1 概括報告
国際移住労働者デーにあわせて,1998年から行われるようになった福岡入管と移住労働者と連帯するネットワーク九州との4回目の意見交換会は、12月21日午後1時から午後2時半すぎまで、福岡入管3階の会議室で行われました。入管側から実務担当者9名、ネットワーク九州から9名が参加しました。2001年は、9月のアメリカへのテロ事件以降の入管の外国人への取り締まりや摘発強化の動きが反映してか、入管側が事前に参加者の名簿提出や参加人数を10名以内、時間も実質1時間半以内といってくるなど,昨年までと異なり条件を厳格に要求してきました。入管側から、はじまりにあたって例年同様「@ 録音機の使用はしない。A 質問の際に名前を名乗ってから質問する。B 個別の案件については回答できない」等の注意がありました。会議は,11月22日に事前に提出していた質問項目に沿って入管側が回答し、NGO側が質問する形式で進められ、最後に入管行政へのNGO側からの7項目の要望書を提出し、入管側から職員の人手不足の実情と増員の必要性の説明がなされました。
福岡入管 9名 | ネットワーク九州 9名 |
宮内 総務課長 中村 総務課長補佐 原田 審判部門首席審査官 青崎 審判部門統括審査官 大島 入国在留審査部門首席審査官 永住 入国在留審査部門統括審査官 中村 警備部門統括入国警備官 箱島 警備部門統括入国警備官 樗木 総務課渉外調整官 | アジア女性センター 2名 アトラス 1名 移住(外国人)労働者問題を考える医療従事者の会 1名 北九州・外国人と共に歩む会 1名 コムスタカ 1名 美野島司牧センター 2名 個人会員 1名 |
以下,入管からの回答で注目すべき点を報告します。
T、入管行政に関する質問
@ 2000年2月から施行された改定入管法の退去強制後の上陸拒否期間が1年から5年延長された問題で、国会の付帯決議にあるような人道的な配慮を要するケースの取り扱いにいて、これまで6件あり退去強制後2年以内に2件が許可、2件が不許可、そして2件が現在も審査中との回答を得ました。 A 今年10月から施行されたDV禁止法に関連して、入管側からDV被害の事情も外国人の在留期間の更新や在留資格の変更の際に考慮すること、2001年2月のDV被害者の外国人が「日本人配偶者等」から「定住者」への在留資格が認められていることも明らかになりました。B 在留特別許可申請者が退去強制手続きの過程での仮放免決定の際に保証金額がゼロとなる場合の判断基準について、「病気」など緊急性がある場合、申請者の「資産状況」とともに「逃亡の恐れの有無」等を総合的に判断して決定しているとのことでした。C 裁判で執行猶予付きの有罪判決を受けている外国人の再入国申請について、原則として執行猶予期間中は認められないが,親族の病気など人道的な理由がある場合は許可されることもあり得るとの回答でした。D警察官からの職務質問を受けた外国人が外国登録証や旅券を携帯していない場合に、警察から入管へ在留データの照会がなされたときの対応について、外国人の在留データは全て東京入管がコンピューター管理しており,照会には24時間対応できるとの回答でした。但し、外国人の顔写真の送信などは行っていないとのことでした。
U 2001年3月施行予定の入管法の改定
@ 国際競技や国際会議の円滑な実施を目的とする「上陸拒否」事由の新設について、「恐れ」の第一次的判断は特別審理官が行うことや、同目的のための「退去強制」事由、「不法滞在者」対策として「退去強制」事由の新設は、刑事処分が先行し,その後退去強制手続きがとられることが一般的に考えられるとしながらも、逮捕や起訴がない場合にも入管の判断で退去強制できることがわかりました。A福岡入管での入管法違反を含む「懲役または禁錮1年以上の実刑」を理由として退去強制された者は、2001年1月―11月で40名。うち2001年1月―11月までの刑罰法令等(刑法・売春防止法・覚せい剤取り締まり法違反などを含む)違反による退去強制者は15名。うち入管法別表一の活動を基盤にする在留資格をもって在留する刑法等の法律の罪により懲役または禁錮に処せられた場合の退去強制者は2001年1月―11月で8人でした。この8人は、実刑による退去強制者数で、2001年1月―11月の福岡入管の退去強制者数417人の約2%を占めています。