コムスタカ―外国人と共に生きる会

入管政策について


2003年12月16日 第6回福岡入管との意見交換会報告
中島真一郎(コムスタカ−外国人と共に生きる会)

 1998年以降行われている福岡入管と移住労働者と共に生きるネットワーク九州との6回目の意見交換会が、2003年12月16日午前10時から午前11時半過ぎまで、福岡入管の3階会議室でおこなわれました。移住労働者と共に生きるネットワーク九州から11名が、福岡入管からは、これまでの実務担当者が10名前後出席して行われる方式から、今回は福岡入管総務課渉外調整官一人が出席して回答と説明を行う方式に変更となりました。また、質問書への回答も、具体的な基準を問う質問へは、抽象的一般的な回答にとどまるものが増えたり、具体的な数字を聞く質問に対しても、「統計を取っていない」として回答がなかったものが増えて、入管の姿勢が消極的となる傾向が見られます。それでも、全国の地方入管の中で福岡入管が唯一地方入管としてNGOとの意見交換を行っており、上陸拒否事由者への上陸特別許可者の増加や「不法滞在者」の摘発数の増加や研修生・技能実習生の所在不明者の増加などが明らかになるなど入管行政の実情を知り、あるいはNGO側の要望を直接伝える場としての意義は大きいと思います。
 12月16日は、参加者の自己紹介をした後、事前に提出していた質問項目に対する回答が、福岡入管より口頭で説明されました。その後いくつかの質疑を行い、移住労働者と共に生きるネットワーク九州からの11項目の要望書を福岡入管へ提出しました。2004年以降も意見交換会を継続すること、及び実務担当者も参加した形式に戻して開催することを要望書の最後の項目の中で要望しました。以下、福岡入管への回答の全文は資料1として、移住労働者と共に生きるネットワーク九州の福岡入管への要望書は、資料2として、全文掲載しておきます。

資料1、福岡入管への質問と回答

T 入管行政についての質問

 (特に指定のない質問への数字での回答は、福岡入管内の2002年と2003年(1月から10月)のものをご回答ください。)

(1) 2000年2月施行の改定入管法施行後の状況について

1 改定入管法施行後、福岡入管内で、国会の付帯決議の趣旨や人道的な配慮に対応するケースで、退去強制後1年以内に上陸特別許可が認められたケース、2年以内に認められたケース、3年以内に認められたケースは何例ありますか。また、許可されたケースのうち日本人等(永住者や定住者を含む)との婚姻のケースは何例ありましたか。(昨年は5年上陸拒否期間中に交付したものが、9件あるという回答でした)

回答
 2002年  9件   2003年1−10月  4件

2 許可されたケースのなかで、懲役また禁錮1年以上(執行猶予付きを含む)の有罪判決後退去強制される等、いわゆる上陸拒否事由者のケースは何例含まれていましたか。(昨年は、該当ケースなしという回答でした。)

回答
 2003年1−10月  2件

3 新設された不法在留罪で摘発し、警察または検察庁に不法在留罪で告発した例がどのぐらいありますか。(昨年は、該当事例なしという回答でした。)

回答
 2003年1−10月  該当ケースなし。

(2) 日本人配偶者等の在留資格の更新について

 DV防止法が2001年10月13日から施行されました。DV被害を受けている外国籍配偶者は、数多くいます。日本人配偶者からDV被害を受けて別居して暮らしている場合の「日本人配偶者等」の在留資格の更新や、離婚した場合の「定住者」への在留資格への変更に際して、DV被害者であることは考慮される事情となるのでしょうか、また考慮されるとすれば、どの程度有利な事情となるのでしょうか。

回答
 最終的には日本人配偶者等の在留資格に該当するか否かは、別居にいたった個別的な事情等を考慮して判断されることになるが、婚姻関係の実体がないと判断された場合には許可されない。また、婚姻関係の実体がないと判断された場合にも、個々の事情を総合的に判断して定住者の在留資格に変更が許可されることもありうる。

