要望書

中華人民共和国駐福岡総領事館

総領事殿

 

  熊本県玉名市横島の中国人女性技能実習生12名の「労働―人権問題」では、

福岡総領事館の領事の方々が、立会人としてご参加いただくなど、本件事件の解決に向けて、

たいへんお世話になりました。この事件は、2008年9月19日日本側受け入れ機関と実習生らと

の示談書・協定書の締結により、無事解決となりました。実習生12名のうち2年目の実習生5名は、

9月2日にすでに職場に復帰しており、3年目の実習生7名も、9月21日に中国に帰国しました。

 

本件事件では、熊本労働局や中国駐福岡総領事館の協力の下に、法令違反の実習生への未払い分への

支払いの履行や、今後の運用で法令遵守を誓う日本側受け入れ機関や中国側送り出し機関と実習生と

の示談書や協定書が締結されて解決することになりました。また、 関係機関により、日本側受け入れ

機関や中国側送り出し機関双方への規制や処分がなされていくものと思われます。その意味では、日本

国内で、技能実習生―研修生を巡り多発している「労働―人権侵害」事件のなかでも、今後の解決の

モデルケースとなる意義を持っています。

「残業手当は 研修生 時給 300円、実習生 時給300円以上ではたらかせてよい」という

協定が結ばれていた本件の事例を含めて、日本各地で多発している外国人研修生―技能実習生の

「労働―人権侵害」問題の要因には、日本側受け入れ機関と中国側の送り出し機関双方の間で、

日本の最低賃金法や労働基準法に違反する「秘密協定」が存在します。 その結果、多くの外国人研修生

―実習生が「人身売買」や「現代の奴隷制」とよばれる過酷な労働環境下での違法な労働を強いられています。

いわば、日本側受け入れ機関と中国側の送り出し機関は、日本の研修―技能実習生制度の下で、研修生―

技能実習生の人権を侵害し搾取していく国際組織犯罪行為をおこなっています。

来日している研修生―実習生は、現在20万人をこえ、そのうち中国籍が8割以上を占めています。従って、

この問題の解決には、日本側受け入れ機関と中国側送り出し機関の双方の違法行為を取り締まる日中双方の

政府や行政の取組みが不可欠です。

今後の外国人研修生―技能実習生の「労働―人権侵害」問題の解決へ向けて、中華人民共和国政府に以下

の3項目の実行を要望します。

 

 

 

 

 

                要望事項

 

1、 中華人民共和国政府として、日本国内で多発している中国人研修生―実習生の

「労働―人権侵害」問題について、「研修生―実習生の主張が、合法かつ合理的な内容を

持っている場合には、研修生―技能実習生の権益擁護の立場で取り組んでいく」と

いう見解を、公表してください。

 

2、 日本の中国領事館のなかに、中国人研修生―実習生からの「労働―人権侵害」問題の

相談に、研修生―実習生の権益擁護の立場から具体的に対応できる窓口を設けてください。

 

3、  日本の最低賃金法や労働基準法などの労働関係法に違反するなど違法な契約を日本側

受け入れ機関と締結して研修生―実習生を派遣している中国側派遣企業への規制や処分を強化し、

適法な海外派遣業務をおこなう派遣会社となるようにしてください。

 

2008年10月10日

コムスタカー外国人と共に生きる会

〒 860-0845  熊本市上通町3−34  

手取カトリック教会気付

戻る