本文へスキップ

コムスタカ―外国人と共に生きる会 Kumustaka-Association for Living Togehte with Migrants

〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-302

須藤眞一郎行政書士事務所気付

2019年コムスタカ活動報告Activity report 2019

 中島 眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会代表)

はじめに

 2019年の相談件数は、322件。 2018年の296件から増加しました。 2019年の相談の特徴として、性別では、外国籍女性からの相談の比率が増えました。 年齢別では、40代〜50代が最も多いのですが、10代・20代の若い年齢層からの相談も増加しました。 国籍別では、昨年の14ヶ国より2ヶ国増加して16ヶ国でした。 従来のフィリピンや中国以外に、ネパール、ブータン、ベトナム、パキスタン、ペルー等、東南アジアや南アジア、南アメリカの国籍者からの相談が増加し、より多様化してきました。 在留資格別では、技能実習生や留学生等からの相談が増加してきました。 相談内容も、ビザ・在留資格・国籍に関する相談、離婚や結婚など夫婦関係に関する相談、子どもに関する相談が多いのは変わりませんが、DV被害に関する相談、雇用や社会保険に関する相談、技能実習生等からの労働に伴う相談や妊娠・出産に関する相談などが増えています。


1.相談活動

@ 相談件数

 2019年 電話での相談は、延べ1000件以上に及びますが、相談の解決へ向け取組んだのは、322件です。 電話のみの対応184件、面談63件、同行支援は50件、訪問25件でした。

A 性別等
 322件のうち257件(80%)が移住女性、65件(20%)が移住男性からでした。

B 国籍別
 国籍別では、フィリピン籍208件(65%)が最も一番多く、次に中国籍の38件(12%)、ブータン籍17件(5%)、日本人からの外国人に関する相談16件(5%)、ベトナム籍11件(3%)、ペルー籍10件(3%)、ネパール籍6件、パキスタン籍6件、インドネシア籍3件、アメリカ籍3件、タイ籍2件、その他の国籍各1件が5ヶ国でした。

C 地域別
 熊本県内が、255件(79%)と大半を占めますが、熊本県外からも67件(21%)ありました。熊本県外の内訳は、九州内17件(5%)、九州外29件(9%)、国外(フィリピン、中国)から21件(7%)でした。

D 相談内容(主訴別)
 相談の内容別では、在留資格に関する相談65件(20%)、雇用や社会保険制度に関する相談47件(15%)、離婚・結婚など夫婦関係に関する相談38件(12%)、調停や訴訟に関する相談33件(10%)、DVに関する相談29件(9%)、子どもに関する相談28件(9%)、生活費に関する相談が22件(7%)、技能実習生に関する相談17件(5%)、社会福祉制度に関する相談11件、警察・入管収容関係の相談10件、相続に関する相談3件、住居に関する相談2件、その他6件でした。
 在留資格(ビザ)をめぐる相談が最も多いのですが、その中には在留資格を喪失し、非正規滞在者となった外国人や、非正規の在留状態で警察に捕まった外国人に関する相談もあります。次に夫婦関係に伴う相談が多いのですが、その中には主訴がDVでなくともDVの伴う相談、フィリピン女性の重婚に伴う相談、離婚や子の親権や養育費などの裁判所での調停や訴訟が伴う相談もあります。また、2019年は、子どもや、解雇や転職に伴う雇用・社会保険制度に関する相談、DV被害者の相談、技能実習生からの相談が増加しました。

E 訴訟等の伴う相談
 2019年に係争中の9件のうち、子の面会交流、養育費減額、離婚、不当利得返還請求の調停や訴訟等7件がそれぞれ解決に至りました。
 フィリピン人技能実習生による、監理団体や実習実施企業を相手にした損害賠償請求事件は2年目を迎えています。これに加え、新たにフィリピン出身女性が監理団体等を相手に、パワハラによる慰謝料と残業代などの未払いの請求を提訴しました。また、日本人父親を被告とする国際児の認知訴訟や、日本人の元夫から、フィリピン人の元妻に対して、子の親権変更と監護者指定の調停が申し立てられ、これに対して養育費増額の調停を申し立てた事件など、6件が新たに係争中となっています。     
 損害賠償請求訴訟など裁判所での調停や訴訟支援をした係争中のケースは8件、このうち日本人夫等から訴えられたケースが2件です。

2. 熊本地震被災外国人への中長期支援活動

 コムスタカでは、熊本地震被災外国人シングルマザー等で、DV被害、精神疾患、生活困窮など深刻な問題を抱えた外国人の継続支援を実施しています。2019年の同行や訪問支援は、36回でした。
  

