中島真一郎
2001年7月30日
1、 はじめに ―――日比国際児問題
ここでいう「日比国際児問題」とは、日本人男性とフイリピン女性の間に生まれて、日本に住所や居所もなくフイリピンで暮らし、日本人父親に対して子としての認知または養育費の請求の相談です。(従って、子どもが日本に住所や居所のあるケースは,基本的に日本人の相談や在留外国籍住民の相談とかわりませんので、ここには含めていません)
2、 これまでの相談事例の解決状況について
日比国際児問題には、コムスタカとして1993年4月以来これまで26件(バテイスセンターから24件、コムスタカへの直接依頼2件)の相談を受けて取り組んできました。解決事例15件(認知訴訟中の和解によるもの1件、調停によるもの5件、任意交渉による9件)、進展中4件 (認知訴訟中1件 調停中1件 調停準備中 1件 交渉中1件 )、未解決事例6件(相手男性の所在不明で進展なし 4件、相手男性が送金するなど依頼人に働きかけ依頼が取り下げられたもの 2件 )、他の九州ないNGOへ依頼 1件です。
3、 解決可能なケース
@ 相手男性の現住所があきらかで、連絡が取れたケースについては、任意交渉による合意書締結か、交渉が拒否された場合には家庭裁判所に調停申立、審判申立、あるいは、子の認知訴訟を提訴することで解決可能となっています。書類上の父親である証拠が揃っていると、母子が来日しなくとも日本の家庭裁判所や地方裁判所は審判決定や判決を言い渡すように近年変わってきました。
A 養育費の支払いが途中で滞ってきたケース
任意交渉や調停などで合意解決したケースでも、月払いの養育費が約束どおり履行されなくなった場合には、相手男性に会社で働いている場合には賃金の差し押さえが、また、土地や家などが空いて男性の名義である場合には、裁判所に支払請求訴訟をおこし、その後強制執行を申し立てることで、ある程度確保できます。(調停など裁判所での合意の場合には、支払請求訴訟の手続きは不要で強制執行の申立てのみの手続きで差し押さえができます。
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