同性婚者の在留資格について
2014年3月17日 中島 眞一郎
移住労働者と共に生きるネットワーク九州と福岡入管との第16回意見交換会は、2013年3月14日(金)午前2時から午後3時半過ぎまで、福岡入管3階会議室で行われました。福岡入管側から実務担当者3名(入国在留審査部門、警備部門、審判部門の統括審査官)が出席し、総務課の渉外調整官1名の計4名が出席しました。
また、移住労働者と共に生きるネットワーク九州から12名が参加しました。
セクシャルマイノリテイ問題
同性婚者の在留資格について重要な回答がありましたので、質問と回答をそのまま掲載し、コメントを付しておきます。
質問
「日米安保条約により駐留している在日アメリカ軍・軍属の同性婚のパートナーに、『配偶者』と認め、ビザなしで日本に入国できることを日本政府が認め、適用がはじまっている」ことが報道されました。(2013年12月29日 読売新聞 朝刊)近年諸外国で、同性婚を合法化する動きが広がってきています。駐留米軍・軍属以外で、在留している外国人の同性婚のパートーバーに対して、「外交」、「公用」、あるいは、「家族滞在」や「永住者の配偶者等」の在留資格が付与された実例がありますか、また、付与に向けて今後検討されていますか、
回答
在留資格 「家族滞在」 「永住者の配偶者等」にいう配偶者は、わが国の婚姻に関する法令において有効な者として取り扱われる婚姻の配偶者であり、外国で有効に成立した婚姻であっても、同性婚による配偶者は含まれないところ、諸外国おける同性婚にかかる法整備の実情等を踏まえ、また、本国で同性婚をしている者について、その者が本国と同様に我が国おいても安定的に生活できるように人道的観点から配慮し、同性婚による配偶者については原則として 在留活動「特定活動」による入国・在留を認めることとしています。個別事案については福岡局では承知していません。
コメント(中島)
これまで、外国人同士のカップルで、その国(それぞれの国)で同性婚が有効に成立していても、外国人配偶者は、 有効な婚姻関係にある配偶者として認められてきませんでした。しかし、今回の福岡入管の回答は、2013年末に読売新聞が報道した駐留米軍関係者の同性婚パートナーだけでなく、同性婚が有効な婚姻として成立している場合には、有効な配偶者として認め、在留活動を法務大臣が指定する「特定活動」の在留資格を原則として付与するという回答でした。
なお、本省である法務省入国管理局の入国在留課にも確認しましたが、「個別事案ごとに審査していくことになるが、最近(福岡入管の回答のような)このような取り扱いをすることに内部的に変わった」ことを認めました。
なお、本省の入国在留課によると、日本人と外国人の同性婚カップルの場合、日本で同性婚が有効な婚姻と認められていないため、日本人の有効な配偶者として認められず、有効な配偶者としての「特定活動」の在留資格は付与されないこと、外国人同士の同性婚カップルの場合で、個別審査の結果になるが、有効な配偶者と認められれば、「特定活動」の在留資格が付与され、個別事案ごとの審査によるが就労可能な条件付与もあり得る」ということでした。
補足説明 (中島)
これまで同性婚は、日本で有効な婚姻と認められていないため、同性婚の配偶者は、有効な婚姻関係にある配偶者と認められず駐留米軍や軍族関係者で、異性婚の配偶者は、配偶者と認められ、ビザなし来日が可能でしたが、同性婚の配偶者は、アメリカの州で同性婚が有効に成立していても
日本で配偶者として認められず、来日するには、ビザ申請が必要でしたし、そのビザも、配偶者として認められないため、家族滞在のビザが認められませんでした。2013年12月29日の読売新聞の記事は、日米両政府が、駐留米軍・軍属関係者について、同性婚の配偶者にも、異性婚の配偶者と同様にビザなし来日を可能にすることに合意したというものでした。
2014年3月14日 福岡入管への質問は、この読売新聞の記事を踏まえ、ビザなし来日が可能で、在留カードの適用対象とならない駐留米軍や軍族関係ではなく、ビザ申請が必要で在留カードの適用対象となる外国人の同性婚の配偶者に関して、どのような取り扱いになるのかを質問したものです。
これまでは、同性婚が有効な婚姻と日本で認められていないため、同性婚の配偶者には、永住者の在留資格を有する外国人の配偶者であれば認められる「永住者等の配偶者」の在留資格や、就労活動のビザ(「国際業務人文知識」「技術」「技能」など)で在留している外国人の配偶者に認めらえる「家族滞在」の在留資格が認められず、その配偶者自身の就労活動が可能な在留資格を取得するか、観光客などとして短期滞在の在留資格で来日するしかありませんでした。(ノービザでの来日が認められている国は、ビザなし渡航が可能です)
2014年3月14日の福岡入管の回答は、「日本で入国在留できる在留資格を持つ外国人の、外国で有効に成立している同性婚の配偶者に、異性婚の配偶者と同様、日本国内に入国し、安定的に暮らせるような入国在留ができるようにするため、異性婚の配偶者にみとめられる「永住者の配偶者等」「家族滞在」の在留資格ではありませんが、法務大臣が「特定活動」の在留資格を付与していくことを原則とすることを表明したものです。なお、日本人と有効な国際結婚した異性婚の外国人配偶者には、「日本人配偶者等」の在留資格が認められますが、同性婚の外国人配偶者には、日本では同性婚を有効な婚姻と認めていないため、「日本人配偶者等」の在留資格が認められないだけでなく、「特定活動」の在留資格も認められていません。
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