(代表 井野 幸子)
 コムスタカ―外国人と共に生きる会(代表  鈴木 明郎) 
 2005年3月7日 福岡高等裁判所勝訴判決報告集会 参加者一同


資料2 

(2005年4月25日 衆議院決算行政監視委員会 第四分科会 議事録 第1号より)

次に、稲見哲男君。

稲見分科員 民主党・無所属クラブの稲見哲男でございます。きょうは、中国残留孤児の問題と難民の問題で御質問をさせていただきます。

 この問題につきましては、昨年の三月の二日に、予算委員会の分科会で私が、そして、ことし二月の二十五日に、同じく予算委員会の分科会で同僚の藤田一枝代議士が御質問をしております。特に藤田一枝議員は、熊本県在住の井上鶴嗣さんの二家族七人の裁判にかかわって南野大臣に質問をいたしました。その後、三月七日の福岡高裁の判決を受けて、南野法務大臣は上告を断念された、こういうことでございまして、改めて二月二十五日の議事録などを読ませていただきますと、大臣の決断を率直に評価したい、こういうふうに考えております。

 私は、この問題は、難民認定やその他の在留資格の審査と違って、戦後処理の大きな課題の一つだ、こういうふうに考えております。今回の判決を契機に、継子、養子問題について最終的な決着を図るべきだ、こういうふうに考えておりますけれども、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

南野国務大臣 中国残留邦人の継子、養子に関する事案について、これは一般論として申し上げるわけでございますが、中国残留邦人の方々が中国に残留されることとなった歴史的経緯や事情など、これは福岡高裁判決の指摘する趣旨を踏まえまして、実子同然に育ったか否かなどの家族としての実態等、個別の事情も十分考慮しながら、今後とも適切に取り扱ってまいりたいと思います。

稲見分科員 今、大臣の方からも、判決の趣旨を踏まえて、こういうふうなことでございました。少し引用をしたいと思います。

日本国自身の過去の施策にその遠因があることが留意されなければならない。当時の国策だった開拓民大量入植計画、日本の引き揚げ政策が奏功しなかったこと、終戦後三十六年でようやく中国残留孤児の集団訪日調査が行われ、九四年に至って円滑な帰国促進などを目的にした帰国者支援法が公布された。このような救済措置は、結果的に何とも遅きに失した感を否めない。外国人の連れ子を未成年者に限定をしている。中国残留邦人の場合、実子同然に育った者も、引き揚げ措置のおくれによって在留資格を取得できない不合理が生じ、支援法の趣旨が没却するおそれがある。

 こういうふうに指摘をいたしております。

 この内容は、私が昨年の予算委員会で申し上げたことと全く同趣旨でございまして、家族としての実態を考慮すべき、こういうふうに考えますと、これは継子、養子の区別なく在留特別許可を与えるべきと考えますけれども、その点、どうでしょうか。

南野国務大臣 この事案に関しましては、私も中国からの引揚者でございます。その当時を思い起こすと、本当に中国の方々にお世話になったことがある人たちもたくさんおられるかな、そのようにも思うわけでありますけれども、中国残留邦人の養子や継子の方につきましては、在留特別許可の判断に当たりまして、家族としての実態、ここに重きを置くわけでございますが、その他事案ごとの個別事情を十分に踏まえた上で、さらに人道的配慮をして、適切に措置していきたいというふうに思っております。

稲見分科員では、今、御答弁いただきましたことを前提に、具体的にお聞きをいたします。  現在、裁判係争中あるいは裁判にまで至っていないけれども違反審査中の同様のケースは、どれだけあるのか。件数、家族数、人数、こういうことでお答えいただければと思います。

南野国務大臣 中国残留邦人の実子であるとして我が国に入国後、継子であることが判明したことにより退去強制命令が発付された家族がその取り消しを求めた訴訟は、現在、二件、二家族六名が係属しております。

 違反の審査中など退去強制手続を受けている者の中で、中国残留邦人の実子でないいわゆる継子や養子に係る人数については、現在、入管当局が調査中でございます。同様の事案につきましては、家族としての実態その他個別の事情を踏まえて、適切に措置してまいりたいと考えております。

稲見分科員今、裁判中のものが二件だけというふうにおっしゃいましたが、これは継子ということでありましたけれども、養子で裁判中のものはなかったですか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 養子で裁判中の案件はございません。

稲見分科員 違反審査中の部分が定かでない、こういうことなわけですが、これは、対応を大臣がおっしゃっているような形で変更するということであれば、各入管、各現場に周知をする必要もあるというふうに思いますし、後日でも結構ですから、まず、その違反審査中の事案、分母を明確にして、その上で、在留特別許可を与えているというふうな分子、これはすぐにはわからないでしょうけれども、分母、分子の問題については、後日でも結構ですから、御報告をいただきたいと思います。よろしいですか。

