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コムスタカ―外国人と共に生きる会 Kumustaka-Association for Living Togehte with Migrants

〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-402

須藤眞一郎行政書士事務所気付

2025年度熊本県困難女性等支援調整会議の報告

中島 眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会代表)

 熊本県では2024年4月の「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」の施行を受け、DV対策関係機関会議が新たに熊本県困難女性等支援調整会議として設置され、2025年5月30日(金)午前10時30分から午後12時過ぎまで熊本県庁防災センター 312、313、314会議室において第二回目の調整会議が開催され、コムスタカからも参加をしました。 以下は事前にコムスタカから提出をした質問と要望及びそれに対する回答です。


一、熊本県困難女性等支援調整会議へのコムスタカからの質問と回答

    

質問(1) 2024年度の外国籍の方からの相談件数、同性間の DV に関する相談件数、男性が被害である相談件数を教えて下さい。

回答 (県女性相談センター)
外国人相談件数:7件(うちDV3件) ・同性間のDVに関する件数:1件 ・男性がDV被害者である件数:35件


質問(2) 2024 年度のステップハウスの運用状況(継続中、退去者、新規入居者)を教えてください。

回答 (県女性相談センター)
2024年度は利用なし。2025年度において、一時保護所退所者が現在利用中。


質問(3) 平成 29 年度に熊本県が行った DV 被害者総合支援・加害者対応モデル事業の取組結果を踏まえ令和元年度に完成したガイドラインにある、加害者に対して再加害防止に向けての介入は行っていますか。行っていない場合、今後行うような体制を整える予定はありますか。

回答
(県女性相談センター) 
・女性相談センターは、被害者側の相談支援機関であるため、加害者に対して直接的な介入 は行っていませんが、被害者に地域の支援機関等の情報を提供するとともに、当センターが、ガイドライン等を参考に地域の関係機関、管轄の警察署、児童相談所等と情報共有等をしながら連携体制を整え、再被害防止に取り組んでいます。
・一時保護を要するような緊急性・危険性の高いケースでは、女性相談センターは被害者の 安全確保を最優先に被害者支援を行い、管轄の警察署が加害者に対する加害行為の意識づ けや指導警告を行うなど役割分担をして対応しています。
・また、避難後、元の居住地域に戻るなど、地域で生活するDV被害者に対しては、地域の関 係機関と連携しながら電話連絡や心理カウンセリング等を継続するなど被害者とつながり 続けることより再被害防止につながるよう支援しています。


質問(4) 昨年度、同性間のDVやトランスジェンダー等のセクシュアルマイノリティの被害者へ の支援体制強化のために何か新たな取り組みはありましたか。また今年度は支援体制を 強化するための新たな取り組みの予定はありますか。

回答 (県女性相談センター)
・女性相談センターでは、県女性相談員等を対象に性的少数者等への支援に関する研修を実施し、性別に関係なくDV被害者相談支援を行っています。
・今後も、性的少数者等を含む多様なDV被害者等に対し、適切な配慮や対応ができるよう、 研修等を通じて県全体の支援者のスキルアップを図るとともに、支援調整会議等を通じて 関係機関との連携を深め、性的少数者等を含む多様なDV被害者等への支援に取り組んで 参ります。

 
質問(5)
 児相とDVの相談機関の連携に関して、新たな取り組みは行っていますか。また、新たな取り組みを検討されていますか。検討されているのであれば、それはどういうものですか?昨年度の回答では、「県配暴センターに寄せられた児童虐待が疑われる事案について、児相への通達やケース会議への相互出席等の連携が取られている」との回答でし たが、児相に寄せられたDVが疑われるケースで同様の取り組みもされていますか。

回答 (県女性相談センター、県中央児童相談所、県八代児童相談所)
・これまでどおり、国(厚労省、内閣府、こども家庭庁)の関係通知(H31.2配暴センターと児相等との連携強化等の徹底にかかる通知、R1.6児童福祉法の一部改正、R5.9.1こども施 策と女性支援施策の連携にかかる通知等)を市町村等関係機関に周知徹底するとともに、 当該通知に沿って、女性相談センターと児童相談所との連携強化を図っています。
・県配暴センターに寄せられた児童虐待が疑われる事案については、児相への通報等情報提供を行うとともに、ケース会議への相互出席、児相の保護者面接時の当所職員の同席や、児相から情報提供を受けた在宅のDV被害者家庭については、女性相談センターから状況 確認や情報提供を行うなどの対応を行っており、母子で支援が必要なケースへの連携・情 報共有等を行っています。 また、女性相談センターに児童福祉司経験のある職員を配置して対応しています。
・また、県児童相談所は、受理した児童通告のうちDV被害親への個別支援が必要と判断した事案については、本人の了解のもと県配暴センターや市の女性相談部署へ積極的に情報提供を行い、要保護児童対策地域協議会への女性相談部署職員の出席の依頼や、児童福祉 司が市の女性相談部署が行う面接に同席するなどの取り組みを行っています。
・今後も更なる連携強化を図って参ります。


