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コムスタカ―外国人と共に生きる会 Kumustaka-Association for Living Togehte with Migrants

〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-302

須藤眞一郎行政書士事務所気付

「移住連全国ワークショップin熊本2026」の報告

    

2026年6月16日 中島 眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会)

 2026年6月13日-14日の二日間にわたり開催された「移住連全国ワークショップin熊本2026-熊本地震から10年 差別・排除をのりこえ、地域からつくる多民族・多文化共生社会」には、会場参加197名とオンライン参加40名の合計237名の参加をえて無事終了することができました。(2026年6月12日のフイールドワーク 参加申込者20名、案内スタッフ9名の29名参加があり、 6月13日夜の懇親会には107名の参加がありました)

 報告者として参加された皆さん、準備や当日の運営に参加協力していただいた皆さんへ、地元受け入れ団体であるコムスタカー外国人と共に生きる会として、心より感謝申し上げます。 (今から6年前、2020年6月13日-14日に「移住者と連帯する全国フォーラムin 熊本2020-災害を乗り越え、共に生き、共に創ろう多民族・多文化共生社会」を、熊本学園大学14号館ホール(定員600名)で、開催企画して、2019年6月から約1年間準備して、開催を目指していましたが、2020年の新型コロナウイルスの感染拡大により2020年3月に中止せざるを得なくなりました。 そして、いつか、熊本で開催する機会があればと考えていました。

 あれから6年間経過しましたが、日本全体が多文化共生を推進していこうという雰囲気のあった2019年頃と、外国人排斥や差別が公然化し、外国人への管理が強化される2026年現在は大きく状況が異なります。 新型コロナの感染拡大の3年間余り、対面のイベントができませんでしたが、この6年間、コムスタカは寄せられる相談の対応と解決にほぼ集中し、その多くは、相手方との交渉や公的機関への申し入れ、指導により解決に至りますが、解決できない事案について訴訟を提訴して司法的解決をめざしてきました。 抱える裁判案件10数件(最高裁まで争ったのが3件、高裁まで1件、家裁4件、係争中4件、グエットさんの刑事裁判を除いて、(一部勝訴を含め)勝訴しています)の支援活動に注力し、イベント対応の取り組みをしていませんでした。 そのため、全国フォーラムの開催を引き受けるのは、むりとしても、2026年4月が熊本地震から10年の節目の年となることから、2026年6月に「移住連全国ワークショップ」を熊本で受け入れることになりました。 そして、2025年10月4日に「コムスタカ発足40周年記念講演会」(講師 蓮田 健慈恵病院院長)熊本市国際交流会館ホールで開催し、150名の(対面100名・オンライン50名)の参加をしました。 これは参加費無料の企画でしたので、参加費(一般3000円、学生1000円)を支払って参加してもらう「移住連全国ワークショップin熊本2026」に地元熊本や九州内から、また全国各地から見ると遠い九州の熊本までどれだけ参加してもらえるか不安でした。

 現地熊本の受け入れ団体として準備や運営をになったコムスタカー外国人と共に生きる会にとっても、全国から200名を超える参加者(熊本県内50名、福岡県、長崎県、佐賀県、鹿児島県等から30名、九州外から120名、韓国1名)をえて、熊本で全国規模のイベントを実現できたことは、大きな経験と成果となりました。 全体会で、勝谷知美氏(熊本市国際交流振興事業団事務局長)、中島眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会代表)の2つの報告、7つの分科会で、分科会1の労働をのぞいて、分科会2から分科会6は、地元熊本や九州内の報告者を1人から数名を発言してもらえることになりました。 その意味では、全国各地の報告を聞くだけでなく、地元熊本や九州内の実戦や経験を報告し、全国の参加者らと共有し合える場となったのではないかと思います。 とりわけ、新しく設けた分科会7(移民のコミュテイづくり)は、参加者30名の半分以上が外国ルーツの出身者か外国籍で、10年前の熊本地震の被災体験を中心に、各コミュニテイの現状や取り組み、そして排除や差別の経験などについてフイリピン、中国、台湾、ネパール、ベトナム、インドネシアの6つの熊本のコミュニティ(神奈川のカラカサンからの報告も1名)のリーダーらから、報告をしてもらい、当事者の報告を踏まえて、参加者が質疑討論をすることができました。

 全体会や分科会に報告者としてご協力発言していただいた皆さんへ、このワークショップに準備会の段階から参加や当日の運営にご協力いただいた皆さん、心より感謝申し上げます。 熊本で開催された「移住連全国ワークショップin熊本2026」が、参加された皆さんにとっても「差別・排除をのりこえ、地域からつくる多民族・多文化共生社会」を実現していく元気と勇気をえる場となり、今後の活動にプラスとなること心より願います。

