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コムスタカ―外国人と共に生きる会 Kumustaka-Association for Living Togehte with Migrants

〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-402

須藤眞一郎行政書士事務所気付

平成27年度 熊本県DV対策関係機関会議報告

2015年6月4日 中島 眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会)

2015年6月3日午前10時から12時過ぎまで、熊本県庁新館2階の会議室で、熊本県DV対策関係機関連絡会議(熊本県内50機関、62名参加)は、コムスタカー外国人と共に生きる会として、長年要望していた「DV加害者への介入施策」が課題として中心的な議論となり、今後 これまで研修しかしてこなかったDV対策実務者会議が新たに設置され、そこで具体策を検討していくことになりました。

 当日の会議に事前に提出された質問や要望は全部で13項目ありましたが、そのうち12項目がコムスタカからのもので、残り一つが熊本県弁護士会からの「弁護士をDV相談やDV問題の講師として活用してほしい」という周知徹底の呼びかけでした。 質疑応答の45分間の大半が私の発言とそれに関連した回答や応答で終始しましたが、「DV加害者への介入施策」の必要性について、他の民間団体や行政関係機関からも支持する発言が相次ぎました。

 なお、 当日の会議の場での熊本県警からの報告で、2014年 DV認知件数 773件一時保護依頼件数 55件 加害者への口頭警告 217件、 検挙件数 123件があきらかになりました。 特に、検挙件数が 前年の26件から123件に約5倍近く急増しているように熊本県警は、積極的に検挙する方針に転換していることが明らかになりました。 (2014年8月20日 熊本日日新聞の記事  見出し「DV.ストーカー許さん 県警摘発急増  被害者の安全優先 届出ないでも逮捕も」を、添付ファイル参照)

 方針転換の理由として、@それまで比較的軽微な事件と思われたケースも重大事件へ発展する恐れがある事、Aその被害が配偶者だけでなく親戚や友人など第三者にもおよぶおそれがあること、B逮捕して拘留することで、被害者から加害者を隔離して、被害者が今後のことじっくり考える時間を確保することなどがあげられました。 そして、警察だけの対応では、DV被害者の保護やDV加害者への介入問題を解決できないことも指摘があり、今後行政や公的機関や関係機関、民間団体として 加害者をなくしていくために加害者への施策として何ができるかを共通の課題として検討していくことになりました。

日本のDV・ストカー対策で欠落していた 加害者をなくしていくための「加害者への介入施策」を警察だけでなく行政や公的機関や民間団体も含めたDV対策関係機関の共通課題としての今後具体策を検討していくという合意ができたという意味では、画期的な会議となったと思えます。

資料1 DV対策関連 のコムスタカからの 要望2項目

要望

(1)DV加害者に対して、行政として初期段階から介入ができる施策を進めてください。
 日本でも警察がDVやストーカーの加害者に被害者の意思にかかわらず、検挙していくあり方に変わりつつあり、警察の加害者への介入が強まれば、その変化に対応して行政対応も被害者保護の強化と加害者介入(研修やケア)も可能になるように施策を進めるべきとおもいます。 DV一時保護者毎年60−70人の相手方である加害者の窓口となる被害者の代理人制度(行政の職員や警察官の出向者などが担当する)を設け、被害者の同意あるいは同意なしに、加害者の言い分を聞くことや、暴力への警告や指導、研修への誘い、DVの現場に最も近い加害者へ第三者として行政機関が介入し、初期対応ができるような施策を要望します。

(2) 民事や家事事件で利用できる公的な通訳人制度を実現してください。
 訪日外国人や在住外国人を対象とした日本語が不十分な患者に対して、熊本市内において、熊本市国際交流会館や病院やNPO法人など連携して医療通訳者を安価な費用で派遣できる医療通訳人派遣する制度の仕組み作りが試みられています。 法的サービスの分野でも 日本語の不十分な外国籍のDV被害者が、民事事件や家事事件で、裁判所の当事者になったとき同行支援として、無料か、安価な費用で利用できる通訳人制度を、行政の施策として実現できるようにしてください。