質問(6) 熊本県外国人サポートセンターへの DV に関する相談件数を教えて下さい。

回答 (熊本県外国人サポートセンター)
2024年度は0件でした。


質問(7) 昨年度の回答で、「困難女性支援法の施行に伴い、女性支援の窓口の外国籍住民に対す る周知および、緊急時にも安定的に通訳を確保できる体制について、関係支援機関と連携し検討してまいります」との回答でしたが、具体的にどのような検討をされましたか。 また、今後どのように対策を予定していますか。

回答 (県女性相談センター)
多言語の通訳を安定的に確保できる体制整備等については、当センター単独では難しい面がありますが、一時保護等の緊急時に、必要に応じて通訳や翻訳を依頼する予算を確保しており、今後も県外国人サポートセンターや民間団体とも連携しながら、適切な配慮のもとで支援して参ります。


質問(8) 2024年度の県営住宅の DV 被害者の目的外使用の利用状況(継続中、退去者、新規入居者)を教えてください。

回答 (県住宅課)
2024年度の県営住宅のDV被害者の目的外使用の利用実績は以下のとおりです。
・2023年度からの継続中の入居者 → 3件(2件9月と12月通常入居・1件退去)
・2024年度からの新規入居者 → 4件


質問(9) 2024年度のDV認知件数、一時保護件数、加害者への警告件数、検挙件数、検挙件数のうち被害者からの被害届なしで検挙に至った件数、検挙件数のうち起訴された件数、検挙件数のうち再犯者の件数を教えてください。

回答 
(熊本県警察本部人身安全対策課)
DV認知件数〜455件(新規相談受理件数)
・一時保護件数:一時保護を依頼する立場であり、統計をとっていないため判明しない
・検挙件数:63件
・検挙件数のうち起訴された件数:公判等に関する情報であり、警察からの回答は控えさせ ていただく
・検挙件数のうち再犯者の件数:統計を取っていないため判明しない
※ 上記数値については、2024年度ではなく2024年中(1月〜12月)の数値


質問(10) 面前DVとして、児童相談所に通報した件数を教えてください。 2024年の心理的虐待のうち面前DVとして児童相談所へ通告したケース、そのうち、DV被害者あるいは加害者、子どもからの警察に通報があった件数と、第三者から通報のあった件数を教えてください。 また、面前DVのケースでは、女性相談センターに通報する規定がないため通報していないとの前回の返答でしたが、変更はありましたか。 もし、変更があれば、面前DVのケースで女性センターに通報した件数を教えてください。

回答 (熊本県警察本部人身安全対策課)
・面前DVで警察から児童相談所に通告した児童数:1060人(警察では「通告児童数」で 統計を取っています)
・面前DVの通報元(DV被害者・加害者・子ども等):統計を取っていないため判明しない
・女性相談センターへの通報に関する規程の変更点:なし


二、熊本県困難女性等支援調整会議へのコムスタカからの要望と回答

要望1.DV被害者のための短期避難施設の設置、あるいは、他の法律などの一時保護施設のDV被害者への活用
 現在の一時保護所は緊急性、危険性があり、加害者のもとには戻らないという決意がないと入所することができません。 まだ加害者の元を去る決断をできないけど、一時的に避難したい人が入所できるようにしてください。 また、現存するステップハウス を一時保護所入居者以外のDV被害者をも対象とするように運用を変えてください。 一時保護所入居者以外のDV被害者の中には、「一時保護を要さない」場合だけでなく、 仕事や学校へ行けなくなるなど生活の基盤を失うことを避けるなどの様々な理由によ り一時保護所に入居できない人もいることを考慮してください。

