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コムスタカ―外国人と共に生きる会 Kumustaka-Association for Living Togehte with Migrants

〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-302

須藤眞一郎行政書士事務所気付

2022年1月15日「ベトナム人技能実習生リンさんの無罪判決を求める支援集会」

 2022年1月15日(土)、福岡市立中央市民センターで「ベトナム人技能実習生リンさんの無罪判決を求める支援集会」を開催しました。

 オンラインとのハイブリッド開催となった当日は、会場参加者が70名以上、オンライン参加申込者が40名以上で、120名近くの参加がありました。

zoomで録画した当日の様子を、YouTubeにて公開しています。 以下のリンクよりご覧ください。

ベトナム人技能実習生リンさんの無罪判決を求める支援集会in福岡

内容:
1.基調講演「外国人労働者と日本社会〜ベトナム人技能実習生リンさんの刑事裁判から見えるもの〜」 望月 優大 氏
2.裁判報告 石黒 大貴 弁護士(リンさん刑事裁判弁護団主任弁護士)
3.各地の支援団体・支援者からのアピール

支援集会でのリンさんアピール文

2022年1月15日本日(ほんじつ)の支援集会(しえんしゅうかい)に参加(さんか)された皆みな)さん


 私(わたし)はベトナム人の レー ティ トゥイ リンといいます。2020年11月19日に私が警察(けいさつ)に逮捕(たいほ)されてから、多(おお)くの方々に支援(しえん)していただきました。 皆様(みなさま)には、ほんとうにお世話(せわ)になり、心(こころ)から感謝(かんしゃ)しています。

 私(わたし)は2018年(ねん)8月(がつ)、日本(にほん)に技能実習生(ぎのうじっしゅうせい)として働(はたら)きに来(き)ました。 日本(にほん)に来るために150万円(まんえん)もの費用(ひよう)を工面(くめん)したので、ベトナムの家族(かぞく)のため、農家(のうか)で一生懸命(いっしょうけんめい)働(はたら)きました。 2020年(ねん)5月(がつ)ぐらい妊娠(にんしん)していることが分(わ)かりました。 しかし、妊娠(にんしん)した実習生(じっしゅうせい)が帰国(きこく)させられたことも聞(き)いていましたので、ベトナムに帰(かえ)らされることが怖(こわ)くて、組合(くみあい)や社長(しゃちょう)さんに言(い)うこともできず、だれにも相談(そうだん)することができませんでした。 お腹(なか)の赤(あか)ちゃんが動(うご)いているのを感(かん)じながら、苦(くる)しかったのですが、2020年(ねん)11月(がつ)14日(にち)午前中(ごぜんちゅう)まで働(はたら)きました。 その日(ひ)の夜(よる)お腹(なか)がとても痛(いた)くて、胎児(たいじ)が動(うご)かなくなりました。 一晩(ひとばん)中(じゅう)苦(くる)しみながら、一人(ひとり)で、15日(にち)の午前中(ごぜんちゅう)、部屋(へや)で双子(ふたご)の赤(あか)ちゃんを死産(しざん)しました。 双子(ふたご)は全然(ぜんぜん)泣(な)かないし、呼吸(こきゅう)もしないし、触(さわ)っても反応(はんのう)しませんでした。 そのとき、体調(たいちょう)が悪(わる)くて、心細(こころぼそ)くて、怖(こわ)くて、自分(じぶん)の子どもの遺体(いたい)を見(み)て心(こころ)がとても痛(いた)みました。 母(はは)として丁寧(ていねい)にダンボールに白(しろ)いタオルを敷(し)いた上(うえ)に2人(ふたり)の遺体(いたい)を入(い)れ、青(あお)いタオルをかけました。 またベトナム語(ご)で双子(ふたご)の名前(なまえ)を付(つ)け、「安(やす)らかに眠(ねむ)ってください」という弔(とむら)いの言葉(ことば)を書いた手紙(てがみ)をダンボールに入(い)れ、自分(じぶん)の部屋(へや)の棚(たな)の上(うえ)におきました。 検察官(けんさつかん)は、この日(ひ)の私(わたし)の行動(こうどう)について起訴(きそ)していますが、その日(ひ)は体(からだ)がきつくて、怖(こわ)くてどうしたらいいのかわかりませんでした。 もちろん、自分(じぶん)の子どもを捨(す)てることや放置(ほうち)することは考(かんが)えませんでした。

