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コムスタカ―外国人と共に生きる会 Kumustaka-Association for Living Togehte with Migrants

〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-402

須藤眞一郎行政書士事務所気付

令和元年度 熊本市DV対策ネットワーク会議報告

佐久間 より子(コムスタカ事務局)

 2019年7月23日に熊本市男女共同参画センターはあもにいにて熊本市DV対策ネットワーク会議が開かれ、熊本市内37機関が参加しました。 会議は(1)熊本市配偶者暴力相談支援センター及び各担当部署におけるDV対策の活動・相談状況報告、(2)その他民間団体を含むDV対策機関におけるDV被害者支援の報告および案内、(3)意見交換会と質疑応答が行われました。
 意見交換のなかで、民間シェルターの運営費不足や、それに対する助成の充実について話がありました。 行政も、DV被害者の保護に関して民間シェルターの必要性は理解しているにも関わらず、その運営に関してはわずかな助成金を提供するのみで民間団体に負担を負わせています。 「連携」という名で行政が行うべき支援を民間に押し付けるのではなく、行政が責任を持ちDV被害者の保護及び支援を行うか、または民間機関を頼りにするのであれば、その経費を負担すべきだと思います。
 今年度完成予定の熊本県によるDV被害者への支援のガイドラインについて質問したところ、市としてはガイドラインに沿った対応に努めていくが、そのための相談員の新たな設置の予定も、ガイドラインに係る相談員の研修の具体的な予定も現在のところはないとのことでした。
 熊本市はパートナーシップ宣誓制度の開始や職員及び相談員対象の研修の充実など、性的マイノリティの方に関する施策には積極的に取組んでいます。 しかし、外国人に対する施策やその他に関してはあまり積極性がない印象を受けました。
 以下、熊本市へのコムスタカー外国人と共に生きる会からの質問と要望です。


コムスタカ―外国人と共に生きる会から熊本市への質問と要望

質問

    

質問(1) 平成30年度熊本市におけるDV相談件数のうち、外国籍からの相談件数を教えてください。また、通訳人を付けた件数も教えてください。

回答 (男女共同参画課・各区福祉課)外国籍の方からのDV相談件数(カッコ内は通訳人をつけた件数)中央区4件(2件)、東区0件(0件)、西区2件(2件)、南区0件(0件)、北区8件(8件)、 DV相談専用電話1件(0件)、はあもにい総合相談室0件(0件)


質問(2) 平成30年度市営住宅のDV被害者の目的外使用の利用状況(継続中、退去者、新規入居者)を教えてください。

回答 (市営住宅課)
   平成29年度からの継続入居 3戸(6名)
   平成30年度新規入居    0戸(0名)
   平成30年度延べ提供戸数  3戸(6名)
   平成30年度退去戸数    2戸(2名)


質問(3) 平成30年度の民間シェルターへの支援施策の内容と条件に昨年度と比べて変化はありますか。また補助を受けた民間団体は何団体でしたか。

回答
(男女共同参画課)支援の内容や条件は昨年度から変更しておりません。 
 ・補助の対象: DV被害者の保護及び自立支援を目的とした民間シェルターを継続して1年以上運営し、かつ以降も引き続き運営する団体のうち、政治、宗教及び営利を目的とせず、会則等を定めて運営しているもの。
 ・補助内容―民間シェルターの運営に要する経費で家賃及び光熱水費等の2分の1の額とし、予算の範囲内で交付。 但し1団体上限50万円。
 ・平成30年度補助団体数―3団体


質問(4) 平成29年度に熊本県が行ったDV被害者総合支援・加害者対応モデル事業の取組結果を踏まえ自宅や帰郷、元の居住地域へ戻ったDV被害者への支援のガイドラインが今年度完成予定とされていますが、熊本市ではこのガイドラインをどのように活用しようと考えていますか。 また、自宅や帰郷、元の居住地域へ戻ったDV被害者へ支援について今後どのような取り組みを検討されていますか。

回答 (男女共同参画課)熊本市で該当するケースがあれば、担当する区福祉事務所及び関係機関等で協力し、情報共有や支援をおこなっていく必要があると考えています。 県からDV被害者総合支援ガイドラインが示されれば、DV被害者の在宅見守り支援のノウハウを共有させていただきます。

