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コムスタカ―外国人と共に生きる会 Kumustaka-Association for Living Togehte with Migrants

〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-402

須藤眞一郎行政書士事務所気付

永住者の審査基準の国益要件の一部開示について

2014年4月25日  中島 眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会)

一、 裁決書により一部開示決定された内容

裁決書の主文
1、入国・在留審査要領」(以下「本件対象文書」という)につき、その一部を不開示とした決定について、別紙に掲げる部分を新たに開示する。

2、審査請求人のその余の申立を棄却する。

別紙(開示する部分)
2頁 9行目2文字から11行目まで
2頁 16行目2文字から27文字まで
2頁 20行目2文字から38文字まで

そして、裁決から3週間余りを経て、「2011年10月11日付でなされた行政機関の保有する情報の公開に関する法律第9条1項に基づく行政文書の開示決定に係る審査請求について裁決に基づき、新たに開示する部分の文書」が2014年4月21日付で福岡入管より送付されてきました。

新たに開示された部分(赤字表示)

2頁 9行目2文字から11行目まで
イ 納税義務など公的義務を履行していること。ただし、例えば納税申告を適正に行っているが、その一部しか納付していない、又は、滞納がっても、その金額が少額であり、かつ 常習的でないと認められる場合にはこの限りではない

2頁 16行目2文字から27文字まで
 著しく公益を害する行為をするおそれがないと認める者。

2頁 20行目2文字から38文字まで
@ 日本国の法令に違反して、懲役・禁固もしくは罰金に処せられたことがあること


2、開示請求申立の経緯  

2011年6月に東京入管横浜支局管内在住の外国人からの相談で、「不法残留」による入管法違反で逮捕・起訴され執行猶予つき有罪判決をうけ、退去強制されかけたが、日本人妻との婚姻等による在留特別許可が認められ、日本人配偶者等の在留資格を得た。そして、執行猶予期間が経過し 他の要件も満たしたあとに、永住者の許可申請を行ったところ、入管から不許可とされた」というものでした。そして、入管職員から口頭で言われたその理由が「執行猶予の有罪判決の場合には、執行猶予期間が経過するだけでなく、そのさらに5年が経過しないと永住者の許可申請は認められない」といわれたというものでした。

入国・在留審査要領の永住者の素行善良要件では、「日本国の法令に違反して、懲役・禁固もしくは罰金に処せられたことがある者」の場合には、「懲役は10年、罰金は5年、執行猶予は猶予期間経過後」とその基準が明らかにされています。これに反する不許可理由に対して、同年7月に、相談を受けて、横浜支局の永住審査の担当者に電話で抗議し、直接面会して説明を受けました。それによると、「永住者の国益要件にその規定があり、刑法第34条の二(刑の消滅)の規定を根拠にしている」という説明であった。

そこで、同年8月に福岡入管へ入国在留 審査要領の第12編第2章第27節第1の1(3)「永住が日本国の利益に合すること」(いわゆる国益要件)を、行政機関の保有する情報の公開に関する法に基づき開示請求をしたところ、福岡入管よりすでに開示されている部分以外はすべて不開示とする処分が、2011年8月18日になされた。これに対して、同年10月11日にこの処分を不服として審査請求の申立を行った。そして、途中2回の処分庁の説明への反論の意見書の提出をへて、2014年3月3日に情報公開・個人情報保護審査会の答申(一部開示決定、その余は非開示とする)がなされ、審査請求の申立から2年7ヶ月後の2014年3月27日付法務大臣 谷垣 禎一名での裁決書が送付されてきた。


3、一部開示決定の意義

これまで入国・審査要領の永住者の審査基準の3つの要件(@ 素行善良要件  A 独立生計要件  B国益要件)のうち、すべての永住者の許可申請者に適用されるBの国益要件はその大部分が非開示となっており、開示請求をしても黒塗りで 内容が不明でした。永住者審査の不透明さをもたらしている「元凶」、入管行政の「聖域」となっていた。 

申立から2年半以上もかかりましたが、その一部を審査請求により開示させることができた。これで国益要件については、アからオの5つの要件のタイトル(題目)がオ、(タイトルだけでなく全文非開示)を除いて4つまで開示されたことになる。また、イ「納税義務など公的義務を履行していること」のところは全文を開示させることができた。  

しかし、今回の開示請求の目的であった国益要件のうちの「日本国の法令に違反して、懲役・禁固もしくは罰金に処せられたことがある者」についての個々の内容は、「当該事務の適正な遂行に支障を及ぼす恐れがあると認められる」として、開示請求が認められず、不開示のままとなっている。

もし、口頭での説明の通りの「執行猶予者について、執行猶予期間経過後だけでなくさらに5年経過しない」と永住許可申請が認められない取り扱いが規定されているのであれば、永住者の素行善良要件や他の法令の規定が、刑法27条((猶予期間経過の効果)と刑法第34条の二(刑の消滅を)を根拠に「懲役・禁固刑、罰金刑、執行猶予刑」の順に軽くしている取り扱いと異なるもので、人権上重大な疑義が生じていることになる。

 

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