韓国の多文化現況と社会的課題
キム・ヨンジュ(忠南女性政策開発院 研究委員)
(日本語訳者 粟谷 美奈子)
※この論文に掲載されている円グラフについては、文字表記の部文のみ掲載和訳されています。
※注1 政府は、韓国人男性と結婚した女性を総称する用語として「女性結婚移民者」という言葉を公式に使用している。本文でも、以後は「女性結婚移民者」という言葉を使う。
※2 関連研究によると、現在3世代目に入っている基地地域の「混血人」は1950年代から1960年代まで持続的に増加し、1970年代以降は徐々に減少。現在約500人程度と推定されている。
補足説明―――ここでいう「混血人」は、米軍基地の軍人と韓国女性の間に生まれた子女を指しています。またその数が少なくなった要因として、60,70年代よりも駐屯軍人数が減ったこと、80年代にアメリカがビザを発給して受け入れをした時期があったこと、また、韓国は日本より海外移民や海外養子縁組が広く行われているので、韓国で生き難い立場の人は新天地に出て行くという選択をしたものと思われます。現在の約500人という数字は、政府が正式に調査したものではなく、海外養子などの活動をしているNGO団体が把握しているものだそうで、2世、3世は含んでいない可能性が高い。
一方、国内の華僑は現在約二万人ほどであり、関連研究によるとその半分以上である57%が飲食業に従事しており、華僑の人に対する調査からは、就業や社会福祉などでの差別が深刻だと感じている比率が80%にいたった。(国家人権委員会、2003a参照)。参考に2002年永住権制度の導入により華僑の人は永住権を獲得することとなり、2005年からは永住権を持つ外国人に地方選挙件が付与されたが、華僑学校の学力認定、障害者、老人等への各種福祉の対象からは排除されている。
<表2−1>総人口対比在留外国人比率
|
|
|
|
|
|
在留外国人数 |
49,504
|
269,641
|
491,324
|
747,467
|
910,149
|
|
43,410,000
|
44,553,000
|
45,985,000
|
48,294,000
|
48,297,000
|
|
0.11
|
0.60
|
1.07
|
1.55
|
1.88
|
<表2−2>
区分 | 2002年 | 2003年 | 2004年 | 2005年 | 2006年 |
在留外国人数 |
629,006
|
678,687
|
750,873
|
747,467
|
910,149
|
長期在留者数
(比率) |
271,666
(43.2) |
460,261
(67.8) |
491,409
(65.4) |
510,509
(68.3) |
660,607
(72.6) |
短期在留者数
(比率) |
357,340
(56.8) |
218,426
(32.2) |
259,464
(34.6) |
236,958
(31.7) |
249,542
(27.4) |
※3 多文化現況を概括するうえで居住外国人の定住化傾向とともに「空間的分離または分化」である「集住化」現象も論じなくてはならないが、本文では定住化現象に限定して記述する。参考までに、ソウルの場合は工業団地地域や居住費が安い外郭地である衿川、九老、安山、城南、東豆川などには外国人労働者街が、また江南、瑞草、竜山などにはアメリカ、日本などの専門技術職従事者たちの集団住居が形成されるなど集住化現象が進行している(韓国社会学会、2006参照)
在留外国人の性別による現況は年度別外国人登録者数の推移を通して確認できる。1999年以後、外国人登録者の性別分布は男性が56-59%、女性が31-34%程度と男性が女性より多い(<図2−1>)。そして外国人登録者の主要在留資格別推移を見てみると、外国人労働者が現在30万人に近い規模であり、その次に結婚移民者が9万人を超える規模にいたっている(<図2−2>)。数字的には外国人労働者がもっとも多く増加幅の起伏は相対的に大きい反面、結婚移民者と留学生が少しずつ増えていることも見て取れる。
<図2−1>外国人登録者の年度別推移
-●- 男性
-■- 女性
* 資料;法務部、『出入国管理統計年報』(1999-2006)
<図2−2>主要在留し格別の外国人登録者年度別推移
グラフ説明 上から留学生、専門職、単純労働者、結婚移民者
* 資料;法務部、『出入力管理統計年報』(2002-2006)