 
質問(5)
 平成29年より開始された男性の臨床心理士による男性心理電話相談に、DV加害者からの相談を含む、DVに関する相談件数および利用状況を教えてください。 また、加害者に再び加害行為を起こさせないための働きかけとして、熊本市で取り組み始めたこと、または検討されていることはありますか。

回答 (男女共同参画課)平成29年度から男性の臨床心理士による相談を実施していますが、男性からの相談はDV以外の相談が平成29年1件、平成30年1件でした。 今年度も引き続き奇数月の第2火曜日に男性の臨床心理士が相談を受けています。 現時点で男性からの相談は1件ありますが、DV加害者からの相談実績はありません。 加害者更生プログラムを受けたい方に関しては、現在市では直接的な支援を行っていないため、相談があった場合は、必要な情報の提供及び関係機関・団体へ繋ぐこととしております。


質問(6) 面前DVとして、警察から熊本市が通報を受けた件数、また熊本市が、面前DVの通報後にその子どものいる家庭を訪問した件数をお教えて下さい。

回答 (児童相談所)面前DVとして、警察から受けた心理的虐待通告件数は、204件。全件家庭訪問にて対応、実施しております。


質問(7) 児相とDVの相談機関の連携の必要性が叫ばれていますが、今後これまでとは違う取り組みを行うことを検討されていますか? 検討されているのであれば、それはどういうものですか?

回答 (児童相談所・子ども政策課・各区福祉課・男女共同参画課)各区福祉課でDV相談を受理した場合、同区の要保護児童担当課と連携し、面前DVの有無の確認及びその他の指導や児童相談所への引き継ぎの判断をする必要がありますが、十分な連携が取れていない現状です。 今後は、面前DVの対応に対関して、各区の福祉課、・相談機関、各区の要保護担当課及び児童相談所との連携を強化するため、必要な取組みを検討していきます。


質問(8) 平成30年度にDV相談や一時保護につないだDV被害者のうち男性の被害者、また同性間のDV被害者は何名いましたか。 また、男女共同参画基本計画に男性被害者や同性間の暴力に対する対応強化とありますが、具体的にどのような取り組みをされていますか。 または検討されていますか。

回答 (男女共同参画課)男性のDV被害者相談者件数(カッコ内は同性間の人数) 中央区1人(0人)、東区2人(0人)、西区0人(1人)、南区0人(0人)、北区2人(0人)、DV相談専用電話4人(0人)、はあもにい総合相談室3人(0人)

要望

1.DV被害者のための短期避難施設の設置、あるいは、他の法律などの一時保護施設のDV被害者への活用
 熊本市には、DV加害者から離れて、今後のことを安心して考えることができるために、DV被害者が1日から1週間程度無料で利用できる「短期間の宿泊できる避難施設」の設置を要望します。 熊本市直営の施設設置が難しい場合には、民間シェルターなどに委託して、人件費を含む十分な公的補助を付与する予算を組むことを要望します。 また、他の法律など規定されている一時保護措置があるのであれば、DV被害者のために活用できるようにして下さい。

回答 (男女共同参画課)熊本市では、民間でシェルターを営むNPO法人(H29年度から3団体)に対し、運営に要する経費のうち、家賃及び光熱水費等の1/2の額(ただし、1団体上限50万円)を助成しています。
@ 一時保護について
 一時保護の専用施設はありませんが、一時保護が必要な案件があれば関係機関と連携し、ケースに応じた適切な施設への受け入れを検討して行くこととなります。
A 人件費補助について
 補助金交付に関する本市の考え方は事業費補助を原則としております。 したがって、他の補助金との公平性を保つため、人件費を対象経費として認定することは困難であることをご理解ください。 また、民間シェルターの委託化につきましては、他都市の状況を調査するなどの研究してまいります。


2.DV加害者対応施策の実施
 熊本市として、警察に逮捕されたDV加害者が、釈放後にDV被害者宅に戻る、あるいは同じ地域で暮らすケースや、DV相談後にDV加害者と同居続けたり、あるいは同一地域で別居して暮らすDV被害者に、その同意を得て、DV被害者を保護していくための見守り活動や、更生を望むDV加害者を更生プラグラムへの誘導を含むDV加害者への相談に対応する相談員の養成や設置をしていくことを要望します。

