〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-302
須藤眞一郎行政書士事務所気付
岡崎 民(コムスタカ事務局)
2021年1月31日(日)、「くまもと多文化みらい会議」主催で、「コロナ禍での熊本在住外国人への影響」をテーマに、オンラインによるセミナーを開催しました。
「くまもと多文化みらい会議」は、2020年6月に開催予定だった「移住者と連帯する全国フォーラム熊本2020」の実行委員の有志による任意団体です。
上記の全国フォーラムは会場の都合により中止せざるを得ませんでしたが、全国フォーラムに向けてせっかく形成された外国人支援団体どうしのネットワークや、集まった情報を今後も活かし、日本に住む外国人の支援に役立てたいという思いから、上記全国フォーラム開催に関わった実行委員数名で「くまもと多文化みらい会議」を立ち上げました。
テーマ:「コロナ禍での熊本在住外国人への影響」
日時 :2021年1月31日(日) 10:00〜12:00
参加人数:20名(うち、講師として参加5名)
参加者は、他府県からの参加が多く、参加者の所属も学生、外国人支援の関係者、団体職員、行政職員など多岐にわたりました。
講師からの報告後の質問も多く、予定していた参加人数(30名)には及びませんでしたが、活発なセミナーとなりました。
以下は、各講義内容の概要です。
熊本県庁内にある「熊本県外国人サポートセンター」では熊本県在住の外国人からの様々な相談を受けています。 新型コロナウィルスに関連した相談については「生活困難」が最も多いですが、2020年8月頃から「帰国困難」に関する相談が増えました。 特に技能実習生については「実習が終了しても帰国できず、働くこともできず困っている」という相談が多いです。 技能実習制度上、帰国できない場合は引き続き同じ職種であれば働くことができるのですが、実習生を受け入れていた企業や農家から「辞めてほしい」と言われたら辞めるしかないのが現状です。 このような技能実習生については、本来は技能実習生の身元を引き受けている監理団体が対応しなければなりません。 また、OTIT(外国人技能実習機構)という監理団体をさらに管理している機構があり、そこで母国語相談ができるのですが、技能実習生は携帯電話やSIMカードがない、という方が多く、相談することさえ難しいという現状です。
熊本市外国人相談プラザでも、熊本市在住の外国人の相談に応じています。
新型コロナウィルスに関連した相談については、2020年6月に10万円の特別定額給付金の給付がありましたので、それに関する相談が5〜6月に多かったです。
その他の相談内容としては、「症状に関する相談」「帰国困難に関する相談」「PCR検査に関する相談」等がありました。
また、日本語ができない外国人にとって「かかりつけ医を受診して下さい」と言われてもどういう風に探せばいいのか分からない、差別されないかという不安感、日本語の情報しかないので感染の状況が分からない、という相談も共通する悩みでした。
そこで、相談プラザとしては日々の感染者数や、どういった所で発生しているかなどを英語で発信するようにしました。
PCR検査に関しては、今、熊本で英語対応をしているところが2カ所あるという紹介をしました。
こういった基本的な情報さえ届いていないことを実感しています。
日本人と外国人の情報の格差は深刻です。
外国人にも分かりやすい情報をいかに届けるかということは、1つの方法では限界があります。
色んな方法でアクセスできるように整備する必要があります。
コロナ禍における技能実習生からの相談としては、帰る予定だったのに帰ることができなくなった帰国困難者が「特定技能」に変更したいという相談が多かったです。
さらに、(コロナと直接関連するわけではありませんが)技能実習生の妊娠・出産の相談も増えています。
技能実習生は家族帯同が認められておらず、また技能実習生が子供を産み育てるということが想定されていません。
そこで、妊娠した技能実習生は、実習を中断して帰国を余儀なくされるか、中絶して実習を継続するほかありませんでした。
そこで、2019年3月11日に通知出て、日本で出産する母親と産まれた子供に「特定活動」の在留各が付与されることになりました。
私たちが2020年2月に保護した妊娠34週の技能実習生から産まれた子どもついて、日本で初めて「特定活動」の在留資格を取ることができました。
しかし、ここ2年ほど妊娠出産に関連して逮捕・起訴された技能実習生が相次いでいます。
妊娠・出産に関連して逮捕・起訴されたケースはいずれも強制帰国を恐れ誰にも相談できなかったケースです。
技能実習生の人権を保障した受け容れや在留の在り方を変えていく必要があります。
外国ルーツの子どもたちにとって、2020年3月から5月の一斉休校がとても大きな影響を与えたようです。
外国ルーツの子どもたちはもともと日本語が分からないから、学力もついていっていません。
また、日常会話は流暢に話す子どもでも、学習言語としての日本語能力が高いとは限りません。
そんな中で、まだ授業でも勉強していないところを含む宿題やタブレットを渡されて何月何日までに提出しなさいと言われ、途方に暮れたようです。
外国ルーツということで普段から同級生との交流が少なく孤立している子が多いのですが、休校によりさらに友達と全然会わない、宿題が分からなくても聞く人がおらず、日本語力がますます低下するという悪循環。
こういう子どもに対して、学校が個別に対応してくれるという事例はほとんどありませんでした。
しかし、私たちも学校が休校中なのに子どもたちを集めて勉強会を開いてよいか、非常に悩みました。
子どもとの交流会もコロナで中止になり、再開と見通しはまだ立っていません。
これから少しずつコロナの影響が子どもたちに現れるものと危惧しています。
私が代表を務めるKUMISAは、熊本大学の留学生で作られた団体です。
この度のコロナ禍において、帰国の目途が立たないことで困った学生が多かったです。
留学期間は奨学金を得ることができるのですが、留学期間を終えると、たとえ帰国ができないという事情があっても、奨学金の支給は終わります。
帰国するまでにアルバイトや援助者を見つけなければならないという人が多かったです。
また、留学生の中には環境の変化によってうつ病になる人もいます。
これまでは自分の国にいったん戻って治療・休養をするということが出来ましたが、コロナ禍においてはそれができないという状況が続きました。
私たちは留学生なのであまりにも制限を受けることが多いです。
これからも外国人をサポートしてくれるところと共同して、情報の交換などをして活動していきます。
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