1. 外国籍住民からの相談
- 相談件数
2012年 電話での相談は、のべ500件―600件に及びますが、相談の解決へ向け、具体的に取り組んだのは、60ケースです。 総計 60件(うち、子どもの問題 10件)
- 性別
性別では、8割が移住女性、1割強が子どもの問題(国籍取得、認知、養育費請求など)、1割弱が移住男性の問題ありました。 性別 外国籍女性 42件 子どもの相談10件 外国籍男性 8件
- 国籍別
国籍別の相談は、フィリピン籍からの相談が6割以上と一番多く、二番目が中国籍の2割ですが、韓国、インドネシア、パキスタン、ベトナム、ナイジェリア、ロシア、ペルー、コロンビアと相談者の国籍も10カ国と多様化しています。
国籍別 10カ国 フィリピン(40件)、中国(12件)、韓国 (1件)、ペルー(1件)インドネシア(1件)、ベトナム(1件)、パキスタン(1件)、ロシア(1件)、ナイジェリア(1件)、コロンビア(1件)
- 地域別
地域別では、熊本県内が8割以上を占めていますが、残り2割弱が、九州内の他県からや関西地方や関東地方から、そしてフィリピン等の国外からとなっています。
地域別 熊本県内 51件 九州内 3件 関西地方 2件 関東地方 3件 国外(フィリピン)1件
- 相談内容
相談内容としては、国際結婚の破綻などに伴う在留資格(ビザ)問題、国際離婚、DV(配偶者間暴力)、日本人配偶者からの遺棄(ネグレクト)などの相談が、もっとも多いのですが、子どもの国籍取得や認知、養育費請求 就学、就職、非行問題などもあります。そして、賃金未払いなどの労働問題や職場内でのいじめといった人権問題、技能実習生からの未払い賃金や人権侵害などの問題、犯罪容疑で逮捕された留置署で拘留中の外国人や、拘留中の日本人の外国人配偶者からの相談もあります。
コメント
2012年中の具体的な取り組んだ相談件数は60ケースです、その多くが解決に至りました。なかでも、過去2年以上継続していたDV被害のフィリピン人妻の離婚などの訴訟2件、日比国際児の死後認知訴訟1件、そして日本人父親の非協力により国籍喪失し、その回復ができなかった子どもの日本国籍取得1件の計4件が、協力弁護士等の支援を得て勝訴や勝利的和解や決定によりすべて解決しました。(2012年末現在、残りの訴訟係争中のケースは2件ですが、これらも有利な展開で進行しています。)また、重い病気で苦しんでいたフィリピン人男性の技能実習生を2012年5月に保護し、3ヵ月間の入院治療をへて、無事治療でき、元気になって同年10月に帰国できました。
2. 啓発のためのイベントなど催し
2012年前半は、各地各団体での改定入管法問題のセミナー(私が講師になったものが20回以上ありました)や、熊本県内の45市町村へのアンケート送付と回収(41自治体より回答がありました。)7月8日のパレア第一会議室での集会(約80名参加)を開始しました。
2012年後半は、10月の東アジア市民共生映画祭の開催協力、領土問題を主なテーマとして、12月2日のパレアホールでの『 東アジアで共に生きる ! NOE&HERE 市民の手で 』映画とシンポジウムの夕べ(約50名参加)をコムスタカ主催で行いました。
3. 外国籍住民への施策の提言活動
行政機関などへの施策・政策提言などでも、以下のような動きがありました。
- 熊本県による男性の人身取引被害者も対象とする民間シェルター公費援助の施策の実施
2012年5月に熊本県に提案していた男性の人身取引被害者の公費援助問題は、2012年4月から熊本県が民間シェルターの補助制度の要項を、DV被害者以外にも男性の人身取引被害者を対象とすることを明記する改正をおこない、全国初の施策として注目を集めました。
- 外国人生活保護受給者の国民年金保険料法定免除除外問題
2012年9月に熊本市の外国人生活保護受給者の国民年金保険料、これまで日本人と同様に法定免除であったものが、外国人生活保護受給者は一般免除に変更された問題で、全国的に問題を提起し、共同通信社の配信記事(2012年10月16日夕刊から17日朝刊)が全国の主な地方紙で大きく取り上げられたこともあり、厚生労働省には、同年10月26日に「一般免除とするが外国人生活保護受給者には、保険料を一律全額免除とする」見解をださせることになり、また、「生活保護法の国籍条項を撤廃すべき」という主張を訴えることができました。
- 大村入国管理センター等入管収容施設の統廃合や他用途への転用問題
5.6年前から大村入国管理センターとの意見交換会の場などで主張してきた 大村入国管理センターの収容施設からの廃止や他用途の転換が、財務省の勧告で取り入れられ、法務省も全国3カ所の入国管理センターの廃止を含めた統廃合を2013年度以降具体化させることになりそうです。