(3) 定住者ビザの交付や更新基準について

1 「不法滞残留」や「不法入国」等在留資格のないまま長年日本で暮らしている外国籍の夫婦や日本で生まれ、あるいは育っている子どものいる家族が存在しています。2003年このようなケースでの定住者ビザが認められたケースが福岡入管内でありますか。(昨年は、該当ケースなしという回答でした)

回答
 該当ケースなし。

2 離婚後、子どもの親権が得られず、実際の養育を行っていないが、定期的に子との面接を行っている外国籍親のケースのように、1996年7月30日法務省通達の要件に該当しないケースで、定住者の在留資格への変更が認められたケースはありますか。

回答
 このような統計を取っていないので、回答できない。

(4)退去強制手続き及び在留特別許可の運用について

1 自主出頭して在留特別許可を求めているケースで在宅での違反調査から審査部門へ移る段階で、仮放免のための保証金額がゼロになる場合がふえていますが、保証金がゼロになる場合とならない場合の基準を教えてください。

回答
 個々の被収容者の事情で判断しているので、基準はない。

2 入管法に違反し、退去強制手続きの過程で未成年について、退去強制したケースは2002年に何例ありますか、また、小学校、中学校、高校と就学中に退去強制されたケースは何例ありますか。

回答
 このような区分での統計を取っていないので、回答できない。

3 退去強制手続きの過程で、異議申し立てを行った場合には特別審理官による口頭審理がおこなわれますが、この口頭審理には異議申し立て者が希望すれば第三者でも立会人として同席できることが認められています。福岡入管では立会人が立ち会うことができることを事前に異議申し立て者に説明することはしていないのですか、

回答
 容疑者が特別審理官の判定に異議申し立てを行う場合に、容疑者が希望すれば口頭審理に容疑者の知人、親族などを立会人として同席できることを説明する文書(日本文と英語文)の中で説明している。また、英語が理解できない外国人の場合には、通訳者がその外国人の母国語で伝えている。

(5)福岡入管内の収容施設

1 福岡入国管理局の収容定員、2002年及び2003年1−10月の平均収容期間、最長収容期間について教えてください。

回答
 福岡入国管理局の収容定員 2003年 36名
 2002年の平均収容期間、  4.39日 最長収容期間  33日間
 2003年1−10月の平均収容期間 3.39日 最長収容期間 23日間

2 福岡入管の収容施設内での、被収容者の自殺未遂(自傷行為)を引き起した件数は、2002年および2003年1−10月までにどのぐらいありましたか、

回答
 該当ケースはありません。

(6)福岡入管の職員体制について

1 2003年度福岡入管職員の総定員、警備部門、在留審査部門、審判部門の大まかな定員数を教えてください。また、2003年度は前年度に比べてどの分野にどのぐらい増員がなされましたか。

回答
 2003年12月1日現在 福岡入管職員の総定員214人、福岡本局 58人
 (内訳 警備部門31人、入国在留審査部と審判部門11人 その他16人)
 2003年度の増員はゼロ。

2 2002年及び2003年1−10月福岡入管職員の一人当たりの月平均残業時間はどの程度になっていますか。(昨年の回答は2003年一人当たりの月平均残業時間は、30−40時間)

回答
 2002年および2003年1−10月の月平均残業時間 30−40時間

U 2003年国会で提案された改定入管法案の改正目的と内容を説明してください。

 (2003年の通常国会で提案された入管法改定案は、廃案となり2004年の通常国会で、再提案されるのかどうかは、現時点では不明とのことでした。以下は、提案の趣旨の説明です。)

1 難民認定制度の見直しに関して、仮滞在許可制度の創設の趣旨と内容を教えてください。また、難民として認定された者などの法的地位の安定化は、どのようにはかられるのですか、

回答
 現行法では、難民認定申請の手続きと退去強制手続きが同時並行的に進められるため、難民認定申請者の法的地位を安定化をはかるために仮滞在許可制度を創設し、難民認定申請者のうち一定の要件の下に仮滞在を認める趣旨であったと承知している。

