移住労働者と共に生きるネットワーク九州と福岡入管との
第13回意見交換会報告 質問と回答
2011年2月22日 中島 真一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会)
はじめに
移住労働者と共に生きるネットワーク九州と福岡入管との第13回意見交換会は、
2011年2月22日(火)午前1時30分から午後3時すぎまで、福岡入管3階会議室で行われました。
福岡入管側から実務担当者3名(入国在留審査部門、警備部門、審判部門の統括審査官)が出席し、
総務課の渉外調整官1名の計4名が出席しました。
また、移住労働者と共に生きるネットワーク九州から6名が参加しました。
最初に出席メンバーの自己紹介を双方行い、2011年1月中にネットワーク九州事務局が事前に
福岡入管に文書で提出していた質問項目に対する回答の説明が約30分間ありました。その後、
福岡入管からの回答に対して、退去強制者の増加の問題、研修―技能実習生の問題、
2012年からの改定入管法の運用と入管職員の増員問題、男性の人身取引被害者の保護の
施策やDVの外国籍被害者及び別居中のビザ更新や変更問題、運用問題、
研修生―技能実習生問題など約1時間あまり質疑を行いました。そして、
最後に、ネットワーク九州から法務大臣と福岡入国管理局長あて8項目の要請書を提出しました。
以下は、重要と思える質疑応答でなされた入管の回答
福岡入国管理局への質問と回答
移住労働者と共に生きるネットワーク・九州
T、質問と回答
1、出国命令制度、在留資格取消制度、難民認定申請件数や認定件数
@ 出国命令制度により出国した外国人は何人いますか。
『昨年の回答』 2008年 39名 2009年 29名
『今年の回答』 2010年 37名
A 在留資格取消がなされた外国人は、何人いますか。
『昨年の回答』 2009年 2名
『今年の回答』 2010年 8名
B 難民認定申請件数及び難民認定件数は、何件ありましたか。
『昨年の回答』 2009年 認定申請件数4件 認定件数 0件
『今年の回答』 2010年 認定申請件数8件 認定件数 1件
2、個人識別情報の提供義務化
@ 上陸審査時における外国人の指紋や顔写真など、個人識別情報の提供義務化が2007年
11月20日から施行されるようになりました。個人識別情報提供義務化により2010年中に福岡入管
管内で上陸を拒否された者、退去を命ぜられた者、退去強制の手続をとった者の人数をお答え下さい。
『昨年の回答』 全国ベース 2009年11月20日〜2010年12月31日まで 個人識別情報提供
義務化により上陸を拒否された者 2412名、退去強制の手続を取った者 140名
『今年の回答』 2010年は集計中
A 2010年中に福岡入管管内で免除対象者でないにもかかわらず、個人識別情報の提供を拒否して
退去強制を命じられた外国人の数は何人ですか。
『昨年の回答』 2009年 0名
『今年の回答』 2010年は集計中
3、外国人登録及び外国人労働者届出義務化と入管による摘発
在留資格のない外国人が、市町村の窓口で外国人登録を行った場合、市町村から入管に必ず報告がなされますが、
外国人登録の情報をもとに入管が摘発したケースは、2009年、2010年中に何件ありましたか、また、入管単独の場合と、
警察と合同しての摘発の場合の件を明らかにしてください。
『昨年の回答』 2008年 2件(警察合同) 2009年 0名
『今年の回答』 2010年 0件
4、行政訴訟、裁決の見直しについて
在留特別許可を認めない裁決を行い、退去強制令書が発付された事例のなかで、入管側が裁判で敗訴し
その判決が確定して在留特別許可を付与した事例、裁判中に和解、あるいは訴訟の取り下げにより
在留特別許可を付与した事例、裁判以外に、それぞれ福岡入管の2010年の事例で何件ありましたか。
『昨年の回答』 2009年 該当者なし
『今年の回答』 2010年 0件
5、E-メール通報制度による摘発
法務省は2004年2月よりE-メールによる通報制度をおこなっていますが、このE-メール通報制度により、
通報の対象者が福岡入管内在住の場合に連絡を受けて摘発をしたケースは、2010年中何件ありましたか。
『昨年の回答』 2009年 1件 1名