回答 (男女共同参画課) 熊本県子ども家庭福祉課が実施する「熊本県DV被害者総合支援・加害者対応モデル事業」について、熊本市で該当するケースがあれば、担当する区福祉事務所及び関係機関等で協力し、情報共有や支援をおこなっていく必要があると考えています。 熊本県加害者総合支援ガイドラインが策定された後は、DV被害者の在宅見守り支援のノウハウを共有させていただき、ガイドラインに沿った対応に努めて参ります。 また、相談員の養成については、男女共同参画課相談室及び各区福祉課に配置された相談員のスキル向上を図るため、内閣府、県、市主催の研修をはじめ関係機関の研修に必要に応じ、定期的に受講させており、当該ガイドラインに係る研修につきましても最低段階から参画し、習得に努めてまいります。


3.市・区役所以外の相談窓口の設置
 2019年1月15日(火)よりはあもにい総合相談室が変更されて、DVの相談窓口が市庁舎12階男女共同参画課内となりましたが、市庁舎が閉館されている日には相談ができません。 市庁舎が閉館されている日でも相談が受けることができるように、はあもにいまたは市・区役所以外の他の窓口でもDVなどの相談を受けられるようにしてください。

回答 (男女共同参画課) 閉庁時には、緊急の場合、最寄りの警察署もしくは110番にお電話いただくようご案内させていただいております。 市・区役所以外での他の相談窓口をご利用していただければと思います。


4.外国人被害者への対応の充実
 今年度より、新たに「特定活動」の在留資格が創設され、外国人が労働者として活動する分野が拡充されます。 熊本市に在住する外国人(中長期在留者)は更に増加すると予想されます。 今後、DVの外国人被害者からの相談の増加に対応するために、DV被害者の相談窓口の周知するためのリーフレットの作成およびその活用とともに、DV被害者が相談・保護・自立に至る過程で、必要とされる司法や行政関係の説明書や申請書(たとえば、裁判所への保護命令説明書や申請用紙、生活保護の説明書や申請書、その他行政関係の説明書や申請書等の文書の多言語化(ルビ入り日本語を含む)を進めてください。 また、DVや相談窓口に関するウェブサイトを自動翻訳によるもののみではなく、日本語に制限のある方にも理解できるようなHPの作成を要望いたします。

回答 (男女共同参画課・国際課) DV被害者向けのリーフレット及び司法・行政関係の説明書や申請書等については、関係機関と連携しながら、きめ細かな対応を行い、外国人を含めた市民に対し寄り添った窓口対応に努めてまいります。 なお、頂いたご意見については、関係部署と連携しながら事業を実施する際において参考とさせていただきます。

    
5.LGBTを含む性的マイノリティ被害者への支援
 DV被害者が「異性愛者のシスジェンダー女性であること」(性的多数派)を前提とした相談窓口の対応を改め、男性や性的マイノリティ被害者にも配慮した対応を行うことを徹底してください。 同性間の暴力についても、男性や性的マイノリティ被害者への支援も行っていること等を市のウェブサイトのDVについてのページにも掲載してください。 また、性的マイノリティについての基礎知識のみならず性的マイノリティとDVについての研修等の実施や、男性や性的マイノリティ被害者にむけた啓発のリーフレットなどの作成及び活用をしてください。

回答 (男女共同参画課) DV相談窓口においては、性別を問わずDV被害者の相談を受け付けており、本市公式ホームページにも掲載しております。 しかしながら、男性や性的マイノリティの方からの相談が少ないのが現状であるため、様々な方が相談を行いやすいよう広報の工夫が必要であると考えています。
 また、性的マイノリティの方に対する配慮に関しては、DV相談窓口だけではなく全庁的な取り組みが求められていると考えており、職員及び相談員対象の研修のさらなる充実を図るとともに、申請書・届出書等の性別記載欄についても追跡調査を行うなど窓口対応や業務における必要な配慮について対応を行ってまいります。 さらに、今年度は市民対象の講演会の開催、医療従事者及び企業向けの啓発資料の作成を予定しております。

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