分科会7「移民のコミュニティづくり 熊本地震から10年!多文化共生参画の地域づくりをめざして」報告

要約

 熊本地震の経験を基に、災害時に外国人が直面する情報・言語の壁や避難所の課題が共有された。 解決策として、平時からの「顔の見える関係」の構築、多文化コミュニティ連携、「やさしい日本語」を含む多言語での情報提供、ジェンダー視点を考慮した防災計画の重要性が強調された。 また、イスラム、ベトナム、ネパール、台湾など各コミュニティの代表が、SNS上の誤情報や偏見、行政手続きの複雑さといった日常的な課題と、文化交流や地域貢献を通じた共生への取り組みを報告した。 音楽やスポーツなど言語に依存しない活動や、活動継続のための行政・民間との連携が、持続可能な多文化共生社会の鍵として議論された。

はじめに

 本セッションには、熊本地震の被災者、熊本で活動する多国籍コミュニティの代表者、大学教員などが登壇した。

  1. アンドリュー・ミッチェル:熊本大学特任助教で、防災プロジェクト『KEEP』代表。留学生として熊本地震で被災した経験から、外国人が直面する情報・言語の壁を痛感し、10年にわたり多言語防災啓発を推進。
  2. 松田アデラ: フィリピン人会熊本を運営。熊本地震で深刻な心理的トラウマを負い、コミュニティ支援の実務と生活再建の経験を共有。
  3. 項青: 神戸と熊本で二度の大地震を経験した中国出身の大学教員。自身の中国語教室が災害時の支援拠点となり、多文化交流の場へと発展した経緯を報告。
  4. ポウデル・マダン: 熊本のネパール人コミュニティ代表。急増する同胞の生活課題解決のため、コミュニティを設立し、オリエンテーションや災害時支援を行う。
  5. マーロ・スイスワヒュ: 熊本イスラムセンター代表。SNS上の誤情報(イスラムフォビア)による脅迫などの実害を訴え、日本のルールを遵守し地域と共生する姿勢を強調。
  6. レー・ティ・チャム: 在熊本ベトナム人協会理事長。SNS上の差別的情報が技能実習生の減少を招いている現状に警鐘を鳴らし、スポーツを通じた交流を推進。
  7. 徐 秋美: 台熊友好会代表。台湾人と日本人の相互理解を目的とし、文化交流イベントを通じて草の根の連携を促進。
  8. レニー トレンテイーノ:移住女性のエンパワーメントセンター「Kalakasanプログラム・コーディネーター(PrograCoordinator)」。災害時に高まる女性への暴力リスクを指摘し、防災計画におけるジェンダー平等の必要性を主張。
  9. 中島眞一郎: コムスタカー外国人共に生きる会代表。災害時には情報そのものより「誰が発信したか」という信頼関係が重要であり、平時からの「顔の見える関係」構築を訴えた。
  10. その他の発言者: 一般社団法人サクラ国際合唱団の宮城保之氏などが、コミュニティ活動の持続可能性や行政連携、災害時の具体的貢献について議論した。

重要ポイント

  1. 災害時の課題: 災害時に外国人は、言語の壁、防災用語の不理解、情報アクセスの欠如、避難所の独自ルールなど、二重・三重の困難に直面する。
  2. 情報伝達の鍵: 発災後の混乱時には、事前に「誰から」「どこで」正確な情報を得るかを知っておくことが重要。信頼できる人物からの情報(顔の見える関係)が行動を促す。
  3. コミュニティの役割: 地域の外国人コミュニティは、平時には生活支援や文化交流の拠点となり、非常時には情報ハブや相互扶助のセーフティネットとして不可欠な役割を果たす。
  4. 誤情報と偏見: SNSでAI等により生成・拡散される偽情報や差別的言説が、イスラムフォビアのような偏見を助長し、脅迫や技能実習生の減少といった実害を生んでいる。
  5. 共生の具体策: 日本社会との共生には、清掃活動や防災訓練への参加といった地域貢献、行政や日本人団体との連携、スポーツや音楽など言語の壁を越える交流が有効である。
  6. 持続可能性の課題: コミュニティ活動は、メンバーの多忙さ、資金・会場確保の困難、行政手続きの複雑さといった課題に直面しており、持続には行政や民間との連携が不可欠である。
  7. 災害時の多様な視点: 防災計画には、女性や子どもが直面する特有のリスクを考慮したジェンダー視点を取り入れる必要がある。また、外国人は支援対象者であると同時に、翻訳や避難所運営などで貢献できる「担い手」でもある。
  8. 多言語対応の深化: 自治体サイトや看板の多言語化は進展したが、新規来日者への継続的な教育や、避難所での「やさしい日本語」、ふりがな、非言語コミュニケーション(ピクトグラム)の活用が今後の課題である。