今回の改訂により執行猶予の場合でも退去強制できることになり、適用対象が拡大されて増加することが予想されます。しかし、「入管法別表一の活動を基盤にする在留資格をもって在留する刑法等の法律の罪で執行猶予を含む懲役または禁錮1年以上の罰」という条件に該当する退去強制者は、入管法違反者に比べて少ないので、その増加数は限定されます。B 入官行政の効率化のために権限の地方入管局長への委任の具体的内容は今後省令で決められること、権限のうち形式的に法務大臣の名前で局長が行っていたものと、実質的にも法務大臣が行っていたもの双方が委任となり,これにより迅速な対応が可能となるとのことでした。
V 統計数値に関する質問
福岡入管内で在留特別許可は昨年71件、今年(11月まで)54件で、うち有罪判決を得て上陸拒否事由に該当する者も6件含まれていること、一方、上陸拒否事由者への上陸特別許可は昨年32件が今年(11月まで)68件と増加していること、研修生の総数は1999年は、九州内(沖縄県を含む)1532人 全国26630人という回答でしたから、2000年は九州内で783人増加して2315人へ、全国で9569人も増加して36199人となっています。その一方で、逃亡した研修生や技能実習生の数が2000年の10名程度から2000年(1−11月まで)30名程度に増加していることがわかりました。
W その他
福岡入管の収容定員は36名で,平均収容日数は5日程度、福岡入管職員の平均残業時間は月40-50時間に達していることもわかりました。
2、質問と回答
T 入管行政についての質問
(1)改定入管法施行後の状況について
@ 2000年2月18日より改定入管法が施行され、これにより上陸拒否期間は従来の1 年から5年に延長されました。これまで退去強制後1年経過後に上陸が許可されていたケースで、改定後の退去強制後5年間の上陸拒否事由を理由に上陸が認められなかったケースは何例ありますか。
(回答) 該当ケースなし
A 改定入管法施行後、福岡入管内で、国会の付帯決議の趣旨や人道的な配慮に対応するケースで、退去強制後1年以内に上陸特別許可が認められたケースは何例ありますか、また2年以内に認められたケースは何例ありますか。(昨年は3例が審査中という回答でした)
(回答) 改定入管法施行以降 6件の申請を受理、このうち1年以内の許可されたケースなし、2年以内に許可されたケース2件、不許可2件 審査中 2件
B 新設された不法在留罪で摘発し、警察または検察庁に不法在留罪で告発した例がどの ぐらいありますか。そのなかには「不法入国」して3年以上を経過した移住労働者が自主出頭し入管法違反以外の違反行為がない場合も含まれていますか
(回答該当ケースなし)
(2)日本人配偶者等の在留期間の更新や在留資格の変更等について
DV防止法が10月13日から施行されました。DV被害を受けている外国籍配偶者は、数多くいます。日本人配偶者からDV被害を受けて別居して暮らしている場合の日本人配偶者等の在留期間の更新や、離婚した場合の「定住者」への在留資格への変更に際して審査基準において新たに配慮されるなど入管行政での審査基準の変更は行われていますか。
(回答)個々の案件の事情を総合的に考慮して検討する。一般論として、日本人配偶者等の在留期間の更新については、日本人夫との別居の経緯と期間,別居中の関係,修復の可能性を考慮して判断する。離婚等により日本人配偶者等の在留資格に該当しなくなったケースについては、在留経緯や在留状況,在留目的、生活設計、子どもの状況などを考慮して,定住者への変更を判断する。なお、DV被害も、そのなかの一つの判断理由として考慮することになる。2001年2月のDV被害者に定住者への在留資格の変更を認めている。
(3)定住者ビザの交付や更新基準について
@ 「不法滞在」や「不法入国」等在留資格のないまま長年日本で暮らしている外国籍の夫婦や日本で生まれ、あるいは育っている子どものいる家族が存在しています。このようなのケースでの定住者ビザが認められたケースが福岡入管内でありますか。このようなケースで認められるための判断基準を教えて下さい。
(回答)該当ケースなし。判断基準は特にない、入管法違反者として退去強制手続きの過程で、家族状況や素行などを総合的判断する。
