2011年 大村入国管理センターへの質問と回答

大村入国管理センター 所長 殿                     
                           2011年11月28日
     移住労働者と共に生きるネットワーク・九州
       連絡先  福岡市博多区美野島2丁目5-31 美野島司牧センター内       
            電話  092-431-1419  Fax .092-431-5709
       共同代表       
          岩本光弘 (北九州 多文化共生センター北九州)
          井上幸雄 (福岡市 アジアに生きる会・福岡)
          コース・マルセル (福岡市 美野島司牧センター)
          中島真一郎(熊本市 コムスタカー外国人と共に生きる会)  

 2010年11月に引き続き8回目となる意見交換会の開催に応じていただき有り難うございました。例年どおり、2010年と2011年1月から9月末までの状況について以下のような質問項目を提出させていただきますので、ご回答をお願いします。  

大村入国管理センターへの質問と回答
1、収容施設及び被収容者の状況
@ 現時点(2011年10月末)での収容定員と収容人員

 ・国籍別被収容者数(内女性) 世代別(10代、20代 30代 40代 50代以上)
 ・九州外の入国管理センターなどから移送されてきた被収容者の割合を教えてください。
《回答》  
 ・収容定員  800 名
 ・11年10月末現在の収容人員 22名 (全員男性) 
  九州以外からの移送者 50%(広島、高松など 中四国地方からの分も含む)  
 ・国籍別内訳
   中国3名 パキスタン3名  フイリピン3名  韓国 2名  トルコ 2名    
   その他各1名 計9名(イラン ケニア  ナイジェリア  カメルーン アメリカ 
   バングラデッシュ ペルー  ドミニカ、  ブラジル ) 
 ・年代別
    10歳代 0名 20歳代 7名 30歳代 5名 40歳代 8名 50歳代以上 2名

A 2011年の平均収容期間と長期収容期間について教えてください。
《回答》

  ・平均収容期間 53.1日
  ・長期収容期間  約2年 (2011年9月末現在)

B 現時点(2011年9月末)で6ヶ月以上の長期収容者の人数について教えてください。
《回答》

   6ヵ月以上 9名

C 2010年と2011年1月〜9月の収容施設内での被収容者の自殺未遂(自傷行為)の件数は何件ですか。
《回答》

   ・2010年      自殺未遂 1件 自傷行為0件    
   ・2011年 1月〜9月  自殺未遂0件  自傷行為 0件

D 2010年と2011年1月〜9月の期間中に仮放免が認められた人数とその主な事由別 (帰 国準備、病気療養、行政訴訟係争中、難民認定関係、その他)の内訳人数を教えてください。
《回答》

  ・2010年 10件許可
  ・2011年1月〜9月まで 10件
   諸般の理由を考慮して仮放免しているので、個別の理由は答えられない

E 国費送還者は2010年及び2011年1月〜9月の期間中に何名いましたか。
《回答》
 
  ・2010年 11名 
  ・2011年1月〜9月 9名

F 被収容者からの苦情申し立ては、2010年及び2011年1月〜9月の期間中に何件ありましたか。その苦情の内容の主なものは何ですか。2008年から3年続けて0件になっています。苦情申し立てが出来ることを、どのように周知徹底していますか。
《回答》

  ・2010年及び11年9月まで該当者なし
   受入事務室や娯楽室に案内文を設置するなどして周知徹底するように配慮しています。

G 2010年及び2011年1月〜9月の期間中に収容者の中で宗教上の行事を希望した者は何名いましたか。
《回答》

  ・2010年  延べ 21名    個別 4件   集団 4件
  ・2011年1−9月  延べ40人  個別1件  集団  9件    
  ※個別の1件は、ラマダン期間中にラマダンを希望されたので、今年も給食時間を変更した。希望人数は不明。

H 2010年及び2011年1月〜9月の期間中に収容者の中に男性の人身売買被害者は何名いましたか。いる場合は、その人数と国籍を教えてください。
《回答》

  ・2010年及び11年9月まで該当者なし
  (注) 人身取引被害者ではないが、質疑の中で、2010年性的マイノリテイの被収容者一人がいたことがあり、その場合、他の被収容外国人と別の棟の収容室(7−8人部屋)に一人で収容する配慮がなされた。

I 2011年9月末時点で、大村入国管理センターの被収容者の中に刑事罰を受け受刑後に収容されている外国人は何人いましたか。また、6ヶ月以上の長期収容されている者のうち何人いましたか。
《回答》