一方、在留外国人の国別現況を見ると、中国(42%)、アメリカ(12%)、ベトナム(6%)、フィリピン(5%)、日本(5%)、タイ(5%)などの順になるが中国は韓国系中国人(朝鮮族)の就業者と結婚移民者の数が多いからであり、アメリカは駐韓アメリカ軍と韓国系アメリカ人の訪問居住による居住者、フィリピン、タイは外国人労働者と結婚移民者の数が多数を占めていると見られる(<図2−3>)。また、在留外国人の主要国別現況をさらに性別で見てみると、大部分男性在留者が女性より多いが、韓国系中国人と日本人の場合、女性在留者の方が多いという結果が出た。
<図2−3>在留外国人の国別分布(2006年度)
円グラフ多い順から中国、アメリカ、ベトナム、フィリピン、タイ、日本
最後の25パーセントはその他
* 資料;法務部、2007『出入国管理統計年報』
<図2−4>在留外国人の主要国別・性別現況
棒グラフ左から 中国、韓国系中国、ベトナム、フィリピン、タイ、日本
* 資料;法務部、2007『出入国管理統計年報』
※4 1990年「20−24歳」年齢層人口の性比率は109.15、1995年は108.30、2000年は111.44にいたっており、「25−29歳」年齢層においては、1990年が99.46、1995年が100.92、2000年には100.87であった。「30−34歳」年齢層では1990年が103.77、1995年が103.00、2000年には102.13と結婚適齢期の年齢層では男性人口の方がほとんどの場合多いということがわかる(統計庁、『人口総調査』)
<表2−3> 年度別国際結婚推移
|
|
|
|
|
|
|
|
|
全体結婚件数
|
334,030
|
320,063
|
306,573
|
304,932
|
310,944
|
316,375
|
332,851
|
|
国際結婚件数
|
全体
|
12,319
|
15,234
|
15,913
|
25,658
|
35,447
|
43,121
|
39,690
|
男性
|
7,304
|
10,006
|
11,017
|
19,214
|
25,594
|
31,180
|
30,208
|
|
女性
|
5,015
|
5,228
|
4,896
|
6,444
|
9,853
|
11,941
|
9,482
|
|
国際結婚比率
|
4.6
|
4.2
|
5.2
|
8.4
|
11.4
|
13.6
|
11.9
|
<表2−4>2006年 市道(広域自治体)別国際結婚件数と比率
区分
|
総結婚件数
|
国際結婚
|
韓国男性+外国女性
|
韓国女性+外国男性
|
|||
結婚件数
|
比率
|
結婚件数
|
比率
|
結婚件数
|
比率
|
||
総計*
|
333,752
|
39,690
|
11.9
|
30,208
|
9.1
|
9,482
|
2.9
|
ソウル
|
73,924
|
9,127
|
12.4
|
6,168
|
8.4
|
2,959
|
4.0
|
釜山
|
20,017
|
1,986
|
9.9
|
1,466
|
7.3
|
520
|
2.6
|
仁川
|
13,892
|
1,295
|
9.3
|
1,070
|
7.7
|
225
|
1.6
|
大邱
|
17,261
|
1,977
|
11.5
|
1,572
|
9.1
|
405
|
2.4
|
大田
|
8,487
|
723
|
8.5
|
643
|
7.6
|
80
|
0.9
|
光州
|
9,502
|
823
|
8.7
|
687
|
7.2
|
136
|
1.5
|
蔚山
|
7,493
|
678
|
9.0
|
620
|
8.3
|
58
|
0.7
|
京畿道
|
77,231
|
8,321
|
10.8
|
6,492
|
8.4
|
1,829
|
2.4
|
江原道
|
8,731
|
907
|
10.4
|
795
|
9.1
|
112
|
1.3
|
忠清北道
|
9,291
|
1,063
|
11.4
|
953
|
10.3
|
110
|
1.1
|
忠清南道
|
13,373
|
1,659
|
12.4
|
1,472
|
11.0
|
187
|
1.4
|
全羅北道
|
10,429
|
1,464
|
14.0
|
1,343
|
12.9
|
121
|
1.1
|
全羅南道
|
10,507
|
1,695
|
16.1
|
1,582
|
15.1
|
113
|