A 外国籍配偶者の連れ子として定住者の在留資格で在留している子が、親から自立して暮らすようになった場合、自らの日本での定着性を理由に定住者の在留資格をえられる場合の基準を教えてください。(回答) 一般論として,在留経緯,在留目的、在留状況,将来の生活設計等を総合的に判断する。なお、日本での在留経過から考え、独立の生計を営めることが認められ,特段の問題がなければ可能となる。
B 日本人の実子を実際に養育していることを理由に定住者の在留資格を有する外国籍親が、子どもが自立して働きだした場合の定住者の在留資格の更新基準を教えてください。
(回答) 在留経過から考えて、外国人親の定着性が相当程度高まっていると思われるので、特段の理由がなければ在留更新が可能となる。
C 離婚等により日本人配偶者等の在留資格から定住者の在留資格(在留期限1年)が認められ、次回の更新時に在留期限が1年となる場合と3年となる場合の基準を教えてください。
(回答)一般論として,在留状況,独立生計維持能力等を総合的に判断するが、これらの要件に該当しているか否か、判断する上で様子をみる必要がある場合など1年となることもある。
D 離婚後、日本人実子等の子どものいない場合や子どもの親権が得られなかった外国籍親が、定住者の在留資格を得られる基準を教えてください。
(回答)一般論として在留経緯,在留目的、在留状況、将来の生活設計等を総合的に判断する。
(4)退去強制手続き及び在留特別許可の運用について
@ 在留特別許可を求めているケースで在宅での違反調査から審査部門へ移る段階で、仮放免のための保釈金額がゼロになる場合のケースは何例ありましたか。またその場合の基準を教えてください。
(回答) このような統計は取っていないので,回答できない。なお,仮放免の保証金額は、法律等で300万円以下と決められており、申請者の資産状況、逃亡の恐れの有無等を総合的に判断して決定する。
A 入管法に違反し、正規の在留資格のない親子の退去強制手続きの過程で子どもについて、収容し続けて 退去強制したケースは何例ありますか、また児童相談所や児童養護施設にあずけた後退去強制したケースは何例ありますか。
(回答) 収容しつづけ退去強制したケースはなし。児童相談所や児童養護施設にあずけたケースは昨年4人、今年1人ある。
B 今年11月5日に熊本県内在住の中国人親子7人が、福岡入管で収容されたが、在留特別許可を申請中も、子どもが2週間以上も収容され続けました。昨年の意見交換会での「子どもの収容はできる限り短くするように配慮する」との回答にも反する子どもの長期収容をなぜ行ったのですか。退去強制手続きをとる場合も、退去強制命令が交付されるまでは、子どもについては、在宅での調査にとどめる配慮はできないのですか。また、口頭審理が終え異議申し立てがなされるまで、子どもの仮放免は認められないのですか。
( 回答 )一般論として子どもの収容は,出きる限りしないようにしている。また,収容する場合も必要最小限とするように配慮している。子どもの年齢、健康状態を考慮して収容か,在宅での調査を決める。収容した場合も、仮放免制度を柔軟にして運用していく。また,仮放免はいつでも申請できる。
C 昨年も違反調査の過程で、調査官から「国へ帰れ」などの威圧や暴言をなさないように申し入れていますが、違反調査に当たる職員への被調査者の人権やプライバシーの配慮に対する研修は、どのように行われていますか。
( 回答 ) 入管職員は,人権に関する研修を受けており、また、上司を通じて人権に配慮するように毎日のように指導している
D 日本人との婚姻等を理由として在留特別許可を申請している場合、在宅での調査中に、その外国人が住んでいるアパートの近所への聞き込みが行われる場合がありますが、その際、プライバシーへの配慮はどのようになされていますか。( 回答 ) 近所への聞き取りに際しては,不信感を持たれないように配慮して行ている。特に法の違反者であることが、近所に知られないように配慮している。
1990年代半ばにホステスをさせていることを違法として摘発が強化され、大幅に減少していた興行による在留資格者が、1996年の2万0103人から2000年は5万3847人と2.5倍以上にこの5年間で増加しています。興行の在留資格の許可基準が緩和されたのですか、また増加の要因についてどのように考えていますか。