インサイト

  1. アンドリュー・ミッチェル: 熊本地震で「避難所」「余震」すら分からなかった経験が活動の原点。自治体サイトの多言語化やモスクとの連携など具体的な改善を進めてきたが、新規来日者への防災教育の常設化が急務と指摘。
  2. 松田アデラ: 強い地震は深刻な心理的トラウマ(パニック障害、車中泊生活)を残す一方、過去の被災経験が次の災害時に冷静な対応を助ける側面もあることを示した。
  3. 項青:宮城保之 :自身の子供のための言語教室や留学生の交流目的で始めた活動が、結果的に災害時の支援拠点や多文化共生のハブへと発展。当初の目的を超えた社会的価値を生み出している。
  4. マーロ・スイスヒュ & レー ティ チャム: SNS上の偽情報が、脅迫(イスラム教徒)や労働力の減少(ベトナム人技能実習生)といった現実社会に深刻な影響を及ぼしている実態を報告。コミュニティは積極的に誤解を解く努力をしている。
  5. ポーデル マダン: ネパール人急増の背景にある相互需要や、行政手続きの複雑さが活動の障壁となっている点を指摘。地方では当事者によるコミュニティ組織が最も有効なセーフティネットとなり得る。
  6. レニー トレンティーノ: 災害はジェンダー不平等を増幅させる。避難所での性的暴力やDVのリスクを指摘し、防災計画の策定段階から女性や外国人の声を反映させる必要性を強く訴えた。
  7. 中島 眞一郎: 危機的状況では、情報の内容以上に「信頼」が人の行動を左右する。平時から国籍を問わず「顔の見える関係」を築くことが、究極の防災対策であると結論付けた。
  8. 神戸の好事例: YWCA/YMCAが中心となり、行政の交通費支援を得て低料金の運動会を定例開催。楽しみながら防災やゴミ分別のルールを学ぶ仕組みは、持続可能な多文化共生活動のモデルとして共有された。

章立て

Q: 熊本地震の経験から得た教訓は何ですか?
  • アンドリュー・ミッチェル: 最大の課題は「正確な情報へのアクセス」と「防災用語の理解」。事前に公式情報源を知っておく必要性を痛感し、「防災プロジェクト『KEEP』を立ち上げた」
  • 松田アデラ: 家屋の被害と強い恐怖から半年間の車中泊を経験。パニック障害を発症し、長期的な心理的ケアの重要性を実感した。
  • 項青: 神戸と熊本での二度の被災経験から「災害はどこでも起こりうる」と確信。神戸での経験が熊本地震での冷静な対応につながった。
Q: 災害時、外国人コミュニティはどのように機能しましたか?
  • 項青: 熊本地震の際、WeChatを使い「とにかく友人・知人を頼って逃げなさい」と中国語で発信し、多くの人を助けた。
  • アンドリュー・ミッチェル & :マーロ スイスワヒュ: 熊本地震時、モスクなどの宗教施設が宗教を越えて支援拠点となった。当初「イスラム」の名前で支援を断られたが、日本人団体と協力することで円滑に活動できた。
  • 留学生: 避難所で自主的に翻訳、清掃、食事準備、子供のケア、ダンスの披露などで貢献し、支援される側だけでなく「担い手」として活躍した。
Q: 多文化共生とコミュニティ運営の課題は何ですか?
  • マーロ・スイスヒュ & レー ティ チャム: SNS上の偽情報や偏見が深刻。イスラム教徒への脅迫や、ベトナム人技能実習生の減少といった実害が出ている。
  • レー ティ チャム& 李 善姫: 技能実習生の厳しい就労条件やメンバーの多忙さ、資金・会場確保の困難、複雑な行政手続きが活動継続の大きな障壁となっている。
  • レニー トレンティーノ―: 防災計画において女性や外国人の視点が欠如している。ジェンダー平等を考慮したアプローチが不可欠。
Q: 課題解決に向けた具体的な取り組みや提案は何ですか?
  • 各コミュニティ共通: スポーツ大会、文化祭、合唱、清掃活動など、言語の壁を越えて交流できるイベントを企画し、日本人や行政との連携を模索している。
  • 中島眞一郎: 危機的状況で人を動かすのは信頼。平時から国籍を問わず「顔の見える関係」を築くことが最も重要。
  • 松田アデラ: 「やさしい日本語」の活用に加え、ふりがな付与、電源確保、非言語コミュニケーション(ピクトグラム)などを組み合わせた総合的な情報保障が必要。
  • 神戸の事例: YWCA/YMCAと行政が連携し、低料金の運動会を定例化。楽しみながら防災ルールを学ぶ仕組みは、他地域でも参考になるモデルである。

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