1.0
|
慶尚北道
|
16,178
|
2,070
|
12.8
|
1,885
|
11.7
|
185
|
1.1
|
慶尚南道
|
20,789
|
2,463
|
11.9
|
2,240
|
10.8
|
223
|
1.1
|
済州
|
3,576
|
379
|
10.7
|
277
|
7.8
|
102
|
2.9
|
<表2−5>農林漁業従事者の国際結婚
区分
|
|
|
||
全体男性国際結婚比率
|
農林業従事者男性の国際結婚比率
|
全体男性国際結婚比率
|
農林業従事者男性の国際結婚比率
|
|
全国
|
9.9
|
35.9
|
9.1
|
41.0
|
ソウル
|
10.7
|
35.7
|
8.3
|
36.2
|
釜山
|
7.4
|
20.2
|
7.3
|
19.9
|
仁川
|
7.7
|
47.2
|
7.7
|
44.1
|
大邱
|
12.2
|
34.6
|
9.1
|
37.9
|
大田
|
6.4
|
35.9
|
7.6
|
40.0
|
光州
|
8.6
|
38.3
|
7.2
|
40.0
|
蔚山
|
8.1
|
42.4
|
8.3
|
34.8
|
京畿道
|
10.1
|
30.4
|
8.4
|
31.0
|
江原道
|
9.1
|
32.9
|
9.1
|
36.6
|
忠清北道
|
11.0
|
46.3
|
10.3
|
44.3
|
忠清南道
|
11.4
|
41.4
|
11.0
|
41.2
|
全羅北道
|
13.6
|
42.3
|
12.9
|
44.2
|
全羅南道
|
13.3
|
39.3
|
15.1
|
47.0
|
慶尚北道
|
10.2
|
43.6
|
11.7
|
50.2
|
慶尚南道
|
8.8
|
40.0
|
10.8
|
52.6
|
済州
|
6.8
|
19.2
|
7.7
|
20.9
|
<表2−6>国際結婚国籍別推移
類型
|
国家
|
|
|
|
|
|
|
韓国男性+外国女性
|
全体
|
10,006
|
11,017
|
19,214
|
25,594
|
31,180
|
30,208
|
日本
|
976
|
959
|
1,242
|
1,224
|
1,255
|
1,484
|
|
中国
|
7,001
|
7,041
|
13,373
|
18,527
|
20,635
|
14,608
|
|
アメリカ
|
265
|
267
|
323
|
344
|
285
|
334
|
|
フィリピン
|
510
|
850
|
944
|
964
|
997
|
1,157
|
|
ベトナム
|
134
|
476
|
1,403
|
2,462
|
5,822
|
10,131
|
|
タイ
|
185
|
330
|
346
|
326
|
270
|
273
|
|
ロシア
|
157
|
241
|
297
|
318
|
236
|
206
|
|
モンゴル
|
118
|
195
|
318
|
504
|
561
|
594
|
|
その他
|
660
|
658
|
968
|
925
|
1,119
|
1,421
|
|
韓国女性+外国男性
|
全体
|
5,228
|
4,896
|
6,444
|
9,583
|
11,941
|
9,482
|
日本
|
3,011
|
2,377
|
2,613
|
3,378
|
3,672
|
3,756
|
|
中国
|
222
|
272
|
1,199
|
3,621
|
5,042
|
2,597
|
|
アメリカ
|
1,132
|
1,210
|
1,237
|
1,348
|
1,413
|
1,455
|
|
ドイツ
|
97
|
84
|
93
|
110
|
85
|
129
|
|
カナダ
|
164
|
174
|
223
|
230
|
285
|
308
|
|
フランス
|
58
|
80
|
78
|
83
|
76
|
98
|
|
オーストラリア
|
79
|
89
|
108
|
136
|
102
|
139
|
|
パキスタン
|
64
|
126
|
130
|
103
|
219
|
152
|
|
その他
|
401
|
484
|
763
|
844
|
1,047
|
848
|
<図2−5>韓国男性の国籍別結婚推移
*資料;統計庁 婚姻統計