(回答) 興行の在留資格について、基準を特に緩和していない。増加の要因は、需要と供給のバランスによるものと思われる。むろん、違反の事実が明らかになれば,厳正に対処する。
(6)再入国許可について
入管法違反で逮捕―起訴され執行猶予付きの有罪判決後に入管へ収容され、60日以内に在留特別許可が認められたケースや、正規の在留資格がある外国人が執行猶予つきで1年を超える懲役又は禁固に処せられた外国人が、親族の病気などで執行猶予期間中に帰国のための再入国許可申請をして帰国することはできますか。また執行猶予期間中の再入国許可の基準に特別なものがあるのですか。
(回答)1年以上の禁固刑に処せられている者は,その執行猶予期間内は,再入国を原則として許可されない。親族の病気など人道的理由による場合は許可されることもある。
(7)警察からの在留外国人の在留資格などに関する入管への照会について
警察が職務質問や旅券不携帯容疑で在留外国人を任意同行した場合、入管への在留資格に関する照会に対して24時間対応できる体制が福岡入管では整備されているのですか。また、入管から警察へ送る情報には、写真つきの情報も送ることができるのですか。
(回答)在留外国人の在留データは、全て東京入管が管理しており、24時間体制で照会に応じることができる。但し、在留外国人の顔写真などの送信は行っていない
(8)難民認定について
アフガニスタンから来日し難民申請しているアフガン難民9名が収容され、東京地裁の判決の判断が分かれたため、5人のみ釈放されています。福岡入管の場合、難民申請中の申請者への収容について、どのような判断基準をもって運用しているのですか。
(回答)難民認定申請者の中には、入管法違反者が含まれている場合もあり,その場合には収容することもありうる。また収容した場合も,仮放免制度を柔軟に運用して対応している。
入管行政についての追加質問
(9)福岡入管内の収容施設
@ 福岡入管の収容定員、平均収容期間、最長収容期間について教えてください。
回答 福岡入管の収容定員36人、2001年1-11月までの平均収容期間5日間、最長収容期間 2000年 59日間 親子関係不存在の証明に伴う。2001年1-11月 47日間 難民認定申請者―収容後東日本入国管理センターへ)
A大村の入国管理センターの収容定員、平均収容期間、最長収容期間について教えてください。
回答(大村の入国管理センターの収容定員 800人) 他は不明として回答なし
B福岡入管および大村の入国管理センターの収容施設内での、被収容者の自殺、病死などにより死亡した件数は過去5年間(1996年〜2000年)にどのぐらいありましたか。
回答 (福岡入管では該当ケースなし) (大村の入国管理センターは不明として回答なし )
C 被収容者が体の不調を訴えた時など、収容施設での医療体制はどうなっていますか。
回答 (本人の申請により 職員による検温 脈拍 血圧測定、問診、薬の服用、必要に応じて医師の往診や、外部の医療機関での診療をおこなっている。)
(10)福岡入管の職員体制について
@ 福岡入管職員の総定員、警備部門、在留審査部門、審判部門の大まかな定員数を教えてください。
回答 (福岡入管職員の総定員は、217人で、うち福岡入国管理局58人警備部門31人、在留審査部門及び審判部門15人、総務課その他12名)
A 福岡入管職員の残業時間は、平均月どのぐらいになっていますか。
回答(一人当たりの月平均残業時間40時間―50時間となっている)
B福岡入管職員の自殺者、過労死、病気による途中退職者数は、過去5年間(1996年〜2000年)にどのぐらいありましたか、
回答(該当するケースは なし)
U来年3月より施行される改定入管法について
1.Wカップなどの国際競技会やサミットなどの国際会議等の円滑な実施
1-1国際競技会等の円滑な実施を妨げる目的で不法に人を殺傷する等をして日本国もしくは日本国以外で刑に処せられ、あるいは退去強制され、日本で行われる国際競技会などに関連する場所で人を殺傷するなどの恐れのある者の上陸拒否について |
質問1 国外で刑に処せられたり、退去強制された者に該当するものの情報はどのように入 手するのですかまた「恐れのある者」との認定の判断基準は誰が、どのような方法で行うのですか。
