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コムスタカ―外国人と共に生きる会 Kumustaka-Association for Living Togehte with Migrants

〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-302

須藤眞一郎行政書士事務所気付

妊娠を理由に強制帰国させられそうになったフィリピン人技能実習生の問題

2021年7月4日
佐久間 より子(コムスタカー外国人と共に生きる会事務局)

 2021年7月3日の午前10時から現在コムスタカで保護をしているフィリピン人技能実習生の記者会見を熊本市国際交流会館で行いました。

 彼女は介護の技能実習の2年目で、現在妊娠16週目です。 勤めている介護施設と監理団体に、妊娠のことを話したら、実習を終了させられフィリピンへ送り返されようとしていると5月19日にコムスタカに相談のメッセージが届きました。 相談者は、コムスタカに連絡してくる前にすでに、技能実習生が妊娠した場合も、解雇をされず技能実習を継続できることや、産休を利用できること等を知っていました。 そのことを知った上で、監理団体や実習実施先の施設に、できるだけ長く日本で働き、産休を取得しフィリピンに一時帰国して出産をし、産休が明けたら再度来日し、残りの技能実習を終わらせたいという意思を伝えています。 しかし、「妊娠を理由に解雇はしない」と言われながらも、「妊娠をしていては実習は継続できない」、「産休を取得すると他のフィリピン人やパートナーの評判が落ちる」などと言われ、彼女の意見は尊重されませんでした。 なので、彼女は技能実習機構(OTIT)に相談の連絡をして、監理団体や施設に彼女の意思に添った対応を行うよう指導をしてほしいと伝えていますが、機構はただ、自分で監理団体と話をするようにと言うだけだったそうです。

 相談者と話をした翌日から、コムスタカからも何度もOTITに連絡を入れ監理団体や施設に指導をするように要請しました。 しかし、OTITはすでに監理団体には、相談者の同意なしでの帰国は許されないと伝えているといいます。 しかし、それでも管理団体は繰り返し相談者に帰国の同意書に署名をするよう迫っていました。 署名させられるのが怖いので相談者からもコムスタカからも彼女を保護するように要請しますが、OTITはそれもできないと言います。 そして署名を拒否し続けていたのですが、働いている施設との雇用関係は既に終了され、今住んでいるところも出て行かなければならないと言われ、自分の意思に反して署名をしています。

 署名をしたことを相談者がOTITに連絡すると「なぜサインをする前に話してくれなかったの?」と言われています。 相談者からもコムスタカからも、監理団体が相談者に帰国同意書への署名を強要しないよう介入してほしいと何度もOTITに要請していたにも関わらず、この言葉でした。 このままでは帰国させられるので、コムスタカで相談者を保護をしました。

 相談者一人で監理団体や実習実施者、送り出し機関とフェアな立場で話し合いをすることが困難であることは明らかだと思うのですが、にも関わらず、OTITは現在も相談者が話し合いの場へのコムスタカの同席を望んでいるにも関わらず、コムスタカは関係団体ではないのでと、相談者と監理団体、実習実施者のみで話をさせようとしています。

 また、OTITよりコムスタカから監理団体に連絡を取り、話し合いの場を持つように言われ監理団体に連絡を入れますが、監理団体からは「技能実習制度の関係団体ではないので、コムスタカとは話ができない」と言われます。 また、相談者を保護した後に本人から監理団体に電話をしても「あなたが、本当に当人であるのか分からないので話はできない」と言われ電話を切られています。

 相談者を保護した後に実習実施先の施設長と何度か電話で話したのですが、施設長は、「相談者が妊娠しているので、実習の必須項目が行えず、実習の継続ができないので、相談者が納得した上で帰国の準備を進めている。」と言い、実習計画を変更すればいいのではと尋ねると、「相談者は混乱して不安定なので安全に実習を行えない。なので、実習は中止で、出産後に戻ってくればいいと伝えている。」との返答でした。 しかし、施設長の言う「施設に戻ってくることができる」とは、雇用関係を継続させ、産休を取り、出産後に再来日し残りの期間の実習を行うというものではなく、「帰国したら雇用契約は終わりで、出産後にもう一度働きたければ、来てもよい」という意味であると言われます。 同じ施設で働く日本人従業員が妊娠した場合は、雇用関係を維持し、産休を取り出産した後に職場に復帰してもらっていると言うので、なぜ相談者にはそれが認められないのかを尋ねると、「技能実習生は、妊娠したら、技能実習計画通りの実習ができなくなる、本人、及びお腹の子のためにも、また施設の利用者にも迷惑をかけるので、帰国してもらう」と言われました。

 現在の相談者の雇用状態は、解雇はされてはおらず、失踪して欠勤扱いになっているそうです。 施設長に、彼女の処遇をどうするのか尋ねても、監理団体とOTITの判断に任せると言われ、あたかもこの問題の当事者ではないように見受けられます。

 このケースに関わって思うところは、相談者は、妊娠が分かってからネットで調べたり、OTITなどに連絡をして、妊娠を理由とした解雇が違法であること、実習生も帰国を強制されず、雇用関係を継続し、産休を取得し、出産後に実習を再開できることを知っています。

 この相談者は自分の権利を知らずに送り返されようとしているのではなく、自分の権利を知った上で、監理団体や実習実施者、送り出し機関に自分の意思を何度も伝え、OTITなどにも何度も相談しているにも関わらず送り返されようとしています。

 今年の2月に「妊娠等を理由とする、技能実習生の不利益取扱いの禁止の徹底」として、「実習実施者が、労働関係法令等に関し、不正、又は著しく不当な行為をした場合などや、監理団体が、適切に、実習監理を行わない場合は、技能実習計画の認定の取消や、監理許可の取消など、行政処分等の対象となり得ます。」と、OTITは実習実施者及び監理団体に通知を出していますが、大した介入は行ってはくれず、この通知は何の効果もないように思えます。

 これは彼女だけの問題ではありません。 妊娠をした技能実習生が、書面では子どもを産み、実習を継続する権利があるとありますが、その権利を主張し実行しようとしても、認められずにいます。 彼女も、何度も何度も自分の権利を訴え自分の意向を伝えますが、その声はもみ消されていました。 支援団体に繋がれていない妊娠した実習生、自分の権利を主張してもその声がもみ消されている実習生は、どうすればいいのでしょうか。

 今後OTITがこのケース、および同じような妊娠している実習生に対して、実習生や監理団体に情報提供をするだけではなく、「妊娠等を理由とする技能実習生の不利益取扱いの禁止」を徹底するために、積極的な介入を行っていただきたいと思います。

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