「韓国男性+外国女性」の国際結婚で地域別に外国人配偶者の分布現況をみると、全体的に韓国とベトナムが多数を占めており、フィリピン、日本モンゴルは地域によって少しずつ順位に差があるがそれほど大きな意味はないように見える。しかし中国とベトナム女性の比率においては、仁川と蔚山を除いた、ソウル、大邱、釜山、光州、大田の広域市は中国の数が多い反面、江原、忠北、忠南、全北、全南、慶北、慶南の広域道(京畿と済州を除く)はベトナム女性の数が多い傾向がある。これは地域別に、都市地域の男性は中国女性との結婚が、農村地域の場合ベトナム女性との結婚が相対的に多いということを示している。
<図2−6>2006年度 市道別外国時妻の国籍別婚姻現況
棒グラフ上から その他、モンゴル、ベトナム、フィリピン、日本、中国
左から ソウル、釜山、仁川、大邱、光州、大田、蔚山、京畿、江原、忠北、忠南、全北、全南、慶北、慶南、済州
*資料;統計庁 婚姻統計
2) 結婚移民者の現況
法務部の資料によると、現在、結婚移民者は総93,786人であり女性が88.3%、男性が11.7%となっている。※5 出身国分布現況は女性結婚移民者の場合、韓国系中国、中国(漢族)、ベトナム、日本の順であり、男性結婚移民者は韓国系中国、中国、日本の順である(<表2−7>、図<2−7>)。
最近の何年かで国際結婚全体の大多数を占める「韓国男性+外国女性」の結婚においてベトナムとの結婚が30%以上である点を考慮すると、これから数年の間で全体結婚移民者数でベトナム人が占有する比率が大きく伸びるとみられる。
<表2−7>結婚移民者の出身国分布別居住現況(06.12)
出身国
|
全体
|
女性
|
男性
|
||
人数
|
比率
|
人数
|
比率
|
||
韓国系中国
|
35,801
|
31,183
|
37.7
|
4,618
|
42.2
|
中国
|
20,485
|
18,541
|
22.4
|
1,944
|
17.7
|
ベトナム
|
14,831
|
14,768
|
17.8
|
63
|
0.6
|
日本
|
6,546
|
5,977
|
7.2
|
569
|
5.2
|
フィリピン
|
4,324
|
4,186
|
5.1
|
138
|
1.3
|
タイ
|
1,581
|
1,555
|
1.9
|
26
|
0.2
|
モンゴル
|
1,641
|
1,614
|
2.0
|
27
|
0.3
|
ロシア
|
1,085
|
1,046
|
1.3
|
39
|
0.4
|
ウズベキスタン
|
1,056
|
1,024
|
1.2
|
32
|
0.3
|
その他
|
6,436
|
2,934
|
3.6
|
3,502
|
32.0
|
全体
|
93,786
|
82,828
|
100.0
|
10,958
|
100.0
|
<図2−7>女性結婚移民者の出身国別現況
多い順に 韓国系中国、中国、ベトナム、日本、フィリピン、モンゴル、その他
* 資料;法務部、2007『出入国管理統計年報』
次に地域別の結婚移民者居住状況をみると、結婚移民者の半数以上である58.6%がソウル、京畿、仁川の首都圏地域に住んでおり、全般的に地域の人口規模と同じ水準である。
性別居住状況は、ソウルと広域市では男性結婚移民者の比率が相対的に高く、広域道では女性結婚移民者の比率が相対的に高い。
関連研究においてもこのような地域別の差異をみせており、都市居住結婚移民者の比率が76%、農村居住結婚移民者の比率は23.5%と、都市居住者がはるかに多く、女性結婚移民者は農村地域に、男性結婚移民者は都市地域に多く居住しているという結果になっている(ソル・ドンフン、イ・ヘギョン、チョ・ソンナム、2006)
<表2−8>地域別結婚移民者居住現況
|
|
|
|||||
|
|
|
|
|
|
||
93,786
|
100.0
|
82,828
|
100.0
|
10,958
|
100.0
|
||
ソウル
|
9,762,546
|
24,992
|
26.7
|
20,418
|
24.7
|
4,874
|
41.8
|
釜山
|
3,512,547
|
4,320
|
4.6
|
3,888
|
4.7
|
432
|
4.0
|
仁川
|
2,517,680
|
5,721
|
6.1
|
4,994
|
6.0
|
727
|
6.6
|
大邱
|
2,456,016
|
2,641
|
2.6
|
2,388
|
2.9
|
253
|
2.3
|
大田
|
1,438,551
