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コムスタカ―外国人と共に生きる会 Kumustaka-Association for Living Togehte with Migrants

〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-302

須藤眞一郎行政書士事務所気付

意見書のご協力のお願い

 

 ベトナム人技能実習生のグエットさんは、来日前から「妊娠したら帰国させられる」と繰り返し言われていたため、妊娠を誰にも相談できないまま孤立出産に追い込まれました。 2024年2月、知人宅で一人で突然出産を迎えましたが、残念ながら死産でした。 彼女は大量出血と体調不良の中、ようやく見つけたビニール袋に赤ちゃんの遺体を入れ、しゃがみ込んでいた場所の近くにあったごみ箱の中に一時的に置きました。 そして死産から約8時間後、帰宅した知人に病院へ連れて行かれ、診察時に警察へ通報され、死体遺棄罪で起訴されました。

 彼女の行為は、助けを求める余裕もない極限状態でのものだったにもかかわらず、2025年3月7日、福岡地方裁判所は懲役1年6か月・執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。 そして、2025年11月4日、福岡高等裁判所は1審の有罪判決を支持し、控訴を棄却しました。 グエットさんは「私は子どもを捨てようとは一切考えていません」と、この判決を受け入れずに上告を予定しています。

 「孤立出産」は、妊婦健診を受けられず、妊娠そのものを周囲に隠したまま出産せざるを得ない女性が多く陥る状況です。 孤立出産は母子ともに命の危険が非常に高く、とくに死産だった場合、死産直後の女性は、身体的に大量出血や極度の疲労状態にあるだけでなく、精神的なショックも大きく、冷静で合理的な判断を求めること自体が酷です。 それにもかかわらず、そうした行為が「適切でなかった」として死体遺棄罪に問われ、逮捕・起訴されてしまっています。 そして、医療機関での死産後の遺体の取り扱いについては何も問われにもかかわらず、孤立死産においては、出産直後の女性による遺体の「適切な処置」が不当にも求められてしまっています。 逮捕・勾留された女性たちは、死産直後にもかかわらず十分な医療や心理的ケアを受けられず、身体的・精神的に過酷な環境に置かれ続けます。 ようやく命を取りとめたにもかかわらず、その後も司法によって再び苦境に追い込まれているのが実態です。

 死体遺棄罪は、リンさんの死体遺棄事件で無罪を宣告した2023年3月24日の最高裁判所判決が示した「習俗上の埋葬等と相いれない処置がなされたかどうか」を基準に成立が判断されますが、「相いれない」とは何かについて、最高裁は明確な基準を示していません。 孤立出産という極限状況において「適切な」行動を期待すること自体が現実的ではなく、このような状況での行為を一律に処罰対象とすれば、妊娠を誰にも明かせなかった女性たちが簡単に死体遺棄罪に問われる危険が高まります。 孤立死産という深刻な状況においては、行為の「相いれなさ」の判断も、より慎重かつ限定的に運用されるべきです。

 グエットさんのケースでも、妊娠を隠さなければならなかった背景には、多額の借金を抱えたまま帰国させられる不安がありました。 出産後には何度も意識を失うほどの出血があり、極度の心身疲労の中で「何が適切か」など判断できる状態ではありませんでした。 死産後たった8時間と言う短期間に、遺体をビニール袋に入れてごみ箱に置いた行為だけをもって「死体遺棄」として有罪とするのは極めて不当です。

グエットさんの裁判の詳しい内容は:

 Change.org (https://change.org/NguyetSanWaMuzai)または、コムスタカー外国人と共に生きる会のウェブサイト(http://kumustaka.org/TITP/Nguyet_TITP.html)をご覧ください。


 一審有罪判決を言い渡した福岡地方裁判所の裁判官3名、控訴審で、控訴を棄却した福岡高等裁判所の裁判官3名はすべて男性でした。 妊娠や出産を経験していない方々です。 そうした裁判官によって、グエットさんの行動が有罪として裁かれてきました。 私たちは、この事件について皆さんがどう感じたかの声を、最高裁判所に届けたいと考えています。 つきましては、ぜひあなたの率直な意見を、意見書としてお寄せいただけませんか。