2 在留資格の取り消し制度の新設について、(「当該在留資格に応じ同表下欄に掲げる活動を継続して3ヶ月以上行わないで在留していること」に関して)入管難民認定法の別表1の在留資格該当者に適用し、別表2の在留資格者に適用しとしない理由と、どのような場合に在留資格が取り消されることになるのですか。

回答
 日本人や永住者との婚姻関係にも基づいて在留資格が認められている入管法の別表2の在留資格者は、日本社会とのつながりが深いこと、活動の範囲が広いことなどから、在留資格の取り消し制度の対象としない趣旨であったと承知しています。
 入管法別表1(及び別表2)の在留資格者に適用される在留資格取り消し制度は、@氏名変更して別人になりすましして上陸した者、A申請者自身の氏名を偽り上陸したもの、B申請者の受け入れ期間中にその他虚偽申請を行って上陸が認められたものなど、偽りやその他不正な手段により、が在留資格を取得したことが明らかとなった場合に、在留期間中であっても在留資格が取り消される

関連質問、
 入管法の別表1(及び別表2)の在留資格者に適用される在留資格取り消し制度は、以上の@からBなどの理由であれば、これまでも上陸許可が取り消され、そして在留資格も同時に失うことで退去強制処分となっていたはずだが、新たに在留資格取り消し制度を設ける理由を明らかにしてほしい。

回答
 明白な瑕疵があることから、上陸に遡って上陸許可の取り消しはあるが、在留資格取得後に、たとえば留学生や就学生が大学や日本語学校を除籍・退学などになり、在留活動を行っていない場合に、これまでは在留期間中は退去強制手続きが行えなかったが、在留資格取消制度の創設により、このような場合にも帰国を促し、場合によっては退去強制することができるようになる。

3 精神障害者に係る上陸拒否事由の見直しについて、全面削除せず、拒否対象者として、「精神上の障害により事理を弁職する能力を欠く常況にある者などで所定の補助者が随伴しない者」を残した理由を教えてください。

回答
 精神障害者の上陸拒否事由を、一律に対象としていた規定を改め、必要かつ合理的な範囲に限定するように改める趣旨で、精神障害者のうち判断能力を欠く常況にある者で、かつ補助する随伴者がいない場合に限定するように変更したいという趣旨であったと承知している。

V その他

1  入管法難民認定法違反で入管施設に収容され、退去強制令書発付後に再審情願として、法務大臣により在留資格が付与され釈放されたケースは、福岡入管管内で過去にありますか、あるとすれば退去強制令書発付後に法務大臣により在留特別許可を得る場合とはどのような場合が考えられますか。

回答
 このような統計を取っていないので回答できない。

2 日本人父親が身元保証人にならない場合など、日本人父親が日本への外国籍の母と子の呼び寄せに協力しない場合の、外国に居住している外国籍の母子が、国籍の回復や日本での定住のための来日を希望する場合の在留資格を取得できる場合には、どのような場合がありえますか。

回答
 日本人配偶者としての法律関係にない場合や、法律関係があっても日本人配偶者等の活動実態が伴わない場合には、入国できない。なお、日本人の子の親権をもち、実際に子を養育している場合には、個々の事情によっては定住者の在留資格に該当すると認められる場合には、入国ができる場合もある。

3 出身国にいる年老いた親を日本で一緒に暮らしながら扶養したいと希望する外国人の相談が増えていますが、「定住者」あるいは「特定活動」の在留資格で入国が認められる場合の基準を明らかにしてください、

回答
 定住者の在留資格や特定活動の在留資格に該当するかどうかは、個々のケースの」事情を総合的に判断して決められるので、特に基準はない。

4 本国にいる家族を日本に呼び寄せるため「定住者」の在留資格で在留資格認定許可申請を行う場合で、特に問題なく要件を具備している場合には、許可―不許可決定がなされる期間の目安はどのぐらいですか、また、申請者に渡される入管の「お知らせ」では、「申請についての審査結果について、1ヶ月を越えてなんら通知もないときは、下記の電話番号にご紹介願います」とかかれていますが、一般的に福岡入管では、審査期間は1ヶ月以内を目安に運営されていると理解してよいのでしょうか、