 私(わたし)は、逮捕後(たいほご)の勾留中(こうりゅうちゅう)や2021年(ねん)1月(がつ)21日(にち)の保釈後(ほしゃくご)も、芦北警察署(あしきたけいさつしょ)に保管(ほかん)されている私(わたし)の子(こ)どもの遺体(いたい)を1日(いちにち)も早(はや)く引(ひ)き取(と)り、埋葬(まいそう)して弔(とむら)いたいと願(ねが)っていました。 しかし、検察官(けんさつかん)は、再々(さいさい)の私(わたし)のお願い(おねがい)を認(みと)めず、ようやく遺体(いたい)の引(ひ)き取(と)りが認(みと)められたのは、死産(しざん)から約(やく)半年後(はんとしご)の2021年(ねん)5月(がつ)12日(にち)でした。 すぐにその日(ひ)に遺体(いたい)を引(ひ)き取(と)り、市役所(しやくしょ)で火葬(かそう)の許可(きょか)を得て(えて)、翌日(よくじつ)の5月(がつ)13日(にち)に火葬(かそう)して、双子(ふたご)の子(こ)の遺骨(いこつ)や遺灰(いはい)を納骨(のうこつ)することができました。 また、2021年(ねん)11月(がつ)7日(にち)には、熊本修道院(くまもとしゅうどういん)で、双子(ふたご)の子どもの一周忌(いっしゅうき)の集(つど)いを行(おこな)いました。以上が、私が無罪(むざい)を主張(しゅちょう)する理由(りゆう)です。 しかし、 2021年(ねん)7月(がつ)20日(にち)の熊本地方裁判所(くまもとちほうさいばんしょ)は、私(わたし)に死体遺棄罪(したいいきざい)が成立(せいりつ)するという有罪判決(ゆうざいはんけつ)を言(い)い渡(わた)しました。 この判決(はんけつ)に納得(なっとく)できず、私(わたし)は福岡高等裁判所(ふくおかこうとうさいばんしょ)に控訴(こうそ)して、無罪(むざい)判決(はんけつ)を求めて(もとめて)います。 来る(きたる)2022年(ねん)1月(がつ)19日(にち)に福岡高等裁判所(ふくおかこうとうさいばんしょ)で控訴審(こうそしん)の判決(はんけつ)が言(い)い渡(わた)されます。無罪判決(むざいはんけつ)が実現(じつげん)するまで、今後(こんご)ともご支援(ごしえん)をお願(ねが)いします。

2022年1月15日   レー ティ トゥイ リン



慈恵病院 蓮田健院長のコメント

リンさんと支援者の皆様へ

 本日ご参集の皆様、リンさんのためにお力添えいただき、敬意と深い感謝を覚えます。

 本来なら私も参加させていただくべきところですが、診療のため病院を出ることができず、メッセージをお送りする形になりましたことをお詫び申し上げます。

 リンさんが、母国ベトナムから遠く離れた日本という、限られた環境の中で孤立し、死産に至ってしまったことを、私は裁判を通じて知ることができました。 独りで陣痛に耐え、心身共に疲弊しきっているにも関わらず、二人の子どもの亡きがらに直面しなければならなかった彼女のことを思うと言葉もありません。

 彼女は出産直後に精神的ダメージを受けていながらも、我が子を大切に弔いました。 立派だと思います。 この行為を罪と見なした一審の判決は残念です。 このような司法の判断が定着してしまえば、「独りで出産した結果死産になったら、警察に捕まってしまう」という噂が広がりかねません。 罪に問われることを恐れ、死産した女性が赤ちゃんのご遺体を隠したりすれば、司法判断が犯罪を誘発したことになります。 不幸な連鎖を作らないために、リンさんと支援者の皆様には頑張っていただきたいと思います。

 1月19日の無罪判決を熊本の地からお祈り申し上げます。

令和4年1月15日  慈恵病院 蓮田健(はすだ たけし)

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