コムスタカ―外国人と共に生きる会

「外国人犯罪」問題


福岡県警のホームページ上の「外国人犯罪」の表記が一部変更となりました。
中島真一郎
2005年11月

47都道府県警のうち唯一 そのホームページ上に、「外国人犯罪」をタイトルに、「来日外国人組織犯罪に関する情報提供にご協力を」のページを設け、E−メール通報をおこなっている福岡県警に対して、2004年7月に移住労働者と共に生きるネットワーク九州構成団体など九州内8団体・個人18名の賛同団体・賛同者で、「外国人犯罪を対象としたE−メール通報制度の廃止の申し入れを行いました。そして、あれから1年を経過して 福岡県警は、そのHPで「外国人犯罪」をタイトルにE−メールによる通報を呼びかけていることは依然として変わりませんが、2005年6月より、1年前に比べてその記載内容を一部変更していることがわかりました。(変更内容は、以下の通りです。)

変更1、 タイトルが、「来日外国人組織犯罪に関する情報提供にご協力を」から、「国際組織犯罪に関する情報提供にご協力を」に変更されています。またその記載内容で、新たに以下の内容が追加されています。

変更2  「近年、暴力団と一部の不良来日外国人等が関係する組織的な犯罪・事件が全国的に多発しています。」は、「暴力団と」が追加されました。また、以下の具体的な例示のところに、「・出身(国籍)が同じ来日外国人を狙った、同国人被害の緊縛強盗事件等の凶悪事件」が新たに追加されています。

変更3  1年前の注意書きは以下の内容でしたが、
※ 商業広告・資機材の斡旋等のメールは固くお断りします。
※ 適法に滞在している外国人に対する誹謗中傷メールは固くお断りします
現在は、以下のように変わっています。
※ 当コーナーは、来日外国人を差別視するものではありません。
※ 商業広告、資機材の斡旋等のメールは固くお断りします。
※ 来日外国人の名誉を損なう誹謗中傷メールは固くお断りします。

これらの変更は、タイトルを「来日外国人組織犯罪」ではなく「国際組織犯罪」と変更した点、「来日外国人被害事件」も具体例としてあげている点、「適法に滞在している外国人に対する誹謗中傷メールは固くお断りします。」から 「当コーナーは、来日外国人を差別視するものではありません。」及び「来日外国人の名誉を損なう誹謗中傷メールは固くお断りします。」に変更している点は、私たちNGO側の批判や申し入れを意識して変更したものと思われ評価できると思います。

しかしながら、福岡県警のHPは、以前として「外国人犯罪」をタイトルとし、「来日外国人」を対象としたE−メール通報を設けている点、記載内容の3つの変更はきわめて部分的で、本質的な変更になっていません。

そこで、引き続きE−メール通報制度の廃止や「外国人」「来日外国人」を特定しない表記への変更を要請するために以下のような要望をE−メールで福岡県警あてに送信しました。

具体的には、「外国人犯罪」のタイトルを、「国際組織犯罪」と変更し、「外国人」「来日外国人」という用語を使用しないものに改める。たとえば、現在のHPの表記を、以下のようにあらためる。

1、「近年、暴力団と一部の不良来日外国人等が関係する組織的な犯罪・事件が全国的に多発しています」。→ 「近年、国境をこえた国際的な組織による組織的な犯罪・事件が全国的に増えています。」

意見  「ピッキング」「サムターン回し」「緊迫強盗」などは、 日本人も行っているような犯罪で国際組織犯罪といえないので、削除すべきです。そして、その代わりに、「外国人女性や児童を被害者とした人身売買事件」を国際組織犯罪として含めて紹介してください。)

これまでの捜査で「日本の暴力団と一部の不良来日外国人等」(→「日本の暴力団等の一部の日本人と一部の外国人」に変更)が結託し、盗んだ商品等を国内の闇ルートで売買したり、国外へ輸出するなどの実態が明らかになっています。

皆さんの身近に(「国際組織」を追加する)犯罪に関する情報はありませんか。/P>

意見  以上の修正がなされれば、「外国人」「来日外国人」を特定しない表記となるので、二つの注意書き(※ 当コーナーは、来日外国人を差別視するものではありません。※ 来日外国人の名誉を損なう誹謗中傷メールは固くお断りします)は、不要となるので削除してよいとおもいます。注意書きで「差別視」しないことと書くより、このコーナーの表記を「外国人」「来日外国人」と特定しない表記にかえることで、差別しないことになります。

 最後に、このページに掲載されているE−メール通報ができる旨の箇所を削除することを要請します。以上の変更をおこなっても、「外国人」「来日外国人」を犯罪者扱いする差別広報となることなく、かつ、国際組織犯罪防止へ向けての呼びかけや広報の役割は十分果たすことができるとおもいます。そして、国際化に対応するには、福岡県警のホームページ自体を、日本語表記だけでなく、多言語化して情報提供を行うべきです。


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