〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-302
須藤眞一郎行政書士事務所気付
中島 眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会代表)
2020年4月以降は、熊本県内でも コロナ感染拡大下でのコムスタカの活動となりました。 相談もSNSを使い、会議もZOOM中心となり、イベント開催や直接訪問などが制約される状態での活動となりました。
2020年の相談件数は、404件。2019年の323件から81件増加しました。
2020年の相談の特長として、性別では、外国籍女性の比率は8割以上で、その比率がやや増加してきました。
年齢別では、これまで40代〜50代が最も多かったのが、2020年から、20代から30代の相談が最も多くなりました。
また、10代の相談も増えてきており、若い年齢層からの相談が増加しました。
国籍別では、昨年の16ヵ国から1ヵ国増加して17ヵ国でした。
フィリピン籍からの相談が6割以上ですが、ベトナム籍が2割弱となり、中国籍の1割未満を上回りました。
また、ネパール、インドネシア、タイ、パキスタン、インド、ペルー等、東南アジアや南アジア、南アメリカの国籍者からも相談があり、より多様化してきました。
在留資格別では、「日本人配偶者等」「定住者」など結婚移住女性の相談が多いのは基本的に変わりませんが、技能実習生や留学生等からの相談が増加してきました。
相談内容も、ビザ・在留資格・国籍に関する相談が最も多いのは変わりませんが、次に技能実習生からの相談が多くなってきました。
また、新型コロナウィルス感染拡大の影響から、生活困窮への公的支援、住居、雇用に関する相談も増加してきました。
次いで、離婚や結婚など夫婦関係に関する相談、子どもに関する相談、DV被害に関する相談があります。
家裁への調停、地裁での裁判など係争中の訴訟関係の相談も増えてきました。
@ 相談件数
2020年の電話での相談は、延べ1000件以上に及びましたが、相談の解決へ向け取組んだのは、404件です。
電話のみの対応320件、面談58件、同行支援14件、訪問12件でした。
2019年に比べて、新型コロナウイルスの影響で、面談、同行、訪問を大幅に減らさざるを得ませんでした(面談には、SNSをつかったリモートでの面談も含んでいます)。
A 性別・相談内容
404件のうち330件(82%)が移住女性、74件(18%)が移住男性を対象としたものでした。
2019年に比べて、移住女性からの相談がやや増加しました。
B 国籍別
国籍別では、フィリピン籍が250件(62%)最も一番多く、次にベトナム籍76件(19%)、中国籍32件(8%)、日本人からの外国人に関する相談11件(3%)でした。
また、ペルー籍7件、パキスタン4件、インド、インドネシア、ネパール各3件で、タイ、ブータン各2件、その他11件でした。
国籍は17ヶ国に及びました。
C 年齢別
年齢別では、20代から129件(32%)、30代126件(31%)、40代86件(21%)、50代32件(8%)、10代20件(5%)、60代11件(5%)となっています。
2019年までの30代や40代が多かった傾向から、技能実習生や留学生の相談が増えたことから、20代、10代の相談が多くなってきました。
D 地域別
熊本県内が、255件(79%)と大半を占めますが、熊本県外からも67件(21%)ありました。熊本県外の内訳は、九州内17件(5%)、九州外29件(9%)、国外(フィリピン、中国)から21件(7%)でした。
E 相談内容(主訴別)
相談の内容別では、在留資格等に関する相談100件(25%)、調停や訴訟に関する相談65件(16%)技能実習生に関する相談55件(14%)、離婚・結婚など夫婦関係に関する相談37件(9%)、生活費に関する相談が31件(8%)、子どもに関する相談29件(7%)、雇用や社会保険制度に関する相談22件(5%)、DVに関する相談17件(4%)、相続に関する相談11件(3%)、住居に関する相談9件、警察・入管収容関係の相談8件、社会福祉制度に関する相談3件、その他17件でした。
2020年も、在留資格(ビザ)や国籍をめぐる相談が最も多いのですが、その中には在留資格を喪失し、非正規滞在者となった外国人や、非正規の在留状態で警察に捕まった外国人に関する相談もあります。
次に、2020年は、技能実習生からの相談が増加しました。
技能実習生からの相談は、雇用、賃金残業代など労働条件に関することが多いのですが、中には、妊娠・出産に関する相談も含まれていました。
3番目に多い夫婦関係に伴う相談については、主訴がDVでなくともDVの伴う相談や、フィリピン女性の重婚に伴う相談、離婚や子の親権や養育費などの裁判所での調停や訴訟が伴う相談もありました。
また、新型コロナウイルス拡大に伴う経済的困窮による雇用、公的支援制度、生活資金の借り入れ、住居に関する相談も増加してきています。
F 訴訟等の伴う相談
2020年に係争中の6件のうち、子の養育費減額調停2件、離婚訴訟1件など3件がそれぞれ解決に至りました。
フィリピン人技能実習生による、監理団体や実習実施企業を相手にした損害賠償請求事件は、一審判決で一部勝訴しましたが、原告は福岡高裁へ控訴し係争中です。
フィリピン出身女性が監理団体等を相手に、パワハラによる慰謝料と残業代などの未払いを請求した訴訟、また、日本人父親を被告とする日中国際児の認知訴訟も係争中です。
2020年中は、死体遺棄罪で起訴されたベトナム人技能実習生の無罪主張の刑事裁判への支援、フィリピン人妻の日本人夫への子どもの監護者指定変更の調停申立の支援を行っています。
現在係争中は4件の裁判、1件の調停の計5件です。
2020年7月の熊本県南部地域豪雨災害では、熊本県外国人サポートセンターと連携して、多言語情報の提供や、フィリピン人会熊本(FOK)と協力して、当初4世帯のフィリピン人家族の被災者と連絡が取れ、支援物資や被災家屋の片付けの支援など行いました。
また、フィリピン人被災世帯への義援金を呼びかけ、2020年9月20日、FOKのメンバーと共に被災地を訪れ、義援金約30万円を被災者世帯6世帯に渡しました。
その後新たに連絡が取れた3世帯と合わせて、フィリピン人被災者9世帯に義援金を渡すことができました。
2020年は、毎月第4日曜日に事務局会議を年12回開催しましたが、原則的にZOOMでのオンライン参加で行いました。
一方勉強会の方は、2020年は企画できませんでした。
また、会の活動を報告するニューズレター「コムスタカ」103号と104号(発行日を2カ月遅らせ2020年10月25日)の2回発行しました。
2019年は、「在住外国人の人権問題」、等講演の講師やパネリストの依頼が21件ありましたが、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2020年4月から10月まで相次いで中止となり、1〜3月の5件と11月の2件の合計7件に減少しました。
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