〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-302
須藤眞一郎行政書士事務所気付
中島 眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会代表)
はじめに
2017年の相談件数は、昨年の212件より少し減少し203件でした。
2017年の相談の特長として、国籍別が昨年の11ヶ国から16ヶ国へとより多様化してきたこと、相談内容もビザ・在留資格に関する相談や離婚や結婚など夫婦関係に関する相談が多いのは変わりませんが、困窮に伴う借金や生活の相談や住居を追い出されたという相談、技能実習生からの相談などが増えたことです。
1.相談活動
@ 相談件数
2017年 電話での相談は、延べ1000件余りに及びますが、相談の解決へ向け取組んだのは、203件です。
電話のみの対応130件、面談42件、同行支援は28件、訪問3件、でした。
A 性別等
203件のうち137件(68%)が移住女性、37件(18%)が子どもの問題(国籍取得、認知、養育費請求、日本への呼び寄せなど)、29件(14%)が移住男性の問題でした。
B 国籍別
国籍別では、フィリピン籍132件(65%)、と一番多く、二番目が中国籍の19件(9%)、日本人からの外国人に関する相談15件(7%)、ネパール籍8件(4%)ペルーとベトナム各5件、ロシア4件、タイとインドネシア各3件、ウズベキスタンとミャンマー2件、ブラジル、アメリカ、パキスタン、スリランカ、韓国各1件など相談者の国籍も16カ国と多様化しています。
C 地域別
熊本県内が、182件(90%)と大半を占めますが、熊本県外が21件(10%)でした。熊本県外の内訳は、九州内8件(4%)九州外11件(5%)、海外から2件(フイリピン、1%)
D 相談内容(主訴別)
相談の内容別では、在留資格に関する相談46件、夫婦関係に関する相談37件、子どもに関する相談37件、借金や生活費に関する相談が27件、DVに関する相談12件、社会福祉や社会保険制度に関する相談6件、警察関係の相談9件、住居に関する相談8件、雇用に関する相談8件、技能実習生に関する相談7件。
免許や交通事故に関する相談4件、相続に関する相談2件、在留資格(ビザ)をめぐる相談が最も多いのですが、その中には在留資格を喪失し、非正規滞在者となった外国人や非正規の 在留状態で警察に捕まった外国人に関する相談もあります。
次に夫婦関係に伴う相談が多いのですが、その中にはDVの伴う相談、フィリピン女性の重婚に伴う相談、離婚や子の親権や養育費などの裁判所での調停や訴訟が伴う相談もあります。
E 訴訟等の伴う相談
2017年に、婚姻費用請求、子の面会交流、養育費、離婚、子の認知、不当利得返還請求など裁判所での調停や訴訟支援をした係争中のケースは10件(うち弁護士を代理人とした日本人夫等から訴えられた相談が3件)でした。
2. 熊本地震外国人被災者救援活動
コムスタカー外国人と共に生きる会では、2017年は、外国人被災者への中長期的な支援活動として以下の取組みを行いました。
@ コムスタカホームページ上での地震被災者支援制度等の多言語情報の継続的提供
やさしい日本語、英語、中国語、韓国語、ベトナム語、フイリピン語、タイ語、インドネシア語、ネパール語の9か国語で熊本地震災害関連被災者支援制度に関する情報をコムスタカのホームページ上で、継続的に更新しながら提供しています。
http://kumustaka.weebly.com/
A 在住外国人シングルマザー被災者30名を対象とした実態調査 報告書の作成と発刊(日本語版と英語版)
2016年7月から2017年1月までの約半年間に約30名の外国籍シングルマザーを対象に被災体験等のインタビュ−調査を行い、調査結果をまとめた報告や外国人シングルマザーに対する支援施策の提言を掲載した報告書を、2017年7月8日発刊(英語版は 8月発刊)しました。
B 熊本県や熊本市への地域防災計画の見直しへの提言
2017年5月8日コムスタカとして熊本市地域防災計画素案へのパブリックコメントの提出したところ、コムスタカの提言に基づき外国人被災者への対応が大幅に修正されました。
C 熊本地震外国人被災者救援支援活動の広報
2017年も、災害時の多文化共生等のテーマで講演やセミナーでの講演依頼やパネリストの依頼が、県内外の行政、大学、NGOなど6ヶ所から、ありました。
3. 啓発のための活動
2017年2月と7月に、以下の2つのシンポジウムをコムスタカ主催で企画し、くまもと県民交流会館パレアの会議室で行いました。
@ 2017年2月12日(日)に、「移民と人権−アメリカの移民政策に学び、日本の外国人政策を考えるシンポジウム」を開催しました。
当日は、50名を超える参加がありました。
A 2017年7月9日(日)に、「熊本地震と外国人シングルマザー☆多文化共生を考えるポジウム」を、開催しました、当日は60名をこえる参加がありました。
4.コムスタカ勉強会とニューズレターの発行
2017年7月と12月を除いて毎月1回 年10回の外国人に関係する問題をテーマに、勉強会を行いました。
また、会の活動を報告するニューズレター「コムスタカ」94号と95号、96号と年3回発行しました。
5. コムスタカ関係機関の会議や企画への参加
6. 外国籍住民への施策の提言活動
@ DV被害者総合支援・加害者対応モデル事業の受任
熊本県は、コムスタカの提言などに基づきDV加害者対策を含む新たなDV被害者総合支援策を、2015年度からDV対策の実務者会議を設置し、具体的な検討が始まりました。
この事業は、熊本地震御影響で1年遅れとなりましたが、2017年度より、DV被害者総合支援・DV加害者対応モデル事業として、熊本県が実施者、コムスタカー外国人と共に生きる会が受任団体となり実施されました。
A 熊本県及び熊本市への熊本地震発災後の地域防災計画への意見と提言
熊本地震発災後の外国人被災者への救援や支援活動の体験を経て、熊本県や熊本市など行政の外国人被災者への対応の不十分さを指摘し、災害時の多文化共生の在り方について提言してきました。2017年4月に見直された熊本県地域防災計画や、同年4−5月に募集されていた熊本市の地域防災計画(素案)へのコムスタカのパブリックコメント等に基づき外国人被災者への対応について熊本県や熊本市の地域防災計画が変更されました。
7.その他の取り組み
@ 9月、フィリピン人母親が、フィリピン人夫と重婚状態で出生した子どもの日本人父親に対する認知訴訟で父子関係を証明するDNA鑑定なしで、子どもの認知を認める判決が家裁で言い渡され確定しました。
A 11月 フィリピンから日比国際児とその母親、彼女らを支援するNGOの代表らが来日し、九州内に在住する父親との面会が実現しました。
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須藤眞一郎行政書士事務所気付
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