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コムスタカ―外国人と共に生きる会 Kumustaka-Association for Living Togehte with Migrants

〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-402

須藤眞一郎行政書士事務所気付

令和元年度 熊本県DV対策連絡協議会の参加報告

佐久間 より子(コムスタカー外国人と共に生きる会 事務局)

 2019年5月28日に熊本県にて熊本県DV対策連絡協議会が開かれ、熊本県内51機関が参加しました。 会議は健康福祉部子ども・障がい福祉局長のあいさつに始まり、1)熊本県行政関係機関(県子ども家庭福祉課、女性相談センター、男女参画・協働推進課、精神保健福祉センター)の活動・相談状況報告、2)医療および民間サポート団体のDV被害者支援の報告、3)熊本地震関連の取組み、4)意見交換会と質疑応答が行われました。
 県子ども家庭福祉課から今年3月に出された配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護などに関する基本計画(第4次)の説明があり、特に強化する取り組みとして中学や高校でのDV防止教育の強化や男性やLGBT被害者からの相談への対応力の強化などが紹介されました。
 また、平成29年度から行われているDV被害者総合支援・加害者対応モデル事業について、平成29年度にコムスタカが受託団体として行った取組結果を踏まえて、平成30年度に子ども家庭福祉課、女性相談センター、及び熊本県警本部が作成した支援ガイドラインの素案の説明もありました。 素案には、支援対象者を一時保護所退所後の被害者のみに限定せずに、加害者との同居を継続したり、加害者と同じ生活圏で別居生活をすることを選択した被害者なども支援対象とすることや、加害行為を起こさせないために被害者支援の一環として加害者対応に取り組むこと、加害者との力関係を変えるために被害者の経済的・心理的な自立能力を高めるための支援の必要性なども含まれてました。 また子どもがいる場合の支援例として要保護児童対策地域協議会の担当者と婦人相談員の合同家庭訪問も含まれており、今年度完成予定のガイドライン及びその運用に期待をしています。

【コムスタカより提出した質問と担当部署の回答】

1.平成30年度のステップハウスの運用状況(継続中、退去者、新規入居者)を教えてください。
→ 子ども家庭福祉課からの回答:0件

2.平成30年度の民間シェルターへの支援施策の内容と条件に昨年度とくらべて変化はありますか。また補助を受けた民間団体は何団体でしたか。
→ 子ども家庭福祉課からの回答:
   平成30年度は3団体に補助。令和元年度は補助対象日数の上限を現在の14日から30日へ拡充する予定

3.同性間のDV被害者等の相談も受け付けているとありますが、同性間のDVやトランスジェンダー等のセクシュアルマイノリティの被害者の相談対応を適切に行うための体制をどのように整えていますか。相談員はどのような研修などを受けていますか?
→子ども家庭福祉課からの回答:
 ・平成31年(2019年)3月に「熊本県配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する基本計画(第4次)」を策定し、「あらゆる被害者が安心して相談できる体制の充実」を重点的に取組む項目と位置付け、男性の被害者や性的少数者など、多様な被害者への適切な配慮や対応ができるよう、毎年度関係職員の資質の向上を図る研修を開催することとしている。
 ・上記計画に則り、今年度は5月20日(月)に開催した「熊本県女性相談業務研修(初任者研修会)」において、新たに「多様な相談者への適切な対応について」という講義を実施したところ。また、今後、専門講師による研修の開催等を検討していく予定。

4.児相とDVの相談機関の連携の必要性が叫ばれていますが、今後これまでとは違う取り組みを行うことを検討されていますか?検討されているのであれば、それはどういうものですか?
→ 子ども家庭福祉課からの回答:熊本県DV被害者総合支援・加害者対応モデル事業において検討を進める。

5.平成30年度の県営住宅のDV被害者の目的外使用の利用状況(継続中、退去者、新規入居者)を教えてください。
→ 住宅課からの回答:
 ・平成30年度目的外使用許可件数(新規) 5件
 ・平成29年度からの継続入居件数 4件
 ・退去件数 3件
 ・平成31年度で継続して入居中の件数 6件

6.平成30年度のDV認知件数、一時保護件数、加害者への警告件数、検挙件数、検挙件数のうち被害者からの被害届なしで検挙に至った件数、検挙件数のうち起訴された件数、検挙件数のうち再犯者の件数を教えてください。また、面前DVとして、児童相談所に通報した件数を教えてください。また、面前DVのケースでは、児童相談所以外に 女性センターにも通報していますか、もし、しているのであれば、その件数も教えてください。    
→ 熊本県警察本部からの回答:
  平成30年度中
  ・DV事案認知件数 511件
  ・一時保護依頼件数 44件
  ・口頭警告件数 452件
  ・検挙件数 114件(保護命令違反1件、他法令113件)
   ・うち被害届なし逮捕件数 2件
  ・面前DVでの児童通告人数(児童相談所)427人
  ・面前DVでの児童通告人数(女性相談センター)0人   