  ・2011年1−9月末時点では 9名 6ヵ月以上 6名

J 2009年7月に改定入管難民認定法が成立して以降、各地の収容施設で被収容者を対象に新に提案箱が設置されていますが、提案による改善処置は何かありましたか。
《回答》

  改善措置2件 検討中 1件  
  2010年10月25日の入国管理局のホームページで公表されているが、大村入国管理センターについては、@収容所内に設置された公衆電話の音声が聞き取りにくい。→ 業者による工事により改善。A 単独室(被収容者を一時制裁隔離するための部屋)のトイレが室外からトイレ使用者の状況が見える → 衝立等の設置工事を実施し、改善。 B イスラム教徒の被収容者ヘのハラールフード(イスラム法で許された食べ物)についての十分な理解に立って、その提供を検討すること。→ハラールフードは、現時点ではコスト面で実施が困難であり、継続して検討する。

2、職員体制について
@ 2011年度の大村入国管理センターの職員定員は何人ですか。2011年度は前年度に比べ て、どの分野にどのくらい増員がなされましたか。
《回答》

  ・2011年 49名 7名 減少

A 2010年及び2011年1月〜9月の入管センターの一人当たりの月平均残業時間はどのぐ らいですか。
《回答》

  ・2010年は8時間
   ・2011年1月〜9月は7時間

3、医療スタッフ及び医療ケアについて
@ 2011年度の大村入国管理センターでの医療スタッフ(医師、看護師、薬剤師、その他) の内訳を、昨年の回答と比べて人数など、訪問日に変化しているところがあれば教えてく ださい。
《回答》

 ・昨年と同じ(常勤医師 内科医 1名 、歯科医師 火曜日と金曜日の週2回 看護師 2名  )
  但し、歯科医師による診療回数は、受診者の減少がみられることから週2回から週1回に減少した。

A 長期被収容者の中で精神を病んでいる被収容者のケアについてお聞きします。 メンタルケアの専門家によるカウンセリングは昨年の回答に比べて変化していますか。ま た投薬をしていますか。
《回答》

   ・昨年と同じ。医師が必要とすれば投薬処方している。

B メンタルケアの専門家によるカウンセリングの述べ件数及び一回当たりに要した時間を教えて下さい。
《回答》
  2010年       延べ 100件
       2011年1−9月   延べ  83件  
      1回当たりの時間制限はない。時間の統計もとっていない。

C メンタルケアの専門家によるカウンセリングの際に、通訳がついたケースは何件ありましたか。
《回答》

  ・2010年 4件 (すべて英語)

D 2010年に被収容者から外部の医療機関での受診・検査の希望は何件ありましたか。またその内、外部の医療機関に受診・検査が認められたのは何件ですか。具体的に何かの診察を受けましたか。
《 回答》

  ・2010年21件 外部で受診(内科13件、整形外科8件、泌尿器科2件、耳鼻咽喉科4件 眼科1件) すべて官費、希望の有無は取っていない。(1回に複数の診療科を受診することもあるので、件数の合計は21件を超える。)

E 自費で外部の医療機関でMRI検査を受けていると聞いています。官費と自費の基準は ありますか。
《回答》

  診療医の所見に基づいて センター所長が外部の診療が必要と認めた時は、官費。診療医の所見では所長が必要とまでは認めないが、本人が希望して所長が認めたときは、本人負担。

F 2010年に常勤医師に診察された被収容者のうち、通訳がついて診察が行われたケース は何件ありましたか。
《回答》

   不明 

G 被収容者の治療の際に施設内に常備されている薬はどのくらいの種類の病気に対応で きる薬が常備されていますか。また、年間どのくらいの薬が使用されていますか。また、 昨年の回答と比べて変化しているものがありましたらお答えください。
《回答》
   ・常備薬 200種 市販薬 11種あり・内科・外科・整形外科・泌尿器科・耳鼻科の医院が対応できる同等の薬を用意している。
   ・使用実績は、処方19988個 市販1787個

H 2010年に使用された常備薬、市販薬ついて、精神安定剤、睡眠導入剤、鎮痛剤別の 個数を教えて下さい。また、これら三種の薬剤それぞれについて1日で1番多く処方され ている人の錠数、また、それぞれについて長期収容の人の服用期間と累積乗数はいくらになるか教えて下さい。
《回答》

