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コムスタカ―外国人と共に生きる会 Kumustaka-Association for Living Togehte with Migrants

〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-302

須藤眞一郎行政書士事務所気付

法務省の告示外の特定活動(医療滞在)の在留者の国保加入問題

   中島  眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会)

1.事案の概要と経緯

 2021年8月に外国人技能実習生が熊本県内のビルの建築工事中に25メートルの高さから転落し、病院へ緊急搬送されました。 この実習生は入院・手術を経て退院後、リハビリのため通院し、2022年3月にこれまでの「技能実習2ロ」の在留資格から、「特定活動」(医療滞在・在留期間1年)の在留資格に変更されました。 そして同年5月にリハビリ治療が終了すると健康保険証を取り上げられ、監理団体と建設会社から帰国を促され、「自主退職」扱いで同年6月に帰国しました。 このとき健康保険の被保険者の資格も失いました。 この実習生は日本での治療の継続を望んで、同年9月に再来日しました。 その後コムスタカにつながり、現在労災による入院治療と休業補償を得て滞在しています。
 同年9月に治療のため来日し熊本市に住所を登録したところ、国民年金、国民健康保険への加入を求められ申請しました。 ところが、国保の減免申請の相談にいったところ、熊本市の国保担当者から、「特定活動」(医療滞在)の在留資格では、国保に加入できないと言われました。 そこで私から熊本市の担当者に「医療ツーリズムの来日者の法務省の告示内の『特定活動』(医療滞在)と異なり、法務省の告示外の『特定活動』(医療滞在)では国民健康保険への加入が可能で、千葉市に同様な事例(Mネット NO 224 2022年10月号 P.32)がある」と伝えました。 ところが、熊本市の担当者が熊本県の担当者と厚生労働省の担当者に問い合わせをしたところ、「国民健康保険に加入できない」という回答とのことでした。
 その後、「移住者と連帯する全国ネットワーク」理事の大川昭博さんから、告示外の特定活動(医療滞在)が国保加入できる法令上の根拠と経緯を、あらためて教えてもらいました。 そして厚労省の担当部局である厚労省国民健康保険課企画法令係に電話したところ、「前回の熊本県からの問い合わせでは、特定活動(医療滞在)としか言われておらず、『国保加入できない』と回答したが、告示外の特定活動(医療滞在)には、国保への加入が可能」という回答を得ました。 そして、コムスタカのスタッフが本人に同行して、熊本市への国保の継続加入が認められました。

2.問題の所在

 厚労省国民健康保険課企画法令係の担当者に「なぜ、『告示外の特定活動(医療滞在ア)には国保加入が可能』という見解を各自治体に通知しないのですか」と聞いたところ『法務大臣の告示外にも色々あるので、問い合わせがあった場合のみ回答している』とのことでした(公表することに厚労省の消極的な姿勢が見られます)。
 各自治体の国保担当者に「告示外の『特定活動(医療滞在)』は国保加入できる」ということを知らされていなければ、国民健康保険法施行規則第1条2号で右記の通り明文で告示による特定活動(医療滞在)の在留資格は国保から除くと規定されており、告示外の場合でも表面上は同じ「特定活動」(医療滞在)であるため、熊本市や熊本県の国保担当者と同様に、他の自治体の国保担当者も「国保加入できない」という扱いをしてしまいます。 今回は、たまたまコムスタカが介在したため、厚生労働省の担当者に確認して、熊本市に国保加入を認めさせることができました。
 今回の熊本市・熊本県のように、厚生労働省に質問しても、国保加入はできないという回答が寄せられることがあり得ること、あるいは、自治体窓口で断られて国保加入ができないというケースが相当数出ているのではないかと考えられます。
 医療ツーリズムで来日する「特定活動」(医療滞在)と、法務大臣の告示外の「特定活動」(医療滞在)は扱いが異なり、後者は国保加入ができることを全国の自治体の国保関係者に周知させるべきです。

【参考】

・国民健康保険法施行規則第1条2号

 「日本の国籍を有しない者であって、入管法第七条第一項第二号の規定に基づく入管法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動として法務大臣が定める活動のうち、病院若しくは診療所に入院し疾病若しくは傷害について医療を受ける活動又は当該入院の前後に当該疾病若しくは傷害について継続して医療を受ける活動を行うもの及びこれらの活動を行う者の日常生活上の世話をする活動を行うもの(前号に該当する者を除く。)」

・法務省告示第百三十一号

 「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件」(平成二年五月二十四日法務省告示第百三十一号)には、「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき、同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動であらかじめ定めるものを次のとおり定める。」として、その二十五に「本邦に相当期間滞在して、病院又は診療所に入院し疾病又は傷害について医療を受ける活動及び当該入院の前後に当該疾病又は傷害について継続して医療を受ける活動」、二十六に「前号に掲げる活動を指定されて在留する者の日常生活上の世話をする活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く)



※以上の記事は、コムスタカニューズレター第111号に掲載したものです。     

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