要望

1.DV被害者のための短期避難施設の設置、あるいは、他の法律などの一時保護施設のDV被害者への活用
 一時保護所の入所の要件に当てはまらない、あるいは就労や就学の関係で一時保護所を利用できないDV被害者のために、一日から一週間程の滞在を無料でできる施設を各市町村に設置し、公費で運営するか、民間施設に委託して公費負担できるようにしてください。また、現存するステップハウスを一時保護所入居者を対象とするだけではなく、一時保護所入居者以外のDV被害者をも対象とするように運用を変えてください。一時保護所入居者以外のDV被害者の中には、「一時保護を要さない」(昨年の回答より)場合だけでなく、仕事や学校へ行けなくなるなど生活の基盤を失うことを避けるなどの様々な理由により一時保護所に入居できない人もいることを考慮してください。

回答(子ども家庭福祉課)
 現行のステップハウスは、一時保護後の居所確保等において困難を有する方への支援等として実施しているもの。様々な理由により一時保護所に入所できないDV被害者の居所確保といったニーズも理解できるが、予算確保など整理すべき課題も多いため、今後の検討課題としたい。


2.DV加害者対応施策の実施
 熊本県として、警察に逮捕されたDV加害者が、釈放後にDV被害者宅に戻る、あるいは同じ地域で暮らすケースや、DV相談後にDV加害者と同居続けたり、あるいは同一地域で別居して暮らすDV被害者に、その同意を得て、DV被害者を保護していくための見守り活動や、更生を望むDV加害者を更生プラグラムへの誘導を含むDV加害者に対応する相談員の養成や設置をしていくことを要望します。
    
回答(子ども家庭福祉課)
 熊本県DV被害者総合支援・加害者対応モデル事業のDV被害者総合支援ガイドラインも踏まえ実施予定。
    
    
3.外国人被害者への対応の充実     
 今年度より、新たに「特定活動」の在留資格が創設され、外国人が労働者として活動する分野が拡充されます。熊本県内に在住する外国人(中長期在留者は)は更に増加すると予想されます。今後、DVの外国人被害者からの相談の増加に対応するために、DV被害者の相談窓口の周知するためのリーフレットの活用や2004年に作成された『熊本県外国籍被害者のためのDV対応マニュアル』の現状に即した改定版の作成とその活用とともに、DV被害者が相談・保護・自立に至る過程で、必要とされる司法や行政関係の説明書や申請書(たとえば、裁判所への保護命令説明書や申請用紙、生活保護の説明書や申請書、その他行政関係の説明書や申請書等の文書の多言語化(ルビ入り日本語を含む)を進めてください。
 また、相談窓口に関するHPは多言語対応済みとありますが、自動翻訳機を利用したもので理解できる文章ではありません。自動翻訳のみではなく、日本語に制限のある方にも理解できるようなHPの作成を要望いたします。また、熊本県国際相談コーナーでの外国人DV被害者からの相談事案に対して、どのような支援を行っているのかが不明で、実際に対応できているのか疑問です。一時保護所への外国籍被害者の数も少なく、通訳利用もほとんどない現状となっています。熊本県国際相談コーナー等においても外国人からのDV相談にも多言語で対応できる相談員、通訳、翻訳できる人材の確保と充実を進めて下さい。

回答(子ども家庭福祉課)
 多様なDV被害者が安心して相談できる体制の充実には、関係機関・団体、他自治体などのご協力が不可欠であり、意見交換をしながら体制充実に向けた検討を進めて参りたい。
 (口頭にて、せめてウェブサイトの自動翻訳機ではなく、適切に訳されたDV相談の案内を設置する用再度要望したところ、年間100件から150件ほどの相談が熊本県国際コーナーで対応し、DVの相談は1件だったこと。中国語、韓国語、英語での相談が可能でスペイン語もできるようになる予定などの説明がありましたが、要望に対しては返答がありませんでした。)


4.面前DVに対しての対応
DVのある家庭では子どもも虐待を受けているケースが多く、児相とDVの相談機関の連携の必要性が叫ばれています。今後、面前DVに対しては、女性センターと児童相談所が一緒に家庭訪問を行うなど、児童相談所と密な連携をとりながら、状況に応じた適切な支援・対応を行ってください。

回答(子ども家庭福祉課)
熊本県DV被害者総合支援・加害者対応モデル事業において検討を進める。

追記 DV被害者総合支援ガイドライン

 2017年度にコムスタカー外国人と共に生きる会が受任団体となり1年間実瀬された熊本県DV被害者総合支援・加害者対応モデル事業の成果品(手順書など)をもとに、熊本県は、最終年度にあたる2019年度にDV被害者総合支援ガイドラインを作成し、2020年度から熊本県内市町村などDV対策関係機関へ配布して、DV被害者を地域で支援する取り組みをより定着させるために参考にしてもらうことになります。

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