回答
 当局においては、処分の迅速化に努めており、処分までの期間は別にして、審査期間は1ヶ月を目安としている。

5 農業研修生の受け入れ団体の運営が、その費用(年間研修生一人当たり80−100万円)の大半を受け入れ農家から徴収して運営されている場合に、農業研修生の受け入れ団体として認められますか。また、もし認められない場合には、入管として調査や指導や是正措置をとることができますか。

回答
 当局は、研修制度についての指針に研修内容が該当するかを審査するが、ご質問のような研修生受け入れの第一次受け入れ機関の運営内容に及ぶ、審査はしていない。

W 統計数値に関する質問

 件数または人数は、2002年及び2003年(1月から10月末日)について、それぞれお答え下さい。    (  )が昨年の福岡入管からの回答

(1).福岡入管管内での在留特別許可の運用の現状について

1 在留特別許可が認められた件数 (2002年65件、2002年1−10月 150件)
  但し、更新期限に2ヶ月以内遅延した場合の在留特別許可者とそれ以外の在留特別居許可者の内訳明らかにしてください。

回答
 2002年         137件
 2003年1−10月    313件

2 福岡入管で収容中に60日以内で在留特別許可が認められた件数
  (該当者なし  即日在留特別許可は2002年1−10月約40件)

回答
  2003年1−10月  1件
 (2003年1−10月   即日在留特別許可は160件)

3 1年以上の懲役または禁固刑の有罪判決(執行猶予付き判決も含む)を受けるなど上陸拒否事由者に該当するケースで、 退去強制されずに在留特別許可が認められた件数、
  (2001年 8人 2002年1−10月 8人)

回答
 2002年 9人
 2003年1−10月 6人

(2).福岡入管内での上陸特別許可の運用の現状について

1 退去強制された移住労働者のうち上陸拒否事由該当者で上陸特別許可が認められた件数と入管法第5条該当者数を明らかにして下さい。
  (上陸特別許可者2001年72件 うち入管法第5条該当者数 2件 2002年1-10月 うち入管法第5条該当者数 7件)

回答
 上陸特別許可者 2002年 33件 うち入管法第5条該当者数 9件
 (2003年1−10月 29件 うち入管法第5条該当者数 4件)

2 退去強制された外国人のうち上陸拒否事由該当者で上陸特別許可が1年以内に認められた件数
  ( 該当者なし )

回答
 2003年1−10月  該当者なし

3 入管法違反で逮捕―起訴され、執行猶予つきで1年以上の懲役の有罪判決が確定し退去強制された上陸拒否事由者が、日本人配偶者等の婚姻を理由として、執行猶予期間内に上陸特別許可が認められたケース、及び執行猶予期間後に認められたケースはそれぞれ何例ありますか。

回答
 そのような事例は承知しておりません。

(3).福岡入管内上陸拒否者

1 福岡入管管内の空港や港で、来日しながらも上陸拒否された外国人は何人かを教えて下さい。
  (2001年 663人  2002年1−10月 約490人 拒否事由は入国目的に疑義がある)

回答
 2002年        555人
 2003年1−10月  342人

(4).福岡入管の退去強制処分について

1 福岡入国管理局管内で退去強制された者の総数及び内訳などについてお尋ねします。
  退去強制者の総数(2001年 448人 2002年1−10月 約360人)
  うち不法残留者  (2001年 187人 2002年1−10月 約180人)
  うち不法入国者  (2001年 215人 2002年1−10月 約150人)
  うち不法上陸者  (2001年  20人 2002年1−10月  約10人)
  うち資格外活動と刑罰法令違反者(2001年26人、2002年1−10月20人)

回答 
 退去強制者の総数(2002年 440人 2003年1−10月 約490人)
 うち不法残留者  (2002年 236人 2003年1−10月 約350人)
 うち不法入国者  (2002年 169人 2003年1−10月 約110人)
 うち不法上陸者  (2002年  14人 2003年1−10月  約10人)
 うち資格外活動と刑罰法例違反者(2002年  21人 2003年1−10月  約20人)

2 退去強制者のうち自主出頭による者は、何人ですか。
  ( 2001年 85人   2002年未集計)