3. コムスタカ主催の企画

  • 2019年1月12日(土)
     尾崎礼子氏(アメリカ北ケンタッキー大学社会福祉学科准教授)を講師に迎えて、DV被害者支援講座「DV被害者支援と加害者対策―地域ぐるみの取り組みを考える」を開催しました。遠くは東京や大阪、九州各地(長崎・福岡・宮崎・佐賀・大分)や熊本県内各地から参加者が集まり、主催者を含めて約60名の参加がありました。
  • 2019年5月14日(土)
     熊本市中央区の大江公民館において「外国人の人権と多文化共生のまちづくり」をテーマに、コムスタカ代表の中島の講演と討論会が行われました。大江地区の自治会や民生委員など約20名の参加がありました。        
     第2回は、6月8日(土)に、同じく大江公民館で、熊本学園大学外国語学部東アジア学科の申明直教授を講師に、「韓国では、外国人政策と地域づくりにどう取り組んでいるか」をテーマに開催しました。上記の自治会や社会福祉協議会のメンバーら約20名の参加がありました。
  • 2019年7月13日(土)
     熊本学園大学において、移住者と連帯する全国ネットワーク代表理事の鳥井一平氏を講師に、「増加する外国人にどう向き合うか、−多文化共生をめざす講演会」を開始し、市民や学生ら110名が参加しました。
 

4.コムスタカが支援した関係機関の催し 

  • 2019年9月21日(土)
     東アジア市民共生文化センター等による、「韓国文化・韓国社会理解ワークショップ」の第1回企画「映画 『1987−ある闘いの真実』と韓国現代史」が開催され、約50名の参加がありました。
  • 2019年10月6日(日)
     熊本市国際交流会館ホールで、フィリピン人会熊本(FOK)の主催で、「災害を乗り越え! 第2回フイリピーノフエスタ」が開催され、150名を超えるフィリピン人やその家族、技能実習生らが参加しました。
  • 2019年11月17日(日)〜23日(土)
     熊本学園大学や大江校区公民館などで、第9回東アジア市民共生映画祭」が開催されました。NPO法人東アジア市民共生文化センターが中心となった実行委員会が主催し、延べ500人ほどの参加がありました。 

     

5.行政への政策提言など

 2019年度は「熊本県DV被害者総合支援・加害者対応モデル事業」を含む3ヶ年計画の最終年度でした。このモデル事業の結果をふまえ、熊本県が「DV被害者総合支援ガイドライン(素案)」を策定しました。これに対するコムスタカとしての意見や提言を2019年8月に熊本県に提出しました。「DV被害者総合支援ガイドライン」は、2020年2月に熊本県DV対策実務者会議で関係機関や団体の意見や提言をふまえた修正を経て確定され、2020年度より関係機関で活用されていくことになりました。  
 また、2019年5月の熊本県DV対策連絡協議会、2019年7月のDV対策ネットワーク会議にDV被害者支援民間関係機関として参加し、コムスタカとしての質問と要望書を提出しました。  
 

6.コムスタカの事務局会議と勉強会とニューズレターの発行
 
 2019年は、毎月第4日曜日に事務局会議を年12回開催しました。また、外国人に関係する問題をテーマに、勉強会を計3回行いました。また、会の活動を報告するニューズレター「コムスタカ」100号・101号・102号を発行しました。    
 

7.外国人の人権問題等をテーマにする講演やパネリストの依頼
 
 2019年は、「在住外国人の人権問題」、「DV被害者支援(DV加害者対応を含む)」をテーマにする講演の講師やパネリストの依頼が21件ありました。    

8.コムスタカ関係機関の会議や企画参加 

  • 2019年3月5日(火)
     福岡入国管理局会議室にて、「第21回移住労働者と共に生きるネットワーク・九州と福岡入管との意見交換」にコムスタカより3名参加。
  • 2019年5月28日(火)
     熊本県庁新館2階会議室にて2019年度熊本県DV対策代表者会議に、コムスタカより1名参加、コムスタカとして質問と要望書提出。
  • 2019年6月1日(土)・2日(日)
     東京の日本教育会館で開催された移住者と連帯する全国フォーラム東京2019(全国から約1000人参加)に、コムスタカ関係者より8名参加。 
  • 2019年7月23日(火)
     熊本市男女共同参画センターはあもにい で、2019年度熊本市DV対策ネットワーク会議への参加(コムスタカより1名参加、コムスタカより質問と要望書提出)。
  • 2019年12月3日(火)
     第16回移住労働者と共に生きるネットワーク九州と大村入国管理センターとの意見交換会が開催され、九州・全国各地から約27名参加(コムスタカから2名参加)。 
 
     

9. その他の取り組み

  • 2019年6月4日(火)
     フイリピン出身の女性を原告に監理団体とその上司など2名を被告として、パワハラに対する慰謝料および残業代未払いなどの損害賠償請求訴訟を熊本地方裁判所に提訴しました。提訴後に記者会見し熊本県内のマスコミの多くが報道しました。
  • 2019年12月〜2020年3月
     日本で在留中の技能実習生間で、妊娠したベトナム人女性技能実習生の日本で産休を取って出産して、その後技能実習に復帰したいという相談で、その希望通り日本で出産・育児支援を行い、日本で生まれた子どもに「特定活動」の在留資格が日本で初めて付与され、数カ月育児を経て、ベトナムへ子どもを連れて帰り、母親は技能実習生として復職できました。

shop info店舗情報

コムスタカ―外国人と共に生きる会

〒862-0950
熊本市中央区水前寺3丁目2-14-302
須藤眞一郎行政書士事務所気付
groupkumustaka@yahoo.co.jp