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コムスタカ―外国人と共に生きる会 Kumustaka-Association for Living Togehte with Migrants

〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-302

須藤眞一郎行政書士事務所気付

ベトナム人技能実習生グエットさん 最高裁判所への上告趣意書提出行動報告

 

 2026年1月20日  中島 眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会)

はじめに

 2025年11月4日(火曜日)の福岡高裁のグエン テイ グエット(以下、グエットさんという)控訴審判決は、2023年3月24日の最高裁判決(リンさんの刑事裁判の)の「死体遺棄罪の隠匿が成立するには、その態様自体が習俗上の埋葬と相入れない処置といえるか否かの観点から検討する必要がある」との枠組みで判断していますが、無罪を主張する弁護団弁護士の主張をすべて退け、1審判決及び検察官の有罪主張に追随した不当判決でした。 これは、居室内で死産した女性が、「段ボール箱に遺体を入れて棚の上に置いていたら、死体遺棄罪の隠匿に当たらず」無罪となり、「ゴミ箱の中に遺体をおいていたら死体遺棄罪の隠匿に当たる」という、居室内のどこに置くかで、死体遺棄罪の「隠匿」が成立するか否かを判断しており、また、死産した当日(グエットさんは、死産後は大量出血で何度も気絶している)の女性の行為と意思を問題にして判断しています。 ここにみられる「習俗上の埋葬と相入れない措置」か否かの判断が、孤立出産(死産)した女性へすべて責任を負わせ犯罪視し、「公共の秩序維持」としての妊娠・出産を体験しない男性の支配的価値観に基づいて判断されています。 グエットさんの刑事裁判は、妊娠・出産という性と生殖に関する社会的差別や不公正に関する異議申し立てであり、その価値観の転換を求める闘いです。

1.最高裁への上告趣意書作成、一般意見書の募集、最高裁への無罪署名、寄付金の呼びかけ

 グエットさんは、この判決を不服として、最高裁判所に上告する意思を表明し、弁護団弁護士が、2025年11月6日上告申立書を福岡高裁へ提出し、受理されました。そして、2025年12月3日付けで,最高裁判所第二小法廷(三浦守裁判長)から、2026年1月13日までに上告趣意書の提出期限とするとの通知書が、主任弁護人とグエットさん送られてきました。最高裁判所への上告審へむけ、弁護団を九州内の男性3名の弁護士に、女性弁護士の林陽子弁護士(東京第二弁護士会所属 アテナ法律事務所 元国連女性差別撤廃員会委員長)に新たに加わってもらい、4名の弁護士による弁護団に強化しました。

 林陽子弁護士のご紹介(http://athena-law.com/lawyer_hayashi.html)

 上告趣意書の内容も、これまでの主張に加えて女性差別の観点からこの事件を捉え直し、リプロダクト・ヘルツライト(性と生殖に関する健康と権利)及びリプロダクテイブ・ジャステイス(生と生殖に関する社会正義)に基づく無罪論を主張していくことにしました。

 「リプロダクティブ・ジャスティス裁判へのご支援を」チラシ

 さらに上告趣意書の添付資料として3名(刑法学者 福永俊輔西南学院大学教授、国際ジェンダー、移民政策専攻の田中雅子上智大学教授、医療法人聖粒会 慈恵病院の蓮田 健院長)専門家による意見書、そして、出産経験者や医療従事者やその他の一般意見書を集めたところ、出産経験者や医療従事者やその他の方々から47通の一般意見書が集まりました。

 最高裁判所の無罪署名は、紙署名とインターネット署名など控訴審判決前提出分以降から新たに集まった分 1762筆、これまでの累計1万8108筆の署名が集まりました。

2.最高裁判所への上告趣意書の提出など上告審行動の報告

最高裁判所の門前集会

 1月13日午後1時から、最高裁判所正門前の門前集会に、25名、取材にきたTBSや、婦人民主新聞、赤旗新聞の記者を含めると30人ほどがあつまりました。門前での20分ほどの集会をへて、横断幕2枚を先頭に、最高裁西門まで、行進しました。島翔吾弁護士と林陽子弁護士が、最高裁事務局に上告趣意書(添付資料とあわせると、200ページをこえる)を提出し、受理されました。

上告趣意書(マスキング済み)

3.東京の裁判所の司法記者クラブ記者会見室での記者会見

 1月13日午後3時からの記者会見は、司法記者クラブ所属記者12名と所属外3名(赤旗新聞、ふぇみん婦人民主新聞、フリーの西中記者)、の15名の参加で行われました。テレビは、読売テレビが代表撮影をしました。

