〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-302
須藤眞一郎行政書士事務所気付
中島 眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会代表)
2021年の相談件数は、360件。2020年の404件から44件減少しました。
2021年の相談の特長として、性別では、外国籍女性の比率が8割以上で、その比率がやや増加してきました。
年齢別では、2019年まで40代〜50代が最も多かったのが、2020年から、20代から30代の相談が最も多くなり、10代の相談も増えてきており、若い年齢層からの相談が増加する傾向にあります。
国籍別では、昨年の17か国から4か国減少して13か国でした。フィリピン国籍からの相談が57%と一番多いのですが、次いでベトナム国籍が25%となり、中国籍の8%を上回りました。それ以外は、ネパール、ペルー、インドネシア、タイ、パキスタン、インド等でした。相談者の国籍は、より多様化しています。
在留資格別では、「定住者」など日本人との結婚による移住女性の相談が多いのは基本的に変わりませんが、「技能実習生」や「留学生」等からの相談が増加してきました。
相談内容も、2020年はビザ・在留資格・国籍に関する相談や、技能実習、夫婦関係、訴訟、経済生活に関する相談が一番多かったのが、2021年は、訴訟、技能実習、ビザ・在留資格・国籍、子ども、夫婦関係に関する相談という順に変わってきています。
また、2020年は、新型コロナウィルス感染拡大の影響から、生活困窮への公的支援、住居、雇用に関する相談も増加していましたが、2021年はやや落ち着いてきたのか、それらの相談は半減しました、その一方、子どもに関する相談、DV被害に関する相談は増加しています。
@ 相談件数
2021年の電話での相談は、延べ1000件以上に及びますが、相談の解決に向け取組んだのは、360件です。
電話のみの対応217件、面談82件、同行支援24件、訪問37件でした。
2020年に比べて、新型コロナウイルスの影響の制約(面談には、SNSをつかったリモートでの面談も含んでいます)はありますが、電話相談のみの件数が減少し、面談や同行、訪問の件数が増加しました。
A 性別・相談内容
360件のうち301件(84%)が移住女性、59件(16%)が移住男性を対象としたものでした。
2020年に比べて、移住女性からの相談がやや増加しました。
B 国籍別
国籍別では、フィリピン籍の207件(58%)が最も多く、次にベトナム籍93件(26%)、中国籍の30件(8%)の順でした。
日本人からの外国人に関する相談も13件(4%)ありました。その他は、ペルー籍4件、パキスタン籍4件、ネパール籍3件、その他の国籍は11件でした。
国籍は13ヶ国に及びました。
C 年齢別
年齢別では、20歳代から136件(38%)、30歳代108件(30%)、40歳代51件(14%)、10歳代44件(12%)、50歳代12件(3%)、60歳代9件(3%)となっています。
2019年までの30〜40歳代が多かった傾向から、技能実習生や留学生の相談が増えたことから、20歳代、30歳代、さらには10歳代の相談が多くなってきました。
D 地域別
熊本県内が、284件(79%)と大半を占めますが、熊本県外からも49件(14%)ありました。熊本県外の内訳は、九州内27件(8%)、九州外22件(6%)、海外(フィリピン、中国)から27件(7%)でした。
E 相談内容(主訴別)
相談の内容別では、調停や訴訟に関する相談80件(22%)、技能実習生に関する相談64件(18%)、在留資格等に関する相談56件(16%)、子どもに関する相談34件(9%)、離婚・結婚など夫婦関係に関する相談32件(9%)、DVに関する相談20件(6%)、住居に関する相談18件(5%)、生活困窮など経済生活に関する相談15件(4%)、社会保険や雇用保険に関する相談12件(3%)、警察・入管収容関係の相談9件(2%)、社会福祉制度に関する相談8件(2%)、その他 11件でした。
2021年は、訴訟に関する相談が最も多くなり、また、次に技能実習生からの相談が増加しました。
技能実習生からの相談は、雇用、賃金残業代など労働条件に関することが多いのですが、妊娠・出産に関する相談も増加しました。
これまで最も多かったビザや在留資格や国籍に関する相談は、3番目に減少しました。
これは新型コロナの影響で新規入国が大幅に減少したことに関係すると思われます。
夫婦関係に伴う相談とは昨年よりやや減少しましたが、子どもに関する相談やDVに関する相談は増加しました。
その中には主訴がDVでなくともDVを伴う相談、フィリピン女性の重婚に伴う相談、離婚や子の親権や養育費などの裁判所での調停や訴訟が伴う相談もあります。
また、住居に関する相談は増加しましたが、新型コロナウイルス拡大に伴う経済的困窮による雇用、公的支援制度、生活資金の借り入れなどの相談は前年より減少しました。
F 訴訟等の伴う相談
2020年に係争中だった6件のうち、子の養育費減額調停2件、離婚訴訟1件など3件がそれぞれ解決に至り、残り3件が引き続き係争中でした。
2021年になり、家裁での子の認知調停3件、子の監護者の指定変更の調停1件が加わり7件となりましたが、家裁での子の認知調停3件、子の監護者の指定変更の調停1件は年内に終了しました。
また、フィリピン人技能実習生による、監理団体や実習実施企業を相手にした損害賠償請求事件は、一審判決で一部勝訴しましたが、原告は福岡高裁へ控訴し、逆転勝訴で確定して終結しました。
ベトナム人技能実習生の刑事裁判は一審は有罪、控訴審も減刑されながら有罪判決が出て、最高裁判所で係争中です。
また、フィリピン出身女性が監理団体等を相手に、パワハラによる慰謝料と残業代などの未払いを請求した訴訟は、一審判決で一部勝訴、反訴で一部敗訴の判決が言い渡され、原告は福岡高裁へ控訴しました。
また、日本人父親を被告とする日中国際児の認知訴訟も、被告男性がDNA鑑定を拒否し、証人尋問が予定されていた母親が新型コロナの影響で来日できず、まだ係争中です。
2021年中は、上記の事件のうち3件の裁判が係争中です。
2020年7月、熊本県南部地域豪雨災害で被災したフイリピン人家族について、2021年12月12日、熊本YWCAやFOK(フィリピン人会熊本)のメンバーと共にコムスタカの関係者が被災地を訪れ、フイリピン人会人吉主催のクリスマス会に参加し、交流しました。
その開催費用の一部をコムスタカから寄付しました。
コムスタカ主催の企画は、新型コロナ渦で行うことができませんでした。
コロナ禍で会議が開かれず、熊本県や熊本市へのDV対策に質問と要請を文書でするだけにとどまりました。
2021年は、毎月第4日曜日に事務局会議を年12回開催しましたが、ZOOMでのオンライン参加を原則とする形式で行いました。 一方、勉強会の方は、2021年は、熊本YWCAとの共催で、「技能実習生などの妊娠出産問題の勉強会」を2021年9月から2022年1月まで毎月1回、計5回開催しました。 また、会の活動を報告するニューズレター「コムスタカ」を年3回発行しました(105〜107号)。
2019年は、「在住外国人の人権問題」等講演の講師やパネリストの依頼が21件ありましたが、2020年は新型コロナ感染拡大の影響で合計7件に減少しました。 2021年はやや回復してきたのか、14件に増加しました
※この記事は、コムスタカニューズレター第109号に掲載たものです。
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