回答  
 2002年 81人  2003年未集計

3 退去強制者のうち福岡入管より警察・検察に告発した人数と、告発理由別内訳数
  (2001年 8人 入管法違反2人、公正証書不実記載5人 偽変造(偽造文書行使)など1人  2002年は未集計)

回答
 2002年  3人(入管法違反) 2003年未集計

4 帰国のための旅費をもたず、他に工面してもらえるあてのないため国費で退去強制者される者は、年間何人ぐらいいますか。その場合、国費で退去強制さるまで平均どのぐらいの期間収容されているのですか。
  (2001年 3人   2002年1−10月は該当者なし)

回答
 2002年        該当者なし
 2003年1−10月  該当者なし

(5).研修生及び技能実習生について

1 2002年の九州内の研修生の総数と各県別の数
  (2002年 九州7県 研修生2037人 沖縄県を含む2231人 各県別内訳数の回答あり)

回答
 2002年12月現在
  外国人研修生  九州7県内 2194人 (沖縄県を含むと 2328人)
  福岡県 389人  佐賀県 194人  長崎県 362人  熊本県 381人  大分県 324人  宮崎県 289人  鹿児島県 255人  沖縄県 134人

2 2001年及び2002年1月−11月末現在の九州内の研修生及び技能実習生で失踪、逃亡した者の数を教えて下さい。
  (研修生・技能実習生をあわせて、2002年40名)

回答
 2002年  54人  2003年1−10月 77人

3 現在技能実習生に認められている職種の数は、いくつありますか。
  (61種類)

回答
 62種類  食鳥処理加工業


要  請  状

福岡入国管理局長殿

2003年12月16日、 移住労働者と共に生きるネットワーク・九州
 連絡先 福岡市博多区美野島2-5-31 美野島司牧センター内
      ・ 092-431-1419 FAX092-431-5709、

共同代表 
  岩本光弘(福岡県遠賀町)
  コース・マルセル(福岡市・美野島司牧センター)
  塚田ともみ(鹿児島市・ATLAS)
  中島真一郎(熊本市・コムスタカ- 外国人と共に生きる会)

(1)、入管行政について

1、 外国人に記入させて提出書類を渡す場合、日本語の文書とともにその訳文(英語、韓国語、中国語、フイリピン語、タイ語、スペイン語、ポルトガル語、)をつけて渡して下さい。

2、 入管職員への研修の際、NGOの推薦する講師、あるいはNGOメンバーを講師として、人権問題の研修を行ってください。

(2)、退去強制手続きについて

1、 在宅での違反調査から審判部審査に移る前の仮放免手続きの際の保証金を取ることを廃止して下さい。

2、 子どもの収容を行なわないようにして下さい。

3、 国費退去強制者が退去強制されるまでの収容期間を明確にし、できるだけ短期間の収容で帰国できるようにして下さい。

4、 被収容者の病気や体の変調に際して対応できる収容施設での医療ケア(精神的ケアも含めて)の体制を充実させてください。退去強制手続きの過程をわかりやすく説明した図表を多言語でつくるなど、退去強制に応じたくない場合には異議申し立てを行い、法務大臣への在留特別許可を申請できることを必ず理解できるようにしてください。

(3)、在留特別許可について

1、 違反調査の際、入管法に違反したことへの説教や非難、「退去強制させる」等の 脅迫的言動やプライベートなことに関する質問を控え、違反認定のための客観的な調査にとどめて下さい。

2、 日本人等との婚姻や日本人等との実子を養育していることなどを理由とする在留特別許可申請については現行の三審制を1回の審査で済むように改める等、増大傾向にある在留特別許可申請に対応できる制度に改善して下さい。

3、 日本人父親から認知を得た子を実際養育している在留資格のない外国籍の母親に対して在留特別許可による定住者の在留資格が取得できることを明確にしてください。

4、 在留資格のない外国籍の家族について、子どもが就学中の場合には在留特別許可により定住者の在留資格も認めるようにして下さい。

5、 入管法違反で収容され、退去強制令書発付後に、日本人等との婚姻届が受理された場合には、再審情願により法務大臣の裁決を見直し在留特別許可を与えるようにしてください。

