『中文同報 』 華人編 社会新聞 2008925日(木曜日)

 ( 以下の訳文は、コムスタカ編集部によるものです。)

 

実習生の女性達は自己の権利を守り2千万円を取り戻した

当新聞社取材(記者 張 石)

 

9月19日、熊本県の玉名労働基準監督署と福岡に駐在している中国総領事館の監督・指導のもと、

12名の中国人実習生の女性達と大分県の協同組合が協定書に署名した。協定書の中で、

中国人研修生(実習生)の一次受け入れ機関となっていた協同組合が企業を代表して、

傘下の2社の縫製会社が監督・管理責任を怠り、その結果会社が12名の中国人実習生の人権を

甚だしく侵害したとともに労働法にも違反した事実を認め、未払い賃金である2,524万円を返却する事を承諾した。

この12名の実習生は2005年8月から2006年11月の期間にそれぞれ来日し、協同組合の斡旋を通して玉名市内にある

2社の縫製会社で研修を行い、一年後に技能実習生となった。実習生達の抵抗を抑えるため、中国の送り出し機関は彼女達

に一人当たり40〜60万円のお金を保証金として納めさせていた。

 

研修生になって以後、彼女達は毎日朝8時から深夜12時までの労働を強いられ、毎月200時間以上の残業を強制された。

賃金は毎月6万円だけ支払われ、その上彼女達は強制的にその内の3万円を貯金させられた。現地の最低賃金レベルは時給

620円とされており、彼女達は給料に加えて残業代の支給を求めたが、この2社は残業代として僅か350〜390円しか支払わなかった。

工場の社長は“保管”という名目で彼女達のパスポートと預金通帳を没収し、その上彼女達の預金の一部を会社の運営資金として流用していた。

 

彼女達の生活環境も非常に劣悪で、宿舎は工場の食堂内に6つの二段ベッドを置いただけのもので、食堂の煙が充満して眠れない日もあったという。

7月30日の夜、超過時間労働と工場長の圧搾にこれ以上耐えられなくなった実習生の女性達は工場を逃げ出し、現地の市民団体に保護された。

事件発覚後、中国駐福岡総領事館はこの問題に対して大変関心を持ち、実習生の女性達と送り出し企業との対話を行う際には福岡総領事館の領事も

対話に出席して、中国側の送り出し企業の過失に対して批判と指導を行った。この対話によって総領事館は送り出し機関に、

この一件に関して実習生の女性達には何の責任もない事を認めさせ、また帰国後に彼女達に対して“違約金”の徴収をしない等の保証も約束させた。

玉名労働基準監督署も企業側に対して厳重に注意をした上で、企業の違法行為に対しては刑事告発も辞さないとした。

 

このように十幾日にも及ぶ長い交渉を経て、企業側は自社の重大な法令違反と人権侵害等を深く反省し、

実習生の女性達に対して深い謝罪の意を表すとともに、今まで未払いとなっていた賃金と残業代を追加支給することを表明した。

経営不振に陥っている2社に対しては協同組合が緊急資金融資等の援助を行うと同時に、

今後この2社に対して厳格な監督と指導を継続して行っていくことを保証し、これを以って監督・管理責任を履行するとした。

ただし、企業の経営悪化との理由で、3,266万円あまりに達する未払い賃金と残業代の全額が支払われることはなかった。

 

実習生の女性達の援助と支援を行った市民団体『 NPO団体 熊本レインボープロジェクト』の森田さんは

本紙の記者に対して次のように語った。「今回の交渉では完全な勝利は得られませんでしたが、しかし交渉自体に大きな意義がありました。

特に、中国駐福岡総領事館が介入して、中国側の送り出し企業に対し帰国後の彼女達に様々な追及を行わないと保証させたこと、その動きが

今回の和解により一層歴史的意義を持たせています。」

 

≪写真の説明文≫  中国人実習生と雇用主側の和解会場

NPO団体 熊本レインボープロジェクト 提供

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