『今年の回答』 2010年 0件
6、人身売買の被害者の保護について
人身取引(トラフイッキング)の外国籍の被害者が入管難民認定法違反者で退去強制対象者の場合にも、
在留特別許可を付与し、被害者保護として特別な配慮するとしています。福岡入国管理局は、
人身売買の被害者の保護として、入管難民認定法の運用においてどのような配慮がおこなわれてきたかを
知りたく以下の質問をします。
@ 2010年の「興行」の在留資格者の退去強制者数を教えてください。
『昨年の回答』 2009年 2名
『今年の回答』 2010年 6名
A 2010年で人身売買被害者として保護された外国人は、全国および福岡入管内でそれぞれ何名いましたか。
国籍別の内訳も教えてください。
『昨年の回答』 2009年 全国ベース20名 福岡管内 0名
タイ 8名 フィリピン 10名 中国・香港 1名 中国 1名
『今年の回答』 2010年は集計中
B 2010年に入管により保護された人身売買被害者のうち、在留特別許可により在留資格を得られた人数と、
そのうち長期の滞在や定住を可能とする在留資格の取得が認められた人数は何名いましたか。
『昨年の回答』 2009年 11名
タイ 6名 フィリピン 4名 中国 1名
『今年の回答』 2010年は集計中
7、2010年7月1日から施行されている新しい技能実習生制度について
@ 2010年7月1日から2010年12月末日までの期間中に、新規に来日した「技能実習生(1号イ、1号ロ」」は、全国で何人いますか。
また、昨年同期間中の新規に来日した「研修生」と比べてどのぐらい増減していますか。
『今年の回答』 2010年 全国で集計中
A 2010年受け入れ団体で不正行為の認定を受けた件数は、全国でいくつありましたか。その内訳である企業単独型、
団体監視型の第一次受入機関、第二次受入れ機関の不正行為認定の件数を教えてください。
『今年の回答』 2009年 31件
2010年 集計中
B 現在福岡高等裁判所で係争中の訴訟の原告である中国人女性技能実習生3名(熊本県阿蘇市農家が受入)は、
中国の送出機関「青島九同国際経貿有限公司」(JTI)から、中国の裁判所で、その保証人らに違約金の支払いを求める
民事訴訟を起こされています。送出し機関が、このような違約金を取る契約を締結して技能実習生を送出すことは現在
禁止されていますが、2010年7月以降から同年12月末日までに送出機関が違約金を取る契約を締結して
来日させている等として、来日申請が不許可となった件数は何件有りましたか。
また、「青島九同国際経貿有限公司」(JTI)は、現在名前を「青島博瑞志有限公司」と変えて日本への
技能実習生の送出しを行っていますが、このような送出し機関の違法行為や不正行為に対して入管は
どのような対策を行っていますか。
『今年の回答』 違約金を取る契約をしていたことを理由とする不許可件数は集計していません。
在留資格認定証明書交付申請時に違約金の契約があることが判明した場合には、申請自身について不許可とするとともに改善を促すことになります。また、個別事案に関する回答は差し控えますが、一般的には送り出し機関に不正または、その疑いがあれば、事案に応じて可能な限り調査を実施し、その結果に応じた対応を取ることになります。
8、改正DV防止法の施行に伴う入管の対応について
@ 入国管理局におけるDV事案の認知件数について、2008年7月以降より法務省として統計を公表するようになりました。(総数26件、期間更新等15件、退去強制手続き 8件、 相談のみ3件) 2009年と2010年中の福岡入管管内で、DV事案の認知件数の総数とその内訳(期間更新等、退去強制手続、相談のみ)を教えてください。
『昨年の回答』 2008年 1件 (フィリピン 期間更新)
2009年 8件 (フィリピン 5件 中国 3件)
期間更新 5件 相談 3件
『今年の回答』 2010年 6件 フィリピン 4件 中国 1件 ルーマニア 1件
A DV被害者の場合、日本人配偶者と別居中でも、「日本人配偶者等」の在留資格の更新
に際して配慮される運用がなされていますが、そのような配慮はいつまで、どのような
要件を満たせば継続されるのですか。