資料2 熊本県警からの報告されたストカー事件、DV事件の認知件数や検挙件数

1.ストーカー事件対策
警察庁(全国) ストーカー事件認知件数 平成26年 22823件
        (前年 21089件 1734件増加)

熊本県警    ストーカー事件認知件数 平成26年 413件
        (前年 220件 193件増加)

ストーカー規制法による文書警告 19件(前年 11件 8件増加)

ストーカー事件検挙(逮捕)件数 26件(前年 18件 8件増加)
                うち根拠法令 スートカー規制法による  3件
                       他の法令による     23件

2.DV事件対策
警察庁(全国) DV事件認知件数 平成26年 59072件
        (前年 49533件 9539件増加)

熊本県警    DV事件認知件数 平成26年 773件
        (前年 390件 383件増加)

DV事件検挙(逮捕)件数 平成26年 123件(前年 26件 97件増加)
             うち根拠法令 DV保護命令違反   1件
                    他の法令による  122件

コメント(中島)
 熊本県警のDV ・ストカー対策は、2014年(平成26年)の認知件数がストカー事件( 88%増)やDV事件(98%増)とも前年比の増加率が、ほぼ倍近く増加しており、全国の認知件数の前年比の増加率 ストカー事件8.2% DV事件19.3%に比べて、突出している。 また、2014年の検挙件数も、ストカー事件は18件から26件と8件の増加{増加率44%}だが、DV事件は、26件から123件と4.7倍に急増している。 このように熊本県警は、スートカー、DV事件を積極的に認知し、検挙する方針へ転換していることが統計数字の上からも明らかになっている。

・人身取引対策関連
 人身取引問題については、DV対策関係機関会議の場では、「熊本県内の技能実習生の急速な増加(2014年12月末現在 2952名と在留外国人数 約1万名の約30%を占める)と失踪者{2014年中に熊本県内で100名以上}増加の現状、失相の背景に多額の借金をして来日している現状があることや、労働搾取の被害者として救済の必要性について指摘する」発言にとどめました。 終了後、熊本県警本部の人身対策室長の肩書の若い警察職員(名詞の肩書が「警視」となっていたので、中央から出向しているキャリアとわかりました)が名刺交換に来て、技能実習生の問題に関心を寄せてくれたようでした。
 なお、人身取引問題については、DV・ストカー対策が県警の生活安全課であるのにたいして、人身取引問題は県警の生活環境課が担当となるため、DV対策関係機関会議では、事前質問への回答ができないということでした。そこで、2015年6月3日午後1時に熊本県警本部へいき、県警本部長と生活環境課あてに人身取引問題への質問と要望書(技能実習生の労働搾取の被害者として人身取引被害者の認定保護すること、隣県の福岡県で設置されているような、「熊本県人身取引対策連絡会議」(仮称)の設置などの)提出しました。

資料3 熊本県警本部長と熊本県警生活環境課へコムスタカが提出した人身取引対策への要望

人身取引対策について

  1. 技能実習生ら労働搾取の被害者を、人身取引被害者としての認定できるようにしてください。
  2. 技能実習生などの労働搾取の被害者やセクシュアル・マイノリティを含めた男性の人身取引被害者のための保護施設を設けるか、全額公費負担で民間委託できるような予算措置を取ってください。 (熊本県は、人身取引被害者の男性に対しても、民間シェルターへの補助が可能とする要項の改正を2012年度から施行していますが、補助される金額が1日1500円、期間も原則2週間(最大21日間)と限定されています。)
  3. 福岡県内の人身取引問題の関係機関(福岡入管、九州管区警察局、地検、法務局、労働局、第七管区海上保安部、福岡県、福岡県警本部、福岡県女性相談所、福岡市子ども未来局、IOM(国際移住機関)や福岡県弁護士会、民間のNGOなどで構成)は、2010年より、「福岡県人身取引対策関係機関連絡会議」を開催しています。 熊本県内においても、人身取引問題に関係する機関で構成する、「人身取引関係機関連絡会議」(仮称)など設立し、関係機関が情報の共有や施策の検証、強化充実できるようにしてください。

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