(4)、日本人配偶者等のビザ更新について

1、 離婚に至っていないが夫婦関係が悪化しており、日本人配偶者が外国人配偶者のビザ更新に協力しない場合にも、離婚が成立するまでは、外国人配偶者からの必要書類の提出だけで、日本人配偶者等のビザの更新が認められることを明確化して下さい。

2、 日本人等との子を養育している外国人配偶者は、日本人配偶者等の在留資格から定住者への在留資格の変更が、離婚成立前でも可能であることを明確にして下さい。

(5)、定住者ビザへの変更について

1、 日本人配偶者との離婚や死別等により配偶者ビザから定住者ビザへの変更を希望するケースで、子の親権のない場合でも、子の面接を行うなど子との交流を続けているケースでは、定住者ビザへの変更が認めるようにしてください。

2、 日本人配偶者との離婚や死別等により配偶者ビザから定住者ビザへの変更を希望するケースでで、日本人配偶者等の在留資格で3年間の在留期間のビザを有しているケースで、日本での定住を希望する場合は、原則として定住者の在留資格への変更を認めてください。

3、 定住者の在留資格認定許可申請に際して、許可の判断がなされる時期のめどを申請者に明確に伝えるようにしてください。

(6)、DV防止法の施行に伴う措置について

1、 外国籍のDV被害者に対して、夫と離婚成立前であれば日本人配偶者等の在留資格の更新を、離婚後であれば日本人配偶者等の在留資格から定住者の在留資格への更新を認めてください。

(7)難民認定について

1、 現在の来日後60日以内に申請しなければならない規定(いわゆる60日ルール)を改正し、大幅に延長するようにしてください。

2、 難民認定の申請者に対して、審査中において収容施設に収容せず、在宅で難民の認定のための審査を行うようにしてください。

3、 難民認定の申請者に対して、審査中においても申請者の住居・医療・教育・福祉・生活・仕事など人道的に配慮した施策を行うようにしてください。

(8)家族の結合の基準の見直しについて

1、 現行の入管難民認定法の定住者告示(1990年)では、「定住者の在留資格が認められるためには、」普通養子は「6歳未満」、再婚した配偶者の実子は「未婚・未成年」が要件として規定されていますが、家族の実態がある場合には、上記の要件を緩和し、「定住者」の在留資格を認めるようにして下さい。

2、 中国残留邦人の家族については、現行の入管難民認定法の定住者告示(1990年)に規定されているインドシナ難民と同様に、「普通養子」には6歳未満の要件をなくし、また、「その他の随伴する家族については、人道的に配慮する」という人道配慮条項を適用し、家族の結合の基準を緩和して下さい。

3、 日本人との子を国外で養育する外国籍親が、日本での子の国籍取得手続きや定住するため来日を希望する場合に、日本人親が身元引受人にならない場合にも、ビザは発行し、来日できるようにしてください。

4、 出身国にいる年老いた親を呼び寄せ日本で一緒に暮らしたいと希望する外国人に対して、親が来日して子どもと一緒に日本で定住できるようにしてください。

)、収容施設での収容者の取り扱いについて

1、 裁判係争中の収容者、病気のある収容者、障害のある収容者、妊娠中の女性などに対して、仮放免を認め、収容施設ではなく在宅で暮らせるようにしてください。

10)、九州内の農業研修生について

1、 九州内の農業研修生の受け入れ団体について、その運営内容や受け入れ態勢を調査し、ビザ発行条件に適合しているか審査してください。

11)、意見交換会への入管の実務担当職員の出席を要請します

 今年度の意見交換会は、「上の判断」によるとして一方的に入管側出席者が渉外調整官一人となりました。来年度以降、福岡入管と移住労働者と共に生きるネットワーク九州との意見交換会を継続すること、及び入管側出席者を渉外調整官だけでなく、昨年度まで意見交換会に出席していたように質問に関連する実務担当職員が出席して行わるようにすることを要請します。


戻る