2026年1月13日記者会見でのグエットさんのアピール文

 私が、死産した日のことを以下話します。子どもを出産したあと、体が紫色で、呼吸をしていない子どもを見て、私は声を出して泣きました。そのとき、もう助からないと分かりました。 その時の私は、とても怖くて、混乱していて、体もとても疲れていました。何をしたらいいのか分からず、子どもの遺体をビニール袋に入れました。

 私はしばらく周りを見ました。目の前にゴミ箱があり、そこに子どもを置こうと思いました。亡くなった人を送るとき、何かで体を覆うのを見たことがありました。そのため、子どもの体も何かで覆いたいと思いました。そのとき、白いケーキの箱があったので、それを使って子どもの体を覆いました。

 息をしていない子どもを見て、母親として、私は本当に強い悲しみを感じました。

 胸がとても苦しく、その場には、頼れる人が誰もいませんでした。なぜ子どもが亡くなったのか分からず、私はその場でたくさん泣きました。子どものそばに横になることしかできませんでした。そのとき、たくさん出血していて、自分も死んでしまうかもしれないと思っていました。そのため、ゴミ箱のふたを閉めませんでした。そうすれば、誰かが私と子どもに気づいてくれると思ったからです。

 その後、彼氏が仕事から帰ってきて、私の体や床にたくさん血があるのを見ました。

 すぐに同僚に連絡し、私を病院に連れて行こうとしました。私は、病院で診てもらって、そのあと家に帰れると思っていたので、病院へ行くことにしました。家に帰ったら、彼氏に、出産したことと、子どもが亡くなったことを話し、子どもをどうやって埋葬するか、一緒に考えてもらうつもりでした。 しかし、私は、その後で警察に捕まり、子どもに会うことも、それを行うことも、できなくなりました。

 以上の経緯から、私はこれまでずっと、自分は無罪であると主張してきました。

 しかし、事件の審理の中で、まだ十分に考えられていない重要な点があると感じています。また、私が置かれていた状況や、本当の意図が、正しく理解されていないとも思っています。

 私の行為が犯罪だと評価されたことは、私にとって非常に大きな苦しみでした。

 心に深い傷が残りました。それは、私だけでなく、家族にとっても同じです。私が上告しているのは、責任から逃れるためではありません。真実を明らかにし、公正に判断していただくためです。

 私は、最高裁判所が、偏見ではなく、証拠と事実に基づいて、この事件を判断してくださることを、心から願っています。 最後まで、誠実に、そして粘り強く、この問題と向き合い続けていくつもりです。どうか、私の声に耳を傾けてください。本日は、誠にありがとうございました。

 2026年1月13日  
 グエン テイ グエット(NGUYEN THI NGUYET)

4.最高裁上告審報告集会

 1月13日午後6時30分からの報告集会には、会場に45名、オンライン85名の参加で、合計130名の参加がありました。会場に参加されていた方々の熱気と、この問題をひとごとではなく、自分ごととして捉え取り組んでいく決意や発言が次々となされ、リプロダクトジャステイス(RJ)訴訟として、今後とも支援運動を広げていく確かなスタートをきる手応えが、感じられました。

5.上告趣意書提出以降の今後の取り組み

最高裁判所への無罪署名・・寄付のご協力をお願いします!!!!

1.最高裁判所への無罪判決を求める呼びかけ団体及び署名のお願い

 グエットさんの無罪を求める署名の呼びかけ団体は2025年11月控訴審判決時点で九州内の10団体でしたが、2026年1月18日現在12団体増えて22団体です。これまでの裁判所へ提出した無罪署名は累計約1万8000筆を超えていますが、今後とも、最高裁判所への無罪署名を継続して生きたいとかんがえています。呼びかけ団体の拡大や署名へのご協力をお願いいたします。また周りの方へ周知をお願いいたします。

 https://www.change.org/NguyetSanWaMuzai

2.寄付による支援のお願い

 最高裁の上告審の弁護士費用や最高裁のある東京での行動費などが必要です。多くの方々などからの寄付金をお願いします。

 口座: 郵便振替 外国人技能実習生権利ネット・北九州 01750-8-84519

 クレジットでの寄付はこちら

 グエットさんの勇気ある上告が、未来の女性たちの生きやすさにつながるように、どうか力を貸してください。宜しくお願いいたします!

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