  鎮痛剤のセデス1種類で、精神安定剤や睡眠導入剤は常備していない。
  1回3錠・3回服用で、1日最大9錠。 
  服用期間と累積錠数の統計を取っていない。 

I 施設内に設置されているレントゲンは、2010年と2011年1月〜9月までに何人の被収 容者に使用されましたか。
《回答》

  ・2010年      149件
   ・2011年1月〜9月  82件

4、被収容者の処遇について
@ 2010年度の被収容者1人当たりの1日の経費はいくらかかりますか。
《回答》

  経費は、食料・医療・クリーニング・光熱水道費・冷暖房・配膳・清掃・ごみ処理・護送・警備・人件費など多岐にわたり算出が困難である。

A 2010年の1部屋の定員及び1部屋の平均収容人員数は何人程度ですか。また、1人部屋の新設はありましたか。
《回答》

  ・10人部屋に対し4〜5名 1人部屋は無い

B 運動時間、入浴、衣類の洗濯について。昨年の回答と比べて変化したところがありますか。変化しているものをお答えください。
《回答》

    昨年は、2010年6月に入浴(シャワー、毎日)時間を13時〜16時30分に拡大した。   (従来は14時〜16時)と回答したが、2011年は洗濯機と乾燥機を各1台追加設置した以外は変化なし。

C 被収容者の食事については、昨年と比べて変わったことがあれば回答してください。
《回答》
  ・2010年10月18日から牛肉を含む食材の使用が認められ、提供できるメニューが増加した。
  ・朝食のパンが冷たいので改善してほしいとの要望を受け、温かいパンを提供できるようにした。(支給の30分間に保温庫に入れている)

D 面会者は2010年に延べ何名くらい被収容者と面会していますか。
《回答》
 
 ・2010年 1362名

5、入国者収容所等視察委員会について  
2009年7月に成立した改定入管難民認定法で、「入国者収容所等視察委員会」が設置されました。これまでに、この「入国者収容所等視察委員会」による大村入国管理センターへの視察が行われましたか。 行われているとすればどのような意見が出され、それに基づいてどのような大村入国管理センターの運営や処遇の改善がなされましたか。また、行われていないとすればいつ頃行われますか。   
《回答》
  
入国者収容所等視察委員会には東日本と西日本地区があり、当センターは西日本地区入国者収容所等視察委員会の所管になっている。視察は2010年9月14日に実施された。2010年の視察による意見やそれに対する検討結果などについては、2011年10月25日の法務省のホームページで公表している。2011年の西日本地区入国者収容所等視察委員会視察は、2011年11月1日に行われた。

以下は、口頭での質問とその回答

6、脱北者9名の大村入国管理センターでの保護について
2011年9月13日に日本海の石川県沖で海上保安庁に保護された脱北者9名が、同年9月14日から10月4日に韓国へ移送されるまで大村入国管理センターに保護されていました。今後とも同様なケースが国際情勢の変化に伴い起こりえるのではないかと思えますので、これに関連して質問します。

@  これまで法務省は、難民等を保護する法務省の施設はなく、大村入国管理センターも、退去強制令書を発付後の外国人を退去強制するまでの一時的に収容するための施設という説明を受けていました。今回の脱北者9名は、漂着者として、仮上陸許可、一時庇護のための上陸許可を申請して許可された適法な外国人ですが、このような適法な外国人を大村入国管理センターで保護できる法令上の根拠を教えてください。また、大村入国管理センターの施設の能力から考えて、保護できる外国人は、何人程度ですか。
《回答》
  脱北者9名の保護については、大村入国管理センターが、この9名の仮上陸許可や一時庇護許可の指定住所となったため、9名に対応した。過去、件数は少ないが先例があり、法令上可能である。なお、保護できる外国人の人数については、お答えできない。

A  脱北者9名は、大村入国管理センターで滞在中に、被収容外国人が暮らす収容棟以外の施設で暮らしていたと聞いています。この9名について、被収容外国人と異なるどのような処遇がなされていましたか、また、この9名への外部からの差し入れや、面会は認められなかったと聞いていますが、それはどうしてですか。
《回答》
  9名は、収容令書や退去強制令書が発付された被収容外国人ではないので、収容棟以外の施設内で保護した。面会や差し入れなどについては、安全上、保安上の理由から認めていない。この件についてはこれ以上お答えできない。

B 国際情勢の変化に伴い日本へ漂着、あるいは日本での保護を求めて難民として入国しようする人々が増大してくることが予想されます。これらの人々を大村入国管理センターが受け入れ保護していく施設となるために、どのような法令の改定や施設の改装など必要となりますか。
《回答》
   今後については、本省の方で検討されていく問題で、当センターとしては本省 の決定があれば対応していくとしかお答えできない。
                        以上、