 それでは次に、現在、中国で五百五十人ほど残留孤児の方がおられる、こういうふうにお聞きをしております。それぞれの事情があるわけでありますけれども、継子、養子の家族がいるために帰国を断念あるいは逡巡しておられるという家族がないとも限らない、こういうふうに思います。  昨年の答弁では、把握しておられないということでありましたけれども、これからの帰国あるいは呼び寄せについて、継子、養子についても、家族としての実態があればこれは認めますよ、こういうことを中国の側で、中国の方で周知徹底すべきだというふうに考えますけれども、この点、いかがでしょうか。これは厚生労働省ですか。

大槻政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省といたしましては、高齢となりました中国残留邦人の帰国の不安を取り除き、その円滑な帰国を促進する観点から、御指摘のように、継子、養子も含む子供等の家族が中国残留邦人の扶養や介助を行うなど、生活をともにすることを目的として本人に同行帰国される場合には、成年の子一世帯を帰国援護の対象としておるところでございます。現に、本人に同行して継子、養子世帯も帰国をされておるところでございます。

 今後とも、厚生労働省といたしましては、いわゆる自立支援法に基づきまして、永住帰国する際に継子、養子を含む親族が帰国援護の対象となり得ることにつきまして、現地におきましても周知徹底を行いまして、円滑な帰国の促進を図ってまいりたいと考えております。

稲見分科員 同じことを、大使館、総領事館、たくさんありますので、外務省、きょうは来ていただいておりますよね、外務省、いかがでしょうか。

小井沼政府参考人 法務省の行っております在留資格審査と大使館、在外公館の行っております査証の発給というのは、表裏一体をなしているものでございます。外務省といたしましても、中国残留邦人の継子、養子からの査証申請につきましては、法務省等の関係省庁と密接に連絡をとりつつ、適切に対処することといたしたいと存じます。

稲見分科員 よろしくお願いします。

 それで次に、残念ながら、裁判があって、そういう中で、例えば子供が勉強をしているので何とか留学生のビザだけいただけないか、そのかわり親としては帰ります、こういうふうなことで、退去強制令書あるいは自主的に帰国をされた方なんかも現実におられます。

 そういう意味では、こういうふうに法務省として人道的な対応をしていただくということになりますと、既に退去強制処分あるいは自分の意思で帰国した者について、再入国なり原状復帰を考えるべきだというふうに思いますけれども、その点、いかがでしょうか。

南野国務大臣 お尋ねのような方が再び我が国に入国を希望する場合には、個々の事案ごとに、退去強制時の経緯のほか、入国を希望する理由、家族状況、生活状況、素行、内外の諸情勢その他諸般の事情等を総合的に考慮させていただきまして、上陸特別許可の可否について検討することとなります。

 なお、実子同然に本国で生活をしていた養子、継子の方につきましては、このような家族としての実態は、上陸特別許可の判断に当たって考慮すべき事情の一つであろうと思っております。

 ○稲見分科員 ぜひ、今非常に不安定な形で生活をしておられる方につきましては、できるだけ早急に、今法務省の方でお答えいただいたような在留特別許可について御検討いただきたい、こういうふうに思っております。

 加えて、この問題を抜本的に解決することを考える場合、先ほど述べた判決理由を尊重しますと、制度的な保障、いわゆる定住者告示の改定が必要ではないか、こういうふうに考えております。先年申し上げましたが、インドシナ難民の場合には、国際的な責務ということもあり、養子、継子問題、これは外しております。

 そういう意味では、一般的にすべて定住者の告示のところで一般の分まで外すかどうかということは、これは議論がありましょうけれども、例えば、特別、中国残留日本人の帰国問題については継子、養子問題をもう外してしまうというふうなことで改正をしていくべきではないかというふうに思っておりますが、その点、法務大臣、いかがでしょうか。

南野国務大臣 中国残留邦人につきましては、一般の方の対応とは異なった温かい配慮が必要であるということは認識いたしておりますが、このような特別な御事情については、基本的には個々の事情に応じて適切に対応していくのが最もよいと認識いたしております。

 しかしながら、判決があったことを踏まえまして、取り扱いを明確にすべく、幼少時、具体的には六歳未満から実子と同様に育てられ、家族として生活をしてきた方については、その入国を一律に認めるための告示の改正も検討してまいりたいと考えております。

 なお、告示によりまして一律に認めることとならない方につきましても、個々に、実子と同様に育ったか否か、また育ったとすれば、その経緯や現在の家族状況、生活状況等を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

稲見分科員 定住者告示の改正についても言及をいただきまして、ありがとうございます。  ただ、これは六歳というふうに切りますと、現実問題として、例えば、成年になって、年老いていく日本人残留孤児についてお世話をしながら、そういう中で生活をともにし、養子縁組をしたという方も、現実にこの問題なんかはあるわけですよね。ちょっと六歳で切るというのは、せっかくそこまで言っていただいて申しわけないんですが、もう少し、今の帰ってこられている方の実態なんかも見ていただいて検討をいただければというふうに思っております。

 その上で、今おっしゃいました個々のケースとしての在留特別許可については、人道的な立場、歴史性を含めて、これでもう決着をしていくんだという気持ちで、ぜひ法務省としての早急なお取り組み、御判断をいただきたい、このことを重ねてお願いをしておきたいと思います。


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