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コムスタカ―外国人と共に生きる会 Kumustaka-Association for Living Togehte with Migrants

〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-302

須藤眞一郎行政書士事務所気付

グエットさんの上告申立に対する上告棄却決定と異議申立棄却決定に抗議する。

 

2026年4月13日 中島 眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会)

 2026年3月9日付で最高裁判所第二小法廷(三浦守裁判長)は、グエットさんの上告の申立を棄却する決定を行いました。 これに対する弁護団弁護士、支援団体、上告人の記者会見を3月12日(木)午後2時35分から午後3時半過ぎまでに、福岡県弁護士会館2階ホールで行いました。 この記者会見には、福岡司法記者クラブの7社からの参加がありました。また、オンラインで40人ほどの参加がありました。

 記者会見は、4名の弁護団弁護士から島翔吾弁護士が、グエットさんの弁護団よりのアピール文の内容を報告しました。 支援団体から井上氏(ベトナム人技能実習生グエットさんの裁判を支援する会)、見口氏(外国人技能実習生権利ネットワーク・北九州)、佐久間氏(コムスタカー外国人と共に生きる会)より、棄却決定に抗議する発言が、またオンラインによる田中雅子氏(上智大学教員)の棄却決定への批判のコメントがありました。 そして、上告申立人のグエットさんから、オンラインによる参加で、以下のアピールを読み上げました。 その後、会場の記者とオンライン参加者からの質問に対する応答がいくつかなされ、終了しました。

 エットさんは上告棄却決定に対して、異議申立(上告申立人が棄却決定通知を受け取って3日以内)を最高裁に行うことにし、グエットさんの弁護団弁護士が異議申立書を作成し、2026年3月13日(金)夜に、最高裁判所に提出しました。 しかし、同年3月27日最高裁判所第二小法廷は、異議申立を棄却しました。 これに対して、上告棄却と異議申立棄却に対する共同声明(14団体)を公表しました。 これで、2024年2月6日の死体遺棄容疑で逮捕、同年2月27日同容疑で起訴されたベトナム人技能実習生グエットさんの死体遺棄被告事件は、1審判決の有罪(懲役1年6月、執行猶予3年)が確定することになりました。

 そして、有罪判決確定後のグエットさんの在留資格(技能実習2号ロ)の期間更新問題が次の課題となっています。(詳細は、2026年4月2日に福岡入管へ提出した要請書をお読み下さい)

2026年3月9日最高裁判所第二小法廷(三浦守裁判長)上告棄却決定書

2026年3月13日 最高裁判所第二小法廷への異議申立書

2026年3月27日 最高裁判所第二小法廷 異議申立棄却決定

2026年3月12日「ベトナム人技能実習生グエットさんの上告申立に対する最高裁判所上告棄却決定に抗議するアピール文」(コムスタカー外国人と共に生きる会 佐久間順子)

2026年4月2日 ベトナム人技能実習生グエットさんの上告棄却決定及び異議申立棄却決定に対する抗議声明(18団体)

2026年4月2日ベトナム人技能実習生グエットさんの在留資格(「技能実習2号 ロ」)の在留期間の更新の許可を求める要請書


最高裁判所の棄却決定を受けてのグエットさんからのアピール文

 これまで私を支えてくださった弁護団や支援者の皆様、そして本日ここにいらっしゃる皆様へ。まず初めに、これまでの間、私のことを気にかけ、助け、支え続けてくださった皆様に心より感謝申し上げます。 皆様からいただいたご支援とお気持ちは、私にとってとても大切であり、心から感謝しています。 今回、私の上告が最高裁判所によって棄却された結果となり、私はとても残念で悲しく思っています。 しかし、異国の地で多くの不安や困難の中にいた私にとって、弁護団や支援者の皆さんからの関心や励まし、そして助けは、とても大きな心の支えとなりました。 結果は望んでいたものではありませんが、皆様が私のためにしてくださったことを、私は決して忘れません。皆様の助けと優しさは、いつまでも私の心の中に残ります。

 この出来事を通して、私は多くの大切なことを学びました。 私が望んでいた無罪判決を得ることはできませんでしたが、私が今後望んでいるのは、私と同じように孤立した中で出産する人たちが、支援や保護を受けられることです。 もしできるなら、私はこれからも日本に残って働き、まだ叶っていない夢を実現し、家族を助けたいと思っています。もう一度、これまで私を支え、助け、励ましてくださった皆様に心より感謝申し上げます。

2026年3月12日

グエン テイ  グエット

2026年3月12日 記者会見の様子は、以下のYahooニュース(RKB毎日放送)で報道されています。

「孤立出産する人たちが支援を受けられることを望む」乳児 ...

