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コムスタカ―外国人と共に生きる会 Kumustaka-Association for Living Togehte with Migrants

〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-402

須藤眞一郎行政書士事務所気付

福岡入管との意見交換会Meeting with Fukuoka Immigration

第22回 移住労働者と共に生きるネットワーク九州と福岡入管との意見交換会報告

中島 眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会)

はじめに

 移住労働者と共に生きるネットワーク・九州と福岡入管との第22回意見交換会は、2020年3月5日(木)午後1時30分から午後3時過ぎまで、福岡入管7階会議室で行われました。 福岡入管側から、実務担当者7名(入国審査部門、在留審査部門、在留審査部門、在留審査部門、難民審査部門 警備部門、審判部門の統括審査官)が出席しました。 また、総務課の渉外調整官1名の計8名が出席しました。 なお、うち4名が女性でした。 また、移住労働者と共に生きるネットワーク・九州及びその関係者から17名が参加しました。
  最初に入管職員の自己紹介が行われました。 次にネットワーク・九州事務局が事前に福岡入管に文書で提出していた質問書(T入管業務に関する質問、U改定入管法・技能実習法等に関する質問、V、統計数値に関する質問、小項目総51項目)に対する回答の説明が、約40分間ありました。 また、移住労働者と共に生きるネットワーク・九州から法務大臣と福岡出入国在留管理局長あて10項目(小項目総計では30項目)の要請書を事前に提出していましたが、こちらへの入管側の回答はありませんでした。
 その後、福岡入管からの回答に対して、多岐にわたる質疑が約1時間行われました。 入管との意見交換会終了後、近くの会場で、参加者との交流会が1時間あまり行われました。
 今年は、昨年まで回答された質問項目であっても、「非公表」につき回答できないという回答が、例年以上に多くみられました。 それでも、永住者のガイドラインなど永住審査の厳格化、技能実習生の妊娠・出産問題、技能実習生の失踪問題、強制帰国の問題等について、活発な意見交換が行われました。
 以下、福岡入管への質問と回答及び質疑の中で重要と思えるものに関して、報告します。

1.日本語学校の留学生について

 2018年12月末における福岡局管内の日本語教育機関の在籍者数は約1万人という回答でしたが、2019年12月末は、約9900名でした。 また日本語教育機関に係る在留資格認定証明書交付件数も、2017年の7500件から比べると減少していますが、2018年5900件(ベトナム2400件、ネパール1600件、中国1000件)、2019年5700件(ネパール2600件、ベトナム1300件、中国1000件)と、少し減少した程度でした。

2.「永住許可のガイドライン」について

 2019年5月31日改定の「永住許可のガイドライン」については、「これまでの取り扱いを明確化したもので、従来より厳格化したものでも、新たな運用でもない」という回答でした。 当面在留期間3年を有する場合においては、当面最長の在留期間を持って在留しているとして取扱としているが、今後の取り扱いは運用状況を踏まえて判断されることになるという回答でした。
 ※ 質疑のなかでも、永住許可のガイドラインにより、年収要件の引き上げや、公租の提出資料の長期間化(例えば、日本人配偶者等から永住許可申請では、(従来の過去1年間分が過去3年間分となるなど)、年金や、国民健康保険などの提出要件の厳格化が、現実に行われており、なぜ厳格化するのかについて回答を求めましたが、入管側からは、上記の回答が繰り返されました。   

3.「特定技能」の在留資格

  1. 「特定技能」の在留資格者の人数について、「2019年12月末日現在で『特定技能1号』は、1621人。うち福岡入管内196名(うち技能実習ルートが187人)」という回答でした。
  2. 初年度4万7000人に届いていない理由については、「試験が実施されていない分野や国があったこと、送り出しを予定している国の中には送り出し手続きが整備中の国があること、制度が複雑で申請手続きがわかりづらい等の声があげられていることを承知している」という回答でした。
  3. 原則家族帯同が認められない「特定技能1号」に家族帯同が例外的に認められる場合とは、「申請する者の家族が中長期在留者として在留している場合で、申請者が変更許可後は『特定活動』への変更許可を案内する(「留学」の在留資格者が変更申請する場合や、その配偶者や子どもが「家族滞在」で在留している場合などを想定)」との回答でした。
  4. 原則家族帯同が認められない「特定技能1号」の外国人の間で、日本で子どもが生まれた場合の子どもの在留資格の取り扱いについては、「『特定技能1号』の家族として、出生から60日を超えても本邦での在留を希望する者については、『特定活動』の在留資格取得許可申請を案内するとのことでした。また、特定技能の在留資格者が産休や育休を取得することで、入管法令上問題になることはない」との回答でした。

