研修生―技能実習生問題に関する福岡入管への質問と回答

2009年4月5日  中島 眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会)

 

熊本県内でも、ここ1年ほどの間に、研修生―技能実習生からの相談が増え、

また救済解決事例も増えてきました。

2009年4月5日現在で、コムスタカー外国人と共に生きる会が把握している

熊本県内の研修生―実習生の相談・保護件数は、この1年間で10ケース、

うち5ケースが具体的な解決事例としてあらわれてきました。

他に実数は不明ですが、研修生や技能実習生が労働組合へ相談したものや

労働基準監督署への直接相談しているケースもあります。

 

 入管は、NGOや労働組合が保護した研修生―技能実習生に対して、

その権利救済のための指定された実習先からはなれて在留を必要とする場合にも、

ある程度在留資格や在留期間を配慮する運用にかわってきました。

しかしながら、法令違反や不正行為を行っている受入機関の存在を申告しても、入管は、

人手不足などを理由に、すぐに実態調査を行わず、またへの「不正行為」の認定には時間も

かかり、具体的な処分を行って適法な運用に改めるという積極的な姿勢が見られません。

 

2009年2月25日の第11回福岡入管と移住労働者と共に生きるネットワーク九州との

意見交換会での事前提出の質問では、研修生―技能実習生問題について違反や

不正行為を行っている受入機関への処分内容やそれに要する機関、外国の送り出し

機関や仲介会社への処分等について質問してみました。

入管の回答は、公式見解の域を出ませんでしたが、その後の意見交換会では、現在の

研修生―技能実習生の受入機関で、多くの不正行為が行われていることを認め、入管

の対応がそれに追いついていないこと、入管として不正行為に該当すると認められる場合

には、積極的に処分していく意向であるとの意向が示されました。また、従来団体監視型

に比べて問題が少ないとも思われていた企業単独型の受入機関でも、重大な法令違反や

不正行為が行われていることについて、

入管として単独型の受入機関だから大丈夫と見ているわけではなく、九州外のケースだが、

悪質なケースは単独型であっても、不正行為認定だけでなく、検察庁へ告発したケースも

あるとの発言がありました。

 

 

2009年2月25日に行われた第11回移住労働者と共に生きるネットワーク九州と

福岡入管との意見交換会での 研修生―技能実習生問題の項目に関する質問と回答です。

 

[ 研修生・技能実習生に関する質問

@ 外国人研修生や技能実習生を受入れている企業や団体で、入管から違法行為や不正行為が

行われていたという認定を受けた場合、@ 3年間の受け入れ業務の停止 A厳重注意 以外

にどのような処分がおこなわれますか。

 

回答  外国人研修生・技能実習生に不適正な対応が行われている事案については、

不正行為に認定し、研修生・技能実習生の受入れを3年間停止する措置を講じており、

また、不正行為の認定に至らない事案については、改善を指導するなどの対応をおこなう

など適正な研修・技能実習の実施が可能であると判断されるまで、新たな研修生・技能実習生の

受け入れを認めないなど厳格な対応を行っています。

 

 

A 研修生の残業は禁止されていますが、受け入れ機関で、時給300円程度の残業代で働く研修生が

多く存在します。違反して、研修制に残業をおこなわせている受入機関に対してどのような処罰が可能ですか。

 例えば、不法就労助長罪の適用による摘発は可能ですか、過去適用されたことがあれば、2007年、2008年の

摘発件数を教えてください。

 

回答  入国管理局は、罰則の適用に係る司法機関ではありませんので、不法就労助長罪で

受け入れ機関を摘発することはできません。同罪の容疑を認知した場合は、警察または

労働基準監督署に通報することになります。

 

B 「研修生時給300円、あるいは、技能実習生時給350円で残業可能」など違法な契約書を日本側受け入れ機関と

締結して、日本に研修生を派遣している中国側送出機関があとを絶ちません。このような中国側送出機関からの研修生を

受け入れるための入国申請について、入管として不許可とすることはできますか、もしこれまで、不許可とした事例があれば

その件数を教えてください。

 

回答  研修生の送出機関によって不適切な契約が締結され、実際にそのような運営が行われている

ケースについては、その送り出し機関からの受け入れを認めないこととするなどの対応を行っています。

なお、お尋ねの統計はありません。

 

C 福岡入管管内において、外国人研修生や技能実習生を受入れている企業や団体のうち不正行為を行ったと認定された受

け入れ機関の件数を、総数、及び単独機関、団体監視型のうち第一受け入れ機関、第二次受け入れ機関別の件数を、

2003年から2008年までの最近6年間について教えてください。(昨年の回答 不正行為を行ったと認定された受け入れ機関

( 全国統計ベース )2003年92件  2004年210件  2005年180件 2006年229件 2007年集計中)

 

 

回答 福岡入管管内についての件数及びその内訳については公表していません。

全国で不正行為に認定された件数は、2003年92件  2004年210件  2005年180件 

2006年229件 2007年449件。

 

D 福岡入管が、これまで「不正行為が行われていたとして3年間の受け入れ停止の処分」をした受け入れ機関について、

調査か開始から認定して処分を通告するまで最短の期間、最長の期間、はそれぞれどのぐらいかかっていますか。

また平均的期間はどのぐらいですか。

 

  回答  調査を要する時間については、個々の事案ごとに異なるため調査期間について具体的に申し上げることは

できませんが、いずれの事案についても的確な対応を行っています。

 

 

E  研修生―技能実習生の受け入れに、禁止されている仲介業者が関与している場合に、仲介業者に対してどのような

処罰が可能ですか。

 

  回答  処罰が刑罰など罰則を意味するものであれば、入管法では第70条以下の規定に該当するか否かということに

なり、70条以下については斡旋行為を構成要件としているものではありませんから、構成要件に該当しないため、

処罰の対象となりません。他の構成要件に該当すれば、処罰の対象となります。お尋ねの処罰が、ペナルテイと言う意味であれば、

仲介業者が受入機関などの経営者などである場合には、当該受入機関は、不正行為の対象となります。

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