最高裁第二小法廷の上告棄却決定への批判コメント(中島 眞一郎)

 今回の最高裁(第二小法廷)の上告棄却決定の不当さは、グエットさんの無罪を求めてきた者にとって、リプロダクティブ・ジャスティスの主張を含めて憲法違反や判例違反の主張を形式的に退け、一審や控訴審の有罪判決を追認したことである。 さらに、それ以前の問題として最も批判されるべきことは、リンさんの令和5年3月24日最高裁(第二小法廷)判例の判断基準「その態様自体が習俗上の埋葬等と相いれない処置といえるものか否かという観点から検討する必要がある」のに、何ら判断を示さなかったことである。

 リンさんの令和5年3月24日最高裁(第二小法廷)判例の判断基準を巡って、グエットさんの逮捕後の起訴段階、第一審刑事裁判、控訴審刑事裁判において、検察側とも一貫して争われて、裁判所の判決でも争点となってきた。 しかるに、最高裁判所への上告理由となる令和5年3月24日の最高裁判例違反の主張に対して、リンさん事件の令和5年最高裁判例において「他者が、死体を発見することが困難な状況を作出する隠匿行為が刑法190条の「遺棄」に当たるか否かを判断するにあたって、それが葬祭の準備又はその一過程として行われたものか否かという観点から検討しただけでは足りず、その態様自体が習俗上の埋葬等と相いれない処置といえるものか否かという観点から検討する必要がある」と判示した最高裁判所(第二小法廷)が、本件について「事案を異にする判例を引用するものであって本件に適切でなく」と判示しただけで簡単に切り捨て、本件の「その態様自体が習俗上の埋葬等と相いれない処置といえるものか否か」という観点においてその判断を具体的に判示しなかった。

 本件(グエットさん)と令和5年3月24日最高裁第二小法廷判例(以下令和5年判例事案 リンさん)は、「事案を異にする判例を引用するものであって本件に適切でなく」と最高裁は判示しているが、両者の事案は、以下の点で本件と共通している。

 即ち、ベトナム人女性技能実習生として多額の借金をして来日し、実習中に妊娠し、居室内で死産し、死産後本件事案は8時間、令和5年判例事案は33時間で医療機関にいき、居室内で死産した遺体が放置されていた時間が短時間であること、死産した遺体を、居室内で他から見えないように隠していた点で共通している。

 両者の違いは、令和5年判例事案が、「えい児の遺体をタオルに包んで段ボール箱に入れ同段ボールを棚の上に置くなどしている」のに対して、本件は、「えい児の遺体をビニール袋に入れて、居室内でごみ箱として使われていた箱の中に置き、その上に箱の中にあったケーキの箱をかぶせた」というものである。

 死体遺棄罪の適用に関して「有罪」か または、「無罪」かという犯罪として最も明確でなければならない重大な判断の分かれが、本件のように「居室内のごみ箱として使われていた箱」の中に置いた場合には有罪、令和5年最高裁判例事案のように「居室内の段ボール」の中に置いた場合には「無罪」という、居室内の死産した子の遺体をどこに置くかの違いで、有罪・無罪の結果が別れるという不合理な結果をもたらしている。 そして、居室内で死産した子の遺体を、どこに置くかで、逮捕・起訴、有罪の判断が警察・検察・裁判所が裁量的(恣意的)に判断され、実質的に誰も相談できず孤立出産した女性のみを「犯罪者」として罰するやりまかり通っていく。

 最高裁判所(第二小法廷 とくに※三浦裁判長、尾島裁判官、岡村裁判官の3名は、リンさんの逆転無罪判決を宣告した当時の裁判官であった)は、 居室内、孤立死産し、子の遺体を第三者に見えないように隠した事案で、「その態様自体が習俗上の埋葬等と相いれない処置といえるものか否かという観点」から検討して、具体的な判断を示し、今後どのようにすれば罪に問われないのか、あるいは,問われるのか、具体的に判断を示すべきであった。

その責任を放棄した決定として今回の上告棄却決定は許しがたい。

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