|
2,108
|
2.3
|
1,899
|
2.3
|
209
|
1.9
|
光州
|
1,413,644
|
1,643
|
1.8
|
1,531
|
1.9
|
112
|
1.0
|
蔚山
|
1,044,934
|
1,464
|
1.6
|
1,362
|
1.7
|
102
|
0.9
|
京畿道
|
10,341,006
|
24,143
|
25.8
|
20,847
|
25.2
|
3,296
|
30.1
|
江原道
|
1,460,770
|
2,408
|
2.6
|
2,275
|
2.8
|
133
|
1.2
|
忠清北道
|
1,453,872
|
2,891
|
3.1
|
2,702
|
3.3
|
189
|
1.7
|
忠清南道
|
1,879,417
|
4,084
|
4.4
|
3,873
|
4.7
|
211
|
1.9
|
全羅北道
|
1,778,879
|
3,667
|
3.9
|
3,528
|
4.3
|
139
|
1.9
|
全羅南道
|
1,815,174
|
3,785
|
4.0
|
3,713
|
4.5
|
72
|
1.3
|
慶尚北道
|
2,594,719
|
4,349
|
4.6
|
4,161
|
5.0
|
188
|
1.7
|
慶尚南道
|
3,040,993
|
4,822
|
5.2
|
4,574
|
5.5
|
248
|
2.3
|
済州
|
530,686
|
748
|
0.8
|
675
|
0.8
|
73
|
0.7
|
<表2−9>外国人に関する主要制度の変化
年度
|
内容
|
1992.12
1993.11
1997.12
1999.9 2002.4 2002.12 2003.9 2004.8 2005.8 2006.1 2006.8 2007.5 |
難民協約加入
外国人産業研修生制度導入(出入国管理法)
父母両系血統主義採択(国籍法改正)
一部在外同胞の就業活動、金融・不動産取引自由化(在外同胞の出入国と法的地位に関する法律) 永住権制度新設(出入国管理法) 中国同胞に対する就業管理制度導入(出入国管理法) 不法滞在者合法化措置 外国人雇用許可制度実施(外国人勤労者の雇用等に関する法律) 永住権所持外国人の地方選挙権付与(公職選挙法) 外国人権益増進協議会設置(法務部) 居住外国人支援業務便覧の制作及び配布(行政自治部) 在韓外国人処遇基本法制定 |
※6 これは2006年5月に設置された「外国人政策委員会」の政策目標によくあらわされているが、ここでは「外国人の人権尊重と社会統合」と「優秀な外国人人材誘致支援」を設定している。(外国人政策委員会、2006)
※7 教育人材資源部の統計によると、結婚移民者子女は総7,998人。うち、小学生6,795人、中学生924人、高校生が279人となっている。(2006年4月資料)
<表2−10>
中央政府の結婚移民者に対する社会統合支援政策の主要推進状況
部署名
|
内容
|
法務部
|
−婚姻破綻及び離婚による簡易帰化申請時の立証用件緩和
−外国人政策委員会構成及び運営(2006)
|
保健福祉部
|
−結婚仲介業管理に関する法律の制定推進
|
女性家庭部
|
−結婚移民者家庭支援センターの設置・運営
−外国人専用休憩所設置・運営
−女性結婚移民者用韓国語教材の制作・配給
−産前・産後の手伝い派遣事業
|
教育人的資源部
|
−多文化家庭子女教育支援対策及び指定学校運営
|
農林部
|
−女性結婚移民者のための訪問ヘルパー
|
文化観光部
|
−社会文化芸術教育プログラム(女性結婚移民者)運営
|
特に、中央政府だけでなく、地方政府でも女性結婚移民者の支援に多くの関心と財源を割いている。ここには、都市地域と農村地域の格差の拡がり、少子高齢化が深刻になり活力を失ってきている地域社会の危機意識も含まれている。
一方、女性結婚移民者に対する支援と政策的関心が高まるにつれ関連NGOや活動家が増えてきた。女性結婚移民者の支援を政策化することができたのは、これまで地域の多くのNGOの提言や批判、そして活動があったからこそ可能であった。
※8 女性結婚移民者を「再生産の手段」と認識する典型的な政策のひとつが、一部地方政府によって推進されている《農村男性結婚支援条例》とそれによる国際結婚経費の支援を上げることができる。一部地方政府では政府の予算で男性に限り国際結婚に必要な経費の一部を支援している。