(回答)フーリガン対策に関する質問と思われるが、外務省や国内外の関係機関を通じて情報を入手して、総合的に判断する。「恐れのある者」との認定は、特別審理官が認定する。認定に不服がある場合には、上陸審判手続きに従って異議の申し立てを行うことができる。
1-2短期滞在の在留資格をもって在留する者で、国際競技会等の円滑な実施を妨げる目的で不法に人を殺傷し、人に暴行を加え、人に脅迫し、また建造物その他の物を損壊した場合の退去強制について |
質問2 退去強制される判断基準は、同容疑で警察により逮捕された場合か、起訴された場合か、あるいは、起訴や逮捕の事実がなくとも退去強制されることは可能なのですか、
(回答)一般的には、刑事手続き終了後に退去強制手続きが行われることになると思れるが、逮捕や起訴がなくとも退去強制することができる。
2.外国人犯罪対策
2-1入管法別表一の活動を基盤にする在留資格をもって在留する刑法等の法律の罪により懲役または禁錮に処せられた場合の退去強制 |
質問3 現行法の「懲役または禁錮1年以上の実刑」を理由として退去強制された者は福岡入管内で過去5年間(1996年〜2000年)に毎年何人いますか、またそのうち入管法別表1の在留資格を持つ者は過去5年間毎年何名いましたか。
(回答) 統計を取っていないので、2001年1―11月の「懲役または禁錮1年以上の実刑」を理由として退去強制された者が40名前後としか答えられない。(『不法入国』などによる実刑者も含んでいる数字)
(後日の再回答)最初の40人という数字は、入管法違反での「懲役または禁錮1年以上の実刑」による退去強制者を含んでおり、現行法の「懲役または禁錮1年以上の実刑」を理由として退去強制された者は1997年 1人、1998年 4人、1999年 4人 2000年 4人 2001年1月―11月 8人。
質問4今回の改定により、新たにどのぐらい退去強制者が増加すると見込んでいるのですか。
(回答)不明
2-2入管法別表一の活動を基盤にする在留資格をもって在留する刑法等の法律の罪により懲役または禁固に処する判決を受けた者で、その後出国し本邦外にある間に判決が確定し、確定の日から5年を経過していない者の上陸拒否 |
質問 5 刑事事件での判決確定前に退去強制される場合とは、どのような場合におこりえるのですか。また、福岡入管内で入管法別表一の活動を基盤にする在留資格をもって在留する刑法等の法律の罪により懲役または禁錮に処する判決確定前に退去強制された者は過去5年(1996年〜2000年)毎年何人いるのですか。
(回答)1審判決後控訴期間2週間以内に退去強制を望む者は、判決確定前に退去強制される。控訴した場合は、訴訟を取り下げることをしない限り、判決確定するまで退去強制することはない。2001年1―11月 103件。(この103件は、後日、入管法違反によるものを含む執行猶予付の有罪判決後に退去強制された者の数であることがあきらかとなる)2002年3月施行の改定入管法は、執行猶予つきの有罪判決者にも退去強制ができるようになった。その改定に対応して、判決確定前に出国した者に、判決確定した日から5年間の上陸拒否期間を設けることとなった。
3.「不法入国者」「不法滞在者」対策
3-1在留資格認定証明書の公布等に際し、文書等を偽造、変造した者、虚偽の文書等を譲渡、斡旋等をした者の退去強制 |
質問 6 これらの者の認定は、同容疑で逮捕・起訴され、有罪が確定された者に限定されるのですか、あるいは入管職員が独自に判断することになるのですか。また、この改定に該当する者は、福岡入管内で過去5年間(1996年〜2000年)に何人いるのですか。
(回答) 入管職員が独自に判断して、退去強制することができる。 統計は不明。
4.審査官の審査権限の強化
4-1 証明書交付や上陸特別許可や在留特別許可などに関する入国審査官の実態調査報告請求権限の強化 4-2 口頭審理における特別審査官の報告請求権限の強化 |
質問7 これらの権限強化の目的、及びこの改定により証明書交付や許可手続きがどのように変化するのか説明してください。(回答) これまで、書類のみで判然としない場合に、補助機関へ質問するなど任意の行政調査であったが、法的根拠をもつ調査になることで円滑に調査を行えるようになる。
5.入管行政の効率化
5-1 永住許可と難民認定を除く法務大臣の権限の地方入国管理局長への委任 |