どのような声を求めているか

1)出産経験のある方のご意見

 ご自身の妊娠・出産時・出産直後の身体的・精神的状況について、差し支えなければ教えてください。 つらい記憶を呼び起こすかもしれませんが、死産や流産を経験された方がいらっしゃれば、そのときのことも教えていただけるとありがたいです。

 その上で、孤立死産直後という極限状況においてのグエットさんの行為を「死体遺棄」として有罪とすることについて、あなたのご意見をお聞かせください。 グエットさんの行動は「不自然」だったと思いますか?「死体遺棄」や「死体の隠匿」として処罰されるべきだったのでしょうか? もしあなたが同じ状況に置かれたら、どうしただろうか、と想像してみていただけたらと思います。

 可能であれば、母子手帳(出血量・血圧・産後の記録ページ)のコピーも添付していただけると、出産の現実を裁判所に伝える強い証拠になります。

2)産婦人科医・助産師・看護師など医療従事者の方

 孤立死産直後という極限状況においてのグエットさんの行為を「死体遺棄」として有罪とすることについて、あなたのご意見をお聞かせください。 出産や死産を経験した女性の身体的・精神的状態に関する、皆様の経験や知見に基づき、この行為がどのように評価されるべきか、ご意見をいただけると幸いです。 また、グエットさんの死体遺棄被告事件で、福岡地裁や福岡高裁の「有罪の判断」について感じたことやお考えがあれば、あわせてお寄せください。

3)その他の方

 この事件の背景には、妊娠を誰にも打ち明けられない事情を抱える女性たち、孤立出産、そして技能実習制度の問題があります。 そのような状況の中で、グエットさんの死産直後の行為を「死体遺棄罪」として有罪とすることについて、あなたのご意見をお聞かせください。


意見書の作成方法

 意見書の形式は自由ですが、上記の内容を参考にご記入ください。 フォントは10.5ポイント以上(推奨は12ポイント)、A4サイズで1ページから5ページ程度を目安としてください。 複数ページにわたる場合は、ページ番号をフッターに入れてください。

 作成後は印刷のうえ、署名または捺印をし、それをスキャンしてPDF形式にしてください。


個人情報の取り扱いについて

 ご提出いただいた意見書は、弁護士が内容を確認したうえで、最高裁判所に提出するためにコピーされます。 弁護団、事務局、裁判所関係者のみが閲覧し、他の目的で使用したり、弁護団の外に開示することはありません(ご本人の同意がある場合を除きます)。

 ただし、刑事裁判の記録は、裁判の公正を保つために所定の手続きを経れば誰でも閲覧可能です。 学術目的や報道目的で、裁判後に学者やマスコミが閲覧を申請する場合があります。


提出が難しい場合

 皆さまからの意見書は、最高裁判所に意見書として提出される予定です。 いただいた意見は必ず目を通しますが、場合によっては提出を見送ることもありますので、あらかじめご了承ください。


提出先・お問い合わせ先

意見書の提出やご質問は、以下の連絡先までお願いいたします:

グエットさんの裁判を支援する会

  • 住所:〒812-0017 福岡市博多区美野島2-5-31 美野島司牧センター気付
  • 電話:090-7450-9805(井上)
  • FAX:092-821-7292
  • Eメール:kumustakagroup@gmail.com

 提出期限  2025年12月31日(水曜日)まで


 皆様のご協力が、グエットさんの裁判において重要な役割を果たします。 どうか、彼女の置かれた状況に思いを馳せ、意見書の作成にご協力いただけますよう、心よりお願い申し上げます。

記載内容の例

  • ご自身の背景(出産経験、職業、宗教的背景など)
  • グエットさんが死産当日にとった行動への評価(ご自身の経験と照らして)
※ なお、グエットさん本人やそのパートナー、捜査機関、裁判所などを誹謗中傷する内容はご遠慮ください。

 以下は意見書の例です。       

 意見書の例

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