在日フィリピン人の現状報告
―在日フイリピン人として
2012年10月12日 日高マリーナ
日本におけるフィリピン人移住者
2000年では、在日外国籍住民は、168万6,444人おり、内14万4871人がフィリピン人でしたが、2010年には合計213万4,151人の在日外国籍住民がおり、その内フィリピン人は21万187人でした。ピーク時には年間約13万人のフィリピン人が日本に来日しており、多くのフィリピン人女性はエンターテイナーとして来日していました。2004年がピークで、8万2千人のフィリピン人エンターテイナーが来日。しかし、2005年の法改正による規制強化で、その人数は、現在は1,400人まで落ち込みました。現在ではフィリピン人移住者の大半は結婚を通じて日本に在住しています。エンターテイナーとして来日し、その後日本人男性と結婚した女性もおり、又既に日本に住んでいる親戚を通して日本人男性と出会い結婚する女性、ブローカーを使って日本人男性と結婚する女性もいます。日本人とフィリピン人の結婚は、年間で7,000件ほどあり、日本に住んでいるフィリピン人の80%程が女性です。
フィリピン人結婚移民の問題
1970年代までは、日本に来ていたフィリピン人はプロのシンガーやダンサーで本当の意味でのアーティストでした。しかし、1980年代に入ると、お金や未来の夫を求めて来日するエンターテイナーが押し寄せ、その後問題が発生しました。エンターテイナーの中にはクラブで会ったお客さんと結婚する人も数多くいました。日本では、長男が両親の世話をすることになっており、フィリピン人エンターテイナーが結婚した日本人男性は、なぜか農家の長男が多いです。農家でのきつい仕事や、言葉や文化の違い、嫁姑問題などの多くのマイナス要因によって、離婚や帰国する女性が相次ぎました。
フィリピン人の間には、婚外子の認知の問題もあります。結婚をせずにフィリピン人女性が妊娠し、婚外子として子どもが生まれ、出産後子どもを両親に預け、子どもの養育費を稼ぐために再度日本に来日する女性もいます。そのような女性の子どもや両親などの近親だけではなく、親戚までもが、彼女らの経済的なサポートを頼りにしています。また、認知を受けていない日本人男性の子どもの中には、ストリートチルドレンになる子どももいます。幸いにもNGOから生活や教育などの支援を受けている子どもたちもいます。このような子どもたちが成人になり来日して自分の父親を探そうとすることもあります。
離婚の一要因としてドメスティックバイオレンス(DV)があります。身体的にも精神的にも傷つけられているのに、在留資格を維持するために日本人のDV夫からなかなか逃げられなかったり、家族や友達が周りにいないために危険な結婚生活から抜け出せない人もいます。幸運にもDV夫から逃れた人は、コムスタカー外国人と共に生きる会(以下、コムスタカ)のような支援団体や教会の助けを借りて福祉施設や警察にシェルターを求めます。また、日本のブローカによって斡旋される偽造結婚の問題、旅行者として来日しそのまま在留資格なしで違法に滞在するオーバーステー外国人の問題もあります。
技能実習生
来日するフィリピン系移民には、日本でより高い賃金を求めてくるプロの技術労働者たちもいます。しかし、そのような技術のある労働者たちは、日本に技能実習生として来日しても、期待していたような技術にあった仕事はさせてもらず、農家や建設現場での単純作業をさせられています。過酷な仕事には慣れてないために、健康に支障をきたす人もいます。健康保険や労働災害保険がある人はラッキーだと考えられています。
支援機関
このような熊本に住んでいるフィリピン人の結婚移民や労働移民の支援をおこなっている機関として、コムスタカ、熊本国際交流協会、熊本フィリピン人会(FOK)、カトリック教会のパストラルチームがあります。コムスタカは、DV被害者、技能実習生、オーバーステイ外国人など幅広い分野において移住民支援を行っています。FOKは、駐日フィリピン領事館(大阪)と協力してパスポートや法的なサポートをしています。フィリピン人はパスポート更新時には大阪にある領事館まで行かなければなりませんでしたが、FOKと領事館の間の交渉の末に、決まった日程で九州内の特定の県でパスポートの更新ができるようになり、フィリピン人にとっては時間とお金の節約になりました。パストラルチームは、日曜日のミサや聖書の勉強会や宗教行事などを教会で行い運営しています。熊本国際交流協会は、日本語教室やセミナー、ワークショップ、国際交流活動などを行っています。外国籍住民を学校や公民館などに送り、文化についてなど講義したりもします。英語、ドイツ語、韓国語、中国語、タガログ語など多言語での相談も行なっており、私もタガログ語担当の相談員をしています。
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