4.「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策について

 「昨年12月に改定され、172の施策が盛り込まれています。 これに基づき、入管としても都道府県等と連携し、外国人材の円滑かつ適正な受け入れの促進、共生社会実現のための受け入れ環境整備などに取り組んでいる」という回答でした。 「受け入れ環境調整担当官」は、就労永住審査部門の統括審査官1名を配置し、その主な役割は地方公共団体との窓口を担うため、意見聴取・相談員として派遣され、情報提供や研修を行うとのことでした。

5.入国管理局から入国在留管理庁への組織変更に伴う在留管理の変化について

「外国人の適正な在留管理を行う任務が法務省設置法上明記されました。 また特定技能実習制度において、入管法上初めて支援の仕組みが盛り込まれるなど、在留管理においても新たな視点をもって制度の適正な運用に努めているとのことでした。 また、共生社会実現のため、従来の業務に加え各種の在留支援業務(主に地方公共団団体等への支援)を行っている」とのことでした。

6.技能実習制度について

  1. 不正行為について、(2017年11月以降は旧法下の技能実習生のみ)
    「2017年は213機関、2018年は112機関(企業単独型1件、団体管理型111機関。 そのうち監理団体7機関、実習実施機関104機関)。 そのうち福岡入管内の企業単独型0件、団体管理型5件。 うち、類型別では賃金未払い4件、労働関係法令違反1件」との回答でした。
  2. 技能実習生の失踪者数
    全国:2018年:9052名  2019年上半期:4499名
    失踪の要因として、「技能実習生の新規入国者数の増加や、技能実習生の経済的事情のみならず、依然として受け入れ機関等における問題が存在していると認識している」との回答でした。
  3. 失踪者への対策
    「失踪技能実習生から慎重に失踪理由の聴取を行い、聴取の結果、不正行為の疑いがある事案については、速やかに実地調査を行い、関係機関への情報提供と不正行為への措置を検討している」とのことでした。 また、「昨年11月、失踪実習生減少の施策として、失踪者を出した関係機関に対してその帰責性等を踏まえて、技能実習性の新規受け入れを停止する措置や失踪技能実習生を雇用した企業の刑事告発及び公表などの新たな施策を発表し、これらの施策についての取り組みを進めている」との回答でした。
    ※ 質疑の中で、失踪技能実習生からの聴取を行う入管職員を、警備部門の職員から、技能実習担当の職員に変えて行っている等の説明がありました。
    ※ 途中帰国者のなかにある強制帰国の問題について、質疑の中で、在留期間途中で帰国する外国人技能実習については、その帰国が本人の意思にも基づくものか確認しており、実習生の意に反した場合には、実習生を保護し、その中には、外国人技能実習機構と連携して実習先を変える転籍を実現して救済したケースもあるということでした。
  4. 労働局と福岡入管との相互通報制度
    2019年福岡入管から各労働局への通報は112件、労働局から福岡入管への通報37件。
  5. 技能実習生数は、福岡局管内で、2016年12月末に22670人、2017年12月末に29067人。 2018年12月末35694人、2019年6月末39813人と増加し続けている。 (全国2018年12月末328360人、2019年6月末367709人)。
  6. 技能実習生が、実習期間中に妊娠し、日本国内での出産はなく、出身国での出産を希望して帰国した場合に、技能実習の残りの期間を再入国して行うことは可能かについて
    「一般論として、技能実習生が出産のために帰国し技能実習を中断する場合、出産後再度入国し技能実習計画上残りの実習期間において実習を再開することは可能。 その場合には、原則として帰国前に技能実習困難時届出書を提出した上で、再開時期にあわせて、外国人技能実習機構にから新たな技能実集計画の認定を受け、当局に対して在留資格認定証明書交付申請を行う必要がある」との回答でした。
    ※ 質疑の中で、技能実習生が来日中に、望まない妊娠を防ぐため、性教育の重要という意見などが出されました、これに対して入管側から、「外国人生活ハンドブック」等における妊娠―出産等の記載について考える必要があるとの前向きな発言もありました。

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