質問 8 この委任により、委任される権限はどのようなものがあるのですか。また、この委任により在留特別許可や上陸特別許可、在留資格認定申請許可手続きなどは、どのぐらいの期間が短縮されていくのですか。(回答) 現在内容は検討中で、省令で内容が決められることになるが、永住許可と難民認定を除いて、これまで法務大臣の名前で地方入管局長が実質的に判断していた権限と本省へ送付し法務大臣が名前だけでなく実質的にも判断していた権限の双方が委任の対象となる。その結果地方入管局長の権限となり、従来よりも短期間に迅速な判断が可能となる。
V 統計数値に関する質問
件数または人数は、2000年及び2001年(1月から11月末日)について、それぞれお答え下さい。 ( )が昨年の福岡入管からの回答
1.福岡入管管内での在留特別許可の運用の現状について
@ 在留特別許可が認められた件数
回答(1999年 42件 2000年 71件 2001年1-11月 54件)
A 福岡入管で収容中に60日以内で在留特別許可が認められた件数
回答(該当者なし)
B 1年以上の懲役または禁固刑の有罪判決(執行猶予付き判決も含む)を受けるなど上陸拒否事由者に該当するケースで、 退去強制されずに在留特別許可が認められた件数、 (1999年 4件 2000年 2件 2001年1-11月 6件 )
2.福岡入管内での上陸特別許可の運用の現状について
@退去強制された移住労働者のうち上陸拒否事由該当者で上陸特別許可が認められた件数
(上陸特別許可者 1999年 39件 2000年 32件 2001年1-11月 68件)
但し、この中には査証(ビザ)なし、旅券喪失者への許可を含む
@ 退去強制された移住労働者のうち上陸拒否事由該当者で上陸特別許可が1年以内に認められた件数
回答(該当ケースなし)
A 入管法違反で逮捕―起訴され、執行猶予つきで1年以上の懲役の有罪判決が確定し退去強制された上陸拒否事由者が、日本人配偶者等の婚姻を理由として、執行猶予期間内に上陸特別許可が認められたケースは何例ありますか。
回答(該当ケースなし)
3.福岡入管内上陸拒否者
@ 福岡入管管内の空港や港で、来日しながらも上陸拒否された外国人は何人かを教えて下さい。
(1999年 465件 2000年 234件 2001年1-11月 456件)
4.福岡入管の退去強制処分について
@ 福岡入国管理局管内で退去強制された者の内訳などについてお尋ねします。
退去強制者の総数1999年 663人 2000年 401人 2001年1-11月 417人
うち不法残留者(2001年1-11月173人)
うち不法入国者 (2001年1-11月201人)
うち不法上陸者(2001年1-11月20人)
うち資格外活動 (2001年1-11月8人)
うち刑罰法例違反者(2001年1-11月 15人)
A 退去強制者のうち福岡入管より警察・検察に告発された人数と、告発理由別内訳数
(2000年1件 3人 公正証書不実記載 2001年1-11月 3件 3人
内訳,入管法違反者1人、公正証書不実記載 2人)
A 帰国のための旅費をもたず、他に工面してもらえるあてのないため国費で退去強制者される者は、年間何人ぐらいいますか。その場合、国費で退去強制さるまで平均どのぐらいの期間収容されているのですか。
2000年(該当者なし) 2001年1-11月 3人 (被収容者の健康状態が悪いため、収容17日と27日目で国費送還)
5.研修生及び技能実習生について
@2000年の九州内の研修生の総数と各県別の数
回答 (九州内 2315人 全国 36199人の6.4%)
内訳 福岡県552人 佐賀県226人 長崎県333人 熊本県325人
大分県259人 宮崎県254人 鹿児島県188人 沖縄県178人
研修生の総数は1999年九州内 1532人 全国 26630人という回答でしたから、2000年は九州内で783人増加して2315人へ、全国で9569人も増加して36199人となっています。
A 2000年及び2001年11月末現在の九州内の研修生及び技能実習生で失踪、逃亡した者の数を教えて下さい。
回答 2000年(研修生・技能実習生をあわせて10名弱)
2001年1-11月 (研修生・技能実習生をあわせて30名ほど)
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