『今年の回答』 DV被害者により日本人配偶者と別居中の者で、引き続きわが国に在留するこ
とを希望する場合には、個々の事案により具体的な事情が異なりますけれども、入国の経緯、在留状況、
今後の在留目的、生活設計、またお子様がいればそのお子様(実子)の状況、婚姻修復の可能性等について
総合的に配慮して判断することになります。
また、いまだ婚姻が破たんしているとまでは認められないときは、在留資格「日本人の偶
者等」で在留期間の更新を許可しています。他方、婚姻の修復が見込まれないことが明らかであって、かつ、
引き続き在留を認めるべき特別な事情を有しているときは、「定住者」などの他の在留資格への変更を許可しています。
9、子どものいない外国人配偶者の「日本人配偶者等」の在留資格の更新・変更について
@ 日本人配偶者と別居中の外国人配偶者が、「日本人配偶者等」の在留資格の更新を申請した場合、更新が認められる
場合はどのような要件を満たしている場合ですか。
『今年の回答』 個々の事案により具体的な事情が異なりますけれども、別居の経緯及び期間、また、別居中の両者の関係、
婚姻修復の可能性等を総合的に判断することとしています。
婚姻関係がすでに実体を失い形骸化しているとまでは言えないこと、また将来にわたって修
復が見込まれないとまではいえないときは、引き続き在留資格「日本人の配偶者等」での在留期間更新の許可を認めています。
A 日本人配偶者と別居して暮らしながら、離婚調停や離婚訴訟係争中の外国人配偶者が、日本人配偶者等の在留資格の更新を
申請する場合に、どのような要件満たせば更新が認められますか。
『今年の回答』 @の回答と同じ
B 日本人配偶者と別居中の外国人配偶者が、「日本人配偶者等」の更新申請を不許可とさ
れたとき、就労規制のない「特定活動」への変更が認められたことがこれまでありましたか。
『今年の回答』 福岡入国管理局では事例がありません。
C 日本人配偶者と別居状態にあり、婚姻も破綻していて離婚を進めようとしている状態で「日本人の配偶者等」から「定住者」へ
変更するのにはどのような要件が必要ですか。
『今年の回答』 日本人の配偶者と別居または離婚調停中に在留資格変更許可申請が出た場合には、別居の経緯および期間、
別居中の両者の関係、婚姻修復の可能性等を総合的に判断することとしており、婚姻関係がすでに実体を失い形骸化しており将来
にわたって修復が見込まれないことが明らかな場合で、引き続き在留を希望するときは、在留の経緯、状況、今後の在留目的、生活設計、
実子の状況等を総合的に判断し、在留を認めるべき特別な事情を有しているときは、在留資格「定住者」で在留資格の変更を許可する
こととしています。
D 日本人配偶者と離婚した外国人は、入管の内規にある3年間の婚姻生活が継続できていても、日本人配偶者等から定住者への変更が
認めらないケースがでていますが、どのような場合に変更が不許可となるのですか。
『今年の回答』 在留資格「定住者」については、法務大臣が特別な理由を考慮し、一定の在留期間を指定して定住を認めるものであり、
申請内容は個々の事案により具体的な事情は異なりますが、実体を伴った婚姻生活が少なくとも3年以上継続していたことや、独立の生計を
営むに足りる資産または技能を有すること、また、日本人または永住者の在留資格をもって在留する者の間に出生した子を日本国内において
養育しているなど、特別の事情を総合的に考慮して「定住者」への在留資格の変更を認めています。
U、 統計数値に関する質問
件数または人数は、特に指定のない限り2009年(確定値)及び2010年(概数値)を、それぞれお答え下さい。
『』 内は、昨年の福岡入管からの回答です。
1、福岡入管の管内での在留特別許可の運用の現状について
@ 在留特別許可が認められた件数
『昨年の回答』 2008年 153件 2009年 131件(概数)
『今年の回答』 2009年 131件 2010年 143件(概数)
A 福岡入管で収容中に60日以内で在留特別許可が認められた件数
『昨年の回答』 2008年 2件 2009年 3件(概数)
『今年の回答』 2009年 3件 2010年 1件(概数)
B 1年以上の懲役または禁固刑の有罪判決(執行猶予付き判決も含む)を受けるなど上陸拒否事由者に該当するケースで、