回答 (県女性相談センター、子ども家庭福祉課)
公的一時保護所は、危険性の高い方の安全確保のため、入所に当たっては保護中の携帯電話の使用禁止や、外出に際しては職員が同行するなどの対応をしておりご理解をお願いしています。 加害者との離別の意思については、保護場所の秘匿性の確保やその後の支援計画に必要であるため相談時に確認していますが、決断ができていない方であっても危険性が高い場合は保護をしています。 ステップハウス事業については、まずは一時保護後の利用につなげていくよう取り組んでいるところです。 今後も利用の実績を踏まえながら、場所の確保も含めてあり方を検討して参ります。 また、様々な理由により一時保護所に入居できないDV被害者の居所確保については、民間シェルター等との連携も重要と考えており、補助事業の実施などによる支援にも取り組んでいます。


要望2.DV加害者対応施策の実施
 平成29年度に熊本県が行った「DV被害者総合支援―加害者対応モデル事業」にもとづいて作成された「熊本県DV被害者総合的支援ガイドライン」の趣旨である、DV加害者と同居を継続したり、同一地域で別居して生活するDV被害者に対して、DV加害者から 被害者を「逃がす」支援だけでなく、DV加害者へ介入してDV被害を防止し、生活自立を支援し、DV被害者をエンパワーメントして両者のパワーバランスを変えてDV被害を減らし、なくしていくという「(加害者と同居や同一経済圏で暮らす)逃げないDV被 害者」に対する支援の施策を行ってください。 また、毎年行われている「熊本県DV被 害者総合的支援ガイドライン」の研修を、その内容の要旨を一方的に講義するあり方から、「逃げないDV被害者」の支援をどのように行うか、あるいはその実践例を話し合うグループ討議を含む研修会に変えてください。

回答 (県子ども家庭福祉課)
当該ガイドラインについては、特に被害者に身近な支援機関における支援体制充実に繋げ る趣旨であることから、市町村等の行政機関を主な対象として、毎年度研修を実施しています。 また、避難後、元の居住地域に戻るなど、地域で生活するDV被害者に対し、地域の関係機関と連携しながら電話連絡や心理カウンセリング等を継続するなど被害者とつながる又はつながり続けるアウトリーチ・アフターフォローによる支援を行う過程で、再被害防止に つなげられるよう、引き続き支援に取り組んで参ります。
ガイドライン研修のあり方については、当課で実施している各種研修・会議の内容を踏まえ、 集合形式で行うことでの出席者の負担感なども加味しながら、時期及び内容を検討して参ります。


要望3.外国人被害者への対応の充実
要望3−1

 外国人がDV相談窓口にたどりつくことができるよう周知を行ってください。 多言語でのリーフレット等の作成にとどまらず、ウェブサイトやSNSでの多言語での情報発信を強化してください。 また、DV被害者が相談・保護・自立に至る過程で、必要とされる司法や行政関係の説明書や申請書(たとえば、裁判所への保護命令説明書や申請用紙、生活保護の説明書や申請書、その他行政関係の説明書や申請書等の文書の多言語化(やさしい日本語を含む)を進めてください。

要望3−2
 どの自治体の相談窓口でも通訳を派遣でき、日本語能力に制限がある方に対しても日本人と同等の支援ができるよう、仕組みと予算の確保をお願いします。

要望3−3
 在留資格の有無、また在留資格の種類にかかわらず、困難な問題を抱える女性には 適切な支援を提供するようにしてください。

回答 県女性相談センター
 外国人被害者への相談窓口の周知や関係資料の多言語化等については、関係機関と連携して検討して参ります。
 困難女性支援法の趣旨に鑑み、困難な問題を抱える女性への適切な支援につながるよう取り組んで参ります。

要望3−4
 面前DVに対しての対応 DVのある家庭では子どもも虐待を受けているケースが多く、児相とDVの相談機関の連携の必要性が叫ばれています。今後、女性相談から虐待が疑われる事案について児相相談への通報などの情報提供だけではなく、児相が把握した面前DV事案に対して児相と女性センターが一緒に家庭訪問を行うなど、児童相談所と密な連携をとりながら、 状況に応じた適切な支援・対応を行ってください。

回答 県女性相談センター
 女性相談センター及び児童相談所では、双方が把握した面前DV事案について情報を共有 し、ともに家庭訪問を行うなど、児相と密な連携を取りながら必要な支援、対応を行います。

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