〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-402
須藤眞一郎行政書士事務所気付
中島眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会代表)
※以下の文章は、2017年12月17日発行のコムスタカ第96号に掲載したものです。
2016年10月23日(日曜日)午後1時30分から午後4時30分まで、くまもと県民交流館パレア9階 第一会議室で、コムスタカー外国人と共に生きる会(以下、コムスタカ)主催で「DVをなくすために、加害者対策を考えるシンポジウム」を開催し、公的機関のDV問題の関係者、外国籍住民、DV問題に関心のある市民ら約50名の参加者がありました。
この企画は、今年4月の熊本地震から半年を経過し、今後増加が危惧されるDV(ドメステイック バイオレンス)問題の啓発、そして、アメリカのDV政策と比べて遅れている加害者(介入)対策について議論するために行われました。
今回のシンポジウムの成果として、
「1.民間団体であるコムスタカ主催のDV問題の企画に、公的機関である県子ども家庭福祉課、熊本県警本部、熊本県弁護士会よりDV対策の取組み報告がなされたこと、
2.深刻な被害を受けたことのあるDV被害者の当事者2名が自らの被害体験など報告・発言してくれたこと、及び外国籍のDV被害者やその関係者の参加があったこと、
3.日本のDV対策の現状、アメリカのDV対策と比べて遅れている加害者介入施策の必要性について問題提起する場ができたこと」などがあげられます。
シンポジウムの前半は、以下の5人の報告者からの報告がありました。熊本県のDV対策の取組みについて、有田知樹氏(熊本県子ども家庭福祉課 ひとり親家庭福祉班長)。次に、熊本県警におけるDV対策の取組みについて、熊本県警本部生活安全企画課DV対策担当官、そして、3番目に熊本県弁護士会のDV対策の取組みについて、藤木美才弁護士(熊本県弁護士会両性の平等に関する委員会委員長)より、それぞれ20分から25分の報告がありました。
以上の現在の日本(熊本県)のDV対策の取組の報告を踏まえ、アメリカにおけるDV加害者介入施策の取組みについて、コムスタカ事務局の佐久間より子さんが、25分ほど報告しました。
最後に、コムスタカ代表の中島から、日本のDV対策の問題点として、「@加害者が野放しにされていること、A被害者の遠方への避難による救済は、被害者の負担が大きく、より困窮化する、B被害者が保護施設に入居しなかったり、そこを退所すると継続支援していく公的機関が存在しなくなる」という3つを上げました。
また、日本のDV加害者対策は、「被害者の意思に基づく、警察の対応にのみ任されており、即ち、被害者が被害届を出さなければ、原則として加害者が逮捕されることがないこと、加害者更生プログラムも、その受講が加害者の意思に委ねられており、受講者がきわめて少ないこと」を指摘しました。
そして、コムスタカのDV被害者支援の取組みについて、「@被害者支援は住み慣れた地域(加害者が暮らす同一地域でもある)支援を原則とする。A被害者に、DVから逃れたければ、加害者から逃げているだけでなく、加害者と向き合い、その責任を追求できるあり方へ変わっていけるように促していく。B加害者の同意を得て、被害者側に立って必要に応じて加害者に支援していることを通告したり、話し合いや交渉を行う。C加害者の優位性を崩し無効化し、警察への被害届、裁判所の保護命令、婚姻費用や養育費等請求申立など社会資源を活用した加害者の責任追及への支援を行うやり方で、加害者と被害者の力関係を変えてDV問題を解決していること」等、20分ほど報告しました。
十分間の休憩の後、シンポジウム後半の部を行いました 外国籍のDV被害者2名が、自らの被害体験と加害者から逃れ、加害者と同じ地域で暮らしながら自立していった経緯などをインタビュー形式(質問に回答する)で報告しました。DV被害者は、「加害者がいつか、DVをやめてかわってくれると信じてずっと我慢し続けていたが、次第にDVがエスカレートしていったこと、自らの体験から、他の同様に我慢しているDV被害者に対して、我慢しないで、早く逃げたり別れた方がよいこと、そして外部で助けてくれる人がいるので、相談したり、助けを求めること、加害者を怖がってばかりでなく、加害者が近づいてきたり、暴力をふるったら、例えば警察へ通報したり逮捕してほしいと訴えられるようになることで、加害者が怖くなくなっていったこと」など自らの体験をもとに話してくれました。その後、報告者に対する参加者からの質疑を30分ほど行い午後4時30分ぐらいに閉会となりました。
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