退去強制されずに在留特別許可が認められた件数
『昨年の回答』 2009年 14件
『今年の回答』 2010年 9件
2、福岡入管内での上陸特別許可の運用の現状について
@ 上陸特別許可の件数を明らかにしてください。
『昨年の回答』 2009年 62件
『今年の回答』 2010年 34件
A 退去強制された外国人で上陸特別許可が認められた者のうち事前審査した在留資格認定申請者のうち入管法
第5条該当者数を明らかにして下さい。入管法第5条該当者で上陸許可された数は何人ですか。
『昨年の回答』 2009年 12件
『今年の回答』 2010年 5件
3、福岡入管内上陸拒否者
福岡入管管内の空港や港で、来日しながらも上陸拒否された外国人は何人かを教えて下さい。
『昨年の回答』 2009年 313件
『今年の回答』 2010年 218件 (概数)
4、福岡入管の退去強制処分について
@ 福岡入国管理局管内で退去強制された者の総数及び内訳などについてお尋ねします。
『昨年の回答』
退去強制者の総数 (2009年概数値) 300名
*不法残留者 232名
*不法入国者 32名
*不法上陸者 2名
*資格外活動 10名
*刑罰法令違反者 24名
『今年の回答』
退去強制者の総数 (2010年概数値) 355名
*不法残留者 252名
*不法入国者 57名
*不法上陸者 5名
*資格外活動 15名
*刑罰法令違反者 26名
A 入管法違反の受理件数のうち本人の自主申告者数は何人ですか。
『昨年の回答』 2009年 77名
『今年の回答』 2010年 81名
B 退去強制者のうち福岡入管より警察・検察に告発した人数と、告発理由別内訳数
『昨年の回答』 2009年 3名
不法入国 1名 資格外活動 1名 偽装滞在者 1名
『今年の回答』 2010年 8名
不法入国 5名 偽装滞在者 3名
5、福岡入管内の収容施設
@ 福岡入国管理局の収容定員、平均収容期間、最長収容期間について教えてください。
『昨年の回答』 2009年 平均収容期間 6.6日 最長収容期間 52日
『今年の回答』 2010年 平均収容期間 4.17日 最長収容期間 30日
A 福岡入管の収容施設内での被収容者の自殺未遂(自傷行為)を引き起した件数は、どのぐらいありましたか。
『昨年の回答』 2009年 1名
『今年の回答』 2010年 1名
6、福岡入管の職員体制について
@ 2010年度福岡入管職員の総定員、警備部門、在留審査部門、審判部門の大まかな定員数を教えてください。また、
2010年度は前年度に比べてどの分野にどのぐらい増員がなされましたか。
『昨年の回答』 定員 244名
*福岡本局 76名 内訳、警備 39名 在留審査部と審判部門25名、その他12名
*2009年度の人員は前年度と比べて24名増員
『昨年の回答』 定員 240名
*福岡本局 77名 内訳、警備 39名 在留審査部と審判部門26名、その他12名
*2009年度の人員は前年度と比べて4名減員
A 福岡入管職員の一人当たりの月平均残業時間はどれぐらいになっていますか。
『昨年の回答』 2009年度 平均20時間
『今年の回答』 2010年度 平均19時間
7、研修生及び技能実習生について
@ 九州内の研修生の総数と各県別の数
『昨年の回答』 2008年12月末 6169名 (研修生・技能実習生の総数)
各県別 *福岡県1812名 *佐賀県 515名 *長崎県 736名 *熊本県 1118名
*大分県 838名 *宮崎県 551名 *鹿児島県 493名 *沖縄県 106名
『今年の回答』 2009年12月末 5131名 (研修生・技能実習生の総数)
各県別 *福岡県1259名 *佐賀県 488名 *長崎県 639名 *熊本県 917名
*大分県 604名 *宮崎県 569名 *鹿児島県 584名 *沖縄県 71名
A 九州内の研修生及び技能実習生で2009年度と2010年度に失踪、逃亡した者の数、研修や技能実習中に死亡した者の数、
研修途中や技能実習中に帰国した者の数を教えて下さい。
『昨年の回答』 2008年 失踪 154名 死亡 3名 途中帰国 694名
2009年は集計中
『今年の回答』 2009年 失踪 79名 死亡 